テラーノベル
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「いつまで寝てるんだよ。
仕事を始めるから早く起きて」
肩を揺すられてから起きると、辺りは明るくなっていて屋根の隙間から太陽の光が差し込んでいた。
レトは布団で寝ているけど、セツナの姿はない。
私を見下ろしているのは、ムスッとした顔をライさんだった。
「朝ごはんはそこの机にあるから。急いで食べて。
さっさと行くよ」
「はっ、はい!
今すぐ食べて仕事に行きます」
準備ができてから建築中のライさんの家に行って作業を始める。
力仕事ができる街の人達が手伝いに来てくれたおかげで、あっという間に形が出来上がっていく。
しっかりと固定された屋根と頑丈な柱が入った小さな家は二人で住むには窮屈そうだ。
でもライさんのお母さんが新しい家を見て嬉しそうに笑っていたから、これで良かったんだと思う。
家が完成したのは、次の日の夕方だった。
ライさんの新しい家にセツナが来て、その出来栄えを確認する。
「おおー! なかなか立派な家ができたな。
これからクレヴェンでいい家を沢山建てられるように、ライが覚えた技術を活かしていくぞ」
「臣下もやりつつ建築担当もしないといけないのは大変だ。
でも国の皆のためにこれから頑張るよ。
かけら……。色々教えてくれて、その……、あっ……、ありがとう……」
「ぎこちないが、やっとお礼を言うことができたな。
偉いぞ、ライ。
かけらも大変な作業をよく頑張ってくれたな。感謝するぜ」
「うっ、うん……」
二日間、外で作業していたせいで服が汚れている上に汗でベタベタする。
達成感のある仕事をして一緒に喜びたいところだけど、衛生面が気になって堪らなかった。
「どうした? かけら」
袖についた土を落としていると、セツナがすぐ側にやってきて耳の近くで話そうとしてくる。
「その汚れ……。
もしかして、最初に着ていた服とオレがプレゼントした服しか持ってないのか?」
「恥ずかしくて言いにくいけど……。
私は何も持たずに旅を始めたの。だから、汚れても何もできなくて……」
異性にこんなことを言わないといけないなんて……。惨めな気持ちになる。
「本当かよ。それはまずいな。
……ライ! かけらと出掛けて来るからレト王子のことを頼む」
「はいはい、様子を見に行くよ。
ふたりはデートを楽しんできてね」
「ああ、ライが羨ましがるくらい楽しんでくるよ。
行こうぜ、かけら。
ここまで頑張ったご褒美だ」
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