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注意書きは一話にあります。
➖ピピッ、ピピッ、ピピッ
うるさく鳴く目覚まし時計を止め、カーテンをガラリと開ける。今日に限って目覚めが良い。
カレンダーに向かい前日の日付にバツ印をつける。今日の枠には赤色のペンで大きく花丸が描かれている。そう今日は俺の10歳の誕生日。俺が未来を変える日。
小さな手のひらで顔をパンッと叩く。目を覚ませ、俺!!あいつらを救えるのは俺しか居らん。今日から計画を………
母:朝よ〜!!起きなさ〜い!!!
チーノ:は〜い!!!
隣の部屋から母が俺を呼んだ。数年ぶりの母の声は若々しく聞こえる。まずはいつも通りに。
リビングに行けば机の上には豪華な料理が並んでいる。全て母の手料理で俺の好物が並んでいる。朝からこの量は流石に食べきれないな…ましてや子供の胃袋になんて。
母のニコニコ顔を見てしまったら、死ぬ気で食べるしかほかならない。俺の誕生日は毎回胃袋が死にかけることから始める。(余談だが、夕飯は母特製ワンホールケーキである。)
チーノ:……誕生日やからって無理せんでええのに
母:え?
チーノ:あ、
俺の国は冬に雪がつもり、夏には冷たい風が吹く。そんな気候では、作物なんて育たない。まして家畜なんて飼えない。
こんな気候だからこそ、国が仕事を出してくれるのだが、給料は微々たるもの。そして、冬は向かい側の家の屋根が埋もれて見えないほど積もる。そんな日には買い物ましてや遊びに行くことさえできない。食材や生活用品は買い溜めて置くのだ。
しかし、先程にも言ったように作物も家畜も金もないとなっているのを親は子に話すだろうか。俺はそんな親は見たことない。
つまり、母が隠している秘密を子供である俺が知っているのは矛盾している。俺は恐ろしい失言をしてしまったのだ。
一生懸命言い訳を考える。
チーノ:お、お父さんがそう言ってたよ
母:あら!!あの人ったらそんなこと言ってたの?帰ってきたら叱らなきゃね?
チーノ:お父さんっていつ帰ってくるの?
母:まだなんの連絡もないのよね。お仕事大変なのかしら?
母はまたそうやってはぐらかす。父は軍兵に行っている。女性や子供には事務作業や工場の仕事を、男性には軍兵となり、国を守るために駆り出される。当時は不思議に思っていだが、いざ入ってみればそれは散々なものだった。
4:00 起床
4:30 朝食
5:00 校庭10周
8:00 キントレ
11:00 射撃の練習
12:00 昼食
12:30 キントレ
14:00 対人戦の訓練
18:00 射撃の練習
22:00 夕食
23:00 日誌をつける
24:00 就寝
とまあ、こんな日程だった。こんな生活では休憩なんて愚か、家族に手紙を送ることさえできない。そんなことも露知らず、母は父の手紙を待っている。
なんとも情けなく思ったがこれ以上つかかっても逆に悪影響だ。この人生ではちゃんと父さんも救うから。安心してて、母さん。