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中也愛され
中也女体化
転生
太中
敦中
芥中↩︎メイン
ヒロアカキャラとの絡みあり
ヒロアカUSJ編改変あり
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芥川視点
漸くあの人に会えるのか。
珍しく高鳴る胸を抑えながら深く息を吸い、黒い霧に包まれる。
目を開ければ景色は一変し、少し荒れた空間へと瞬間移動していた。
太宰さんの指示通り物陰に隠れて様子を伺っていると 人虎が驚いたような声を上げた。
敦「あれは…中也さん……?」
反射的に人虎の視線を追う。
視線の先にいたのは勿論中也さん。
だが、戦場の中で舞う其の姿は血塗れでとても痛々しかった。
予想外の出来事に焦りと驚きで息が詰まる。
本来なら今直ぐにでも駆けつけたい所。
然し、太宰さんからの指示は出ていない。
僕の感情だけで勝手な行動をしてはいけない。
助けたいという衝動を必死に押さえ込み、拳を強く握る。
太宰さんからの指示はまだか、と視線を向ける。
太宰さんは何も言わないが、その表情からは怒りが容易に読み取ることが出来た。
その顔から昔のことを思い出す。
何度もこの表情を見てきたが、この圧には未だに慣れることが出来ない。
此方にもその怒りが伝わり、冷や汗が頬を伝う。
ふと、中也さんに視線を向けると戦闘は終了していた。
背を向けていた中也さんが振り返る。
中也さんの青く澄んだ瞳が僕達に向けられた。
同時に、此方へと走り始める。
太宰さんと人虎もそれを見て走り始めた。
自然と、自分の足も動いていた。
苦しそうな顔に、胸が締め付けられる。
其して、中也さんに手を伸ばす。
硝子を扱う様に、優しく慎重に中也さんに触れる。
中也さんの体温が此方に伝わってくる。
“中也さんが生きている”
安心と感動、そして「もう手放したくない」という感情が込み上げてきて、涙が頬を伝う。
そうして、暫くの間抱き締めていると、太宰さんが中也さんを気絶させた。
太宰さんが此方を見て、口を開く。
其れは戦闘の合図。
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それからは流れるように物事が進み、今は眠る中也さんの隣に腰を掛けている。
隣では、人虎と太宰さんの会話が響いている。
平和の一言に尽きる。
此処が病室でなければ、今迄の時間は何だったのか、と疑問にすら思う程。
二人の会話を聴きつつ、中也さんに目を向ける。
少し鋭い瞳が閉じられているその顔は、まるで幼子の様にも見える。
以前より少し…否、可成小さくなった為か、より一層幼く見えるのかもしれない。
其の姿があまりにも脆く愛おしい。だが、少し怖くも思う。
何時か又、壊してしまうのではないか。
其処まで考えて、脳の奥が冷えていく様な感覚に襲われる。
敦「太宰さん抜け駆け禁止ですよ!!」
人虎の呑気な叫び声によって、悪夢の様な思考から現実へと引き剥がされる。
気づけば太宰さんの手が中也さんの柔らかな髪に添えられていた。
芥「僕も撫でたいです…」
無意識に太宰さんを羨む言葉が漏れる。
太「ふふ、君達もやればいいじゃないか」
太宰さんはそう言ってにやりと悪戯気に笑い、中也さんの頬へと手を伸ばす。
何度か頬を指先で突きながらゆっくりと、穏やかに太宰さんが話し出すのを見ていると、悪夢の様な思考も、昔の記憶も、不安も、全て解けるように消えていった。
この会話にはなんの意図も含まれていない。
其れでもこうして安心出来てしまうのだから凄い。
屹度この人の様な、素晴らしい人が中也さんの隣に立つのだろう。
_僕は隣に立てるような人間になれるだろうか。
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あの後、前世でポートマフィア首領を務めていた、現医者の森鴎外が部屋を訪ね、他愛のない会話をした。
彼は直ぐに部屋を去ったが、直後に中也さんが目を覚まされた。
夏の空のように青く澄んだ瞳が現れた瞬間、目の奥が熱くなるような言い様のない感覚に襲われた。
以前より少し小さくなった体をもう一度抱きしめてみれば、中也さんの温もりと鼓動が感じられて、涙が溢れそうになってしまったが、其れは三人には言わないでおこう。
今は、中也さんの声が聞けた事が、中也さんの目を見れた事が、何よりも嬉しくて堪らないのだ。
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病院編の芥川視点はこれにて終了です!
かなり遅くなってしまって申し訳ない……。
次回は今回よりなるべく早く更新できるように善処致します!
次回は何故中也がチンピラと脳無程度でボロボロになったか、その理由と姐さんの気持ちなどを書こうと思います!
楽しみに待っていただければ幸いです!
それでは読んでいただきありがとうございました!
また次回でお会いできれば嬉しいです