K「ここ行こうぜ」
きっくんから切り出されたのはバーベキューのお誘いだった。夏の定番は外せないんだろう、キラキラした目で俺達を見る。
見せられたパソコンの画面は湖の近くのキャンプ場で、4人入れる所がちゃんと用意されていた。大きな建物だから値は少し張るけれど。
E「コテージ?」
A「暑いじゃん、エアコンないとつらいっしょ」
F「うん、俺もうムリだもん」
A「お前は太り過ぎだから」
家にいるのに襟元をパタパタとさせて嫌そうな顔をするFB。それを見て辛辣な言葉を投げかけるあろま。そんな3人のやり取りを聞き流しながら、画面をゆっくりとスクロールする。山とはいえ夏場だから冷房完備のコテージはかなりありがたい。というよりテントでは流石に暑すぎて寝られないだろう。近くにバーベキューができるところもあるようで、すごく雰囲気のいいところだった。
A「俺ら再来週なにもないじゃん、行くべ」
F「おっ、あろまさんノリノリじゃないすか」
K「何言ってんだよ、こいつ元々アウトドア派だろ」
F「おいえおえおー、お前もなんか言ってやれよ」
E「え?別にいいんじゃないっすかね」
気心の知れた友人たちと夏キャンプ。あまり顔には出さないけれど、すごく楽しみになってきた。
俺たちは元々頻繁に旅行に行く。今年は沖縄にしようとか、地元でもいいかなとか、毎年計画を立てている。今回の詳しい場所はまだ知らないが、あろまの運転で向かうらしい。
きっくんは早速予約を入れたみたい。本格的なシーズンだから大丈夫かと心配をしていたけれど、ギリギリ取れたようだった。
2週間後のキャンプに向けてそれぞれ準備をしようということで、俺はクローゼットからキャリーを引っ張り出す。定期的に使っているから新しく何かを買うということはない。
今日がオフで良かった。ゆっくりと準備ができそうだ。と思っていたけれど、ピコンとスマホの通知音が鳴る。
E「誰―あぁ…」
メンバーのグループラインだ。その後も何回も何回もピコンピコンと鳴っている。どうせあいつらだろ、と思いながら画面を開くと、案の定。
F『俺またイヤホン大量に入れてたんだけど』
A『だからお前耳何個あるんだよ』
K『一個でいいだろ』
F『なぜか増えるんだよなー』
K『ちゃんと荷物整理しとけ!』
相変わらずいらない荷物を持っていこうとするFB。まぁ俺も人のことは言えないんだけどさ。この前も古いパンフレットが入っていたし。
…今回は山だから、イヤホンが増えることはないと思う。
K『えおえおはもうできてんのかよ!』
きっくんはずっと元気だな。俺はこいつらの会話にあまり入らないけれど、名指しされたから仕方なく返信をした。
E『ほぼできてますよ』
荷造りをしながらそう送る。
K『まじかよ!一番のんびりしてるのに!』
F『何なら一番楽しんでるかもな!』
野太い声が聞こえてきそうだ。
A『お前は食いすぎるなよ』
F『ひでぇ!!』
K『まぁまぁ、楽しもうぜ!』
実際、俺はかなり浮かれていた。
To Be Continued…
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