episode3 音楽と愛が交わる場所
涼ちゃんが俺たちバンドのスタッフとして手伝い始めてからバンドは急激に変わった。
以前の客集がままならなかったライブとは違い、涼ちゃんの同僚や親戚、音楽好きな友達…つまり、人脈をフル活用して少しずつ俺たちの存在は広がっていった。
俺が新しく制作している曲も、涼ちゃんの具体的な提案のお陰で苦戦していたメロディーの部分やドラムを打ち込む場所も、少しずつ形になって俺たちの音楽は少しずつ形になっていった。
「涼ちゃんが話しかけてきてくれて本当に良かった。」
唐突に伝えてみると、涼ちゃんは照れくさそうに笑った。
「僕の方こそ感謝だよ!こんなにファンの意見に耳を傾けてくれるバンド初めて!」
興奮気味に、前のめりになりながら話していてこちらも少し照れくさくなる。
「そういえば駅前の方で地下バンド漁ってたんだよね、そっちの方でお気に入り居なかったの?」
若井が俺たちの会話に赤いギターのチューニングをしながら割って入る。
「漁ってたって言い方…まぁ悪くいうとそうだけどさぁ?」
あざとく両手で頬杖をつきながらやいのやいのと弁解する。
「…まぁ、そんなに心にうっ!!てくるような人は居なかったかなぁ。」
それにね?と言葉をつづける。
「バンドマンって…その、皆じゃないけど…自分の実力を過信しすぎてるっていうか、客の意見を聞いてくれない人が殆どなのよね。まぁ自分の音楽を届けたいんだから信念を曲げたくない気持ちも分かるけど。」
「あー、バンドマンって自分1番みたいな人多いよね。」
俺もバンドマンだからそんなこと無責任に言えないけど。
「そうなの〜、この前素敵だなぁって思って話しかけたら俺らバンドマンっすよ?そういうの迷惑っす。って追い返されちゃって悲しかったなぁ。」
そういうヤツいるよなぁ。
自分が偉いって思い違いしてる奴。
ファンがいてからこその自分たちの存在が成り立ってるのに。
「有名とか関係なしにファンは大事にするべきだよね。」
俺がそういうと若井もうんうんと頷いた。
「そういう所素敵だよねぇ、2人とも。」
普通だよ、と言葉を濁す。
「ありがとうね、涼ちゃん。」
涼ちゃんの水筒を勝手に手に取り、がぶ飲みしながら話しかける。
そんな光景ももう慣れてしまったのか、ツッコミもせずにたんたんと答える。
「僕もありがとうね、一緒に音楽を作るの楽しいや。ふたりと作る音楽がいちばん素敵で大好き。」
その言葉にまた俺の胸は熱くなった。
音楽はただの大人のではなく、心を繋げる為のものなんだと改めて感じた。
だいぶ遅刻しました💦
すいません😖
コメント
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涼ちゃんもう入ってくれ笑 あなたもうメンバーだよ笑
もう美味しいのレベルまで来た
あぁもうこれで♡♡♡る…さよ〜ならぁ〜…