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ああ、何て間抜けな声なのか……。でも許して欲しい。まだこの展開に着いていけていないのだから。というかこの時点で着いていけてる人の順応力が高すぎるんだと思う。うん。
まずそもそも芥川君が歩むはずだった人生を、ぽっと出の人間が奪ってしまって良いのだろうか、いや、良いはずがない。…あまりの驚きで反語になってしまった。いやいや、そんな下らないことを言っている場合ではない。
「……………何で?」
完全に脳機能が停止してしまった私にはこの一言しか発せられなかった。「初対面の人には敬語を使いましょう」なんて言う最低限のマナーさえも忘れてしまう程に衝撃を受けていたのである。
そんな私に向かってカミサマは、そんなの知らないよ~、なんて言ってけらけら笑う。ああクソ、顔が良い……!!(チョロい)
『転生先なんて、僕は決められないんだ。こればかりは本当に運だからね、あはは』
まあ、しょうがない。運で決まったというのならば、このカミサマとやらに恨み言を言ってもどうにもならない。
ふむ。つまり、これから私は「芥川龍之介」として生きていくことになるわけだ。が、一つだけ懸念がある。そう、それは、芥川君特有の小難しい喋り方!
うーーーーん、出来る気がしないぞ!!!だって語彙力なんてないんだもん!!!!!国語の成績ギリギリ三だぞ舐めるなよ???
「はーい、カミサマー」
『はい、美香君』
生徒のように手を挙げると、教師のように答える。なんてノリが良いんだ。クラスに居たらモテるタイプだな。
「これって原作改変しても問題ないですかー?」
『嗚呼、良いよ!じゃんじゃんしちゃって!』
「いや、自分で言って何だけど……良いんだ……」
『うん、パラレルワールドみたいなものだから、君が何かしても他の世界には何の影響も与えないよ!』
ああ、なんて夢のような世界。だと思うけど、ここから待ち受けているのは地獄である。忘れてはならない。…だってさあ、見た???この部屋に飛ばされる前の風景。あんなん100%貧民街じゃん生きていける気がしなくてウケる。
ウケねえよ。
『じゃあそろそろ戻すよー!頑張ってね!』
「あーーー…上手くやっていけるかなあ……」
『君なら大丈夫。だって僕、ずっと君のこと見てきたから分かるんだ』
「あは、すっごい殺し文句。……ありがとうございます、心強いですね」
こうやって優しい言葉を掛けられるだけで簡単にときめいてしまう私はなんてチョロい女なのか………。
ああ……太宰さんに会いたくないな……。推しだけどさ、絶対殴られるから。痛いの嫌いだもん、私。流石に推しでも、殴る、蹴る、etc…には耐えられないと思う。……いけるかなぁ???ダメそうだなあ…。
そんなことを考えている内に、周りが明るくなって。
眩い光に包まれて、気が付くとまた、あの貧民街の風景が見えた。