テラーノベル
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何でも許せる方のみお進みください。
ゾムside
「はぁ〜」
「憎いくらいにええ天気やなぁ~」
と、脅威と呼ばれる緑色の彼は、その名にそぐわない表情で、ぼんやりと晴天の空を眺めた。
「今日は兵の訓練もないし、グルッペンとこ遊びに行こ〜」
なんだかんだこの新しく平和な人生は、
あの黒い男と出会ってからだなとゾムは何気なく思う。
あの時、グルッペンに駄々をこねてまでしがみついていなかったら、
きっとこうやってい晴天の空を寝転がりながら見ることはできなかったのだろう。
初めて会った時から、なんらかのシンパシーは感じていたのだ。
「………ほんま殺さんでよかったわ~」
「ん、なんやゾム、敵でも逃がしたか?」
ひょい、と晴天を遮るようにやってきたのは青色の青年である。
同時に、たばこのにおいが鼻をくすぐった。
その瞬間、脅威と呼ばれる男の本領発揮である。
光の速さで上半身を起こし、顔をしかめる。
「うわ~ちょ、まじ最悪やねんけどくっさ!?」
「え?え!?僕そんなくさい!?」
「まじ鼻が曲がる〜~」
そういいながら鼻を抑えながら青い男から素早く距離を取る。
最悪半分遊び半分である。
ちなみに結構タバコのにおいは気分を害してくれた。
なのでこっそりと青い青年のポケットからライターを掏ってやった。
後で食害をしてやろう。と心の中で緑の男はほくそ笑む。
つくづく考えることは一点だった。
たまにはグルッペンにあの時のお礼でもいってやろう。
そう思って統領室に手をかけようとしたとき、
ざわり、と不意に男の心の中がざわついた。
「……!?」
驚いて振り向く。
しかしそこにはいつも通り笑いあう声が廊下に響くだけ。
勘違い──とはゾムには到底思えなかった。
いつもこういう、悪い間だけが当たるのである。
昼食を摂取するために帰ってくる疲れに見舞われた
訓練兵の間をすり抜けるようにして走りながら、城の外へと出る。
ちょうど時は 12時30分を回っており、
インカムから、食事の合図を知らせる書記長の声が流れてきた。
「……………」
ゾムは意識を集中させるため、インカムをそっと取り外し、
雑音が入らないようにポケットに入れる。
「………なんや、あれ」
目を必死に凝らし、森の奥を見つめる。
いろいろなところに目線を滑らせ────とある一点で目線が止まった。
あんな場所に雑木はなかった。
つまりあれは
「偽造か!!!」
そう叫んだ瞬間、雑木だったもの、
いや、雑木を模した人間が一斉に俺に向かって発砲を開始した。
「っく!!」
一度退避し、全員にことを知らせたいが、銃弾が邪魔をし、自由に動けない。
最適なルートを見つけ確実に倒すために意識を集中させ、体をひねるが相手も一流。
まったくスキがなく、できたと思ったルートはあっという間につぶされていく。
「先に俺からつぶすって魂胆か!!」
そりゃ最大戦力とうたわれている俺を殺すなら、後が楽でいいだろう。
連絡している暇もないので、ポケットからはイヤホンではなくナイフを取り出し、ー
ふゅう@低浮上
飛翔。
そしてついでに近くにいた奴の頸動脈を掻っ切る。
「なっー」
敵たちの表情に、少し“焦り”が浮かぶ。
そりゃそうだろう。なぜなら俺は書類上、
接近戦に特化していると書かれているからだ。
「だけどな……遠距離ができないとは一言も言ってないんやわ!!!!」
なんでこんな日に襲ってくんねん!!という怒りを込めて、
俺は叫びながら銃弾の雨に突っ込んだ。
「がっ!!?!」
二の腕にまず一発、聞き手の右手に一発。
脅威と呼ばれていようとも、俺は一応生身の人間。
他人を凌駕するほどの身体能力をもってしても、
抗えきれないという自然の法則が絡みついてくるものであった。
そして、傷が広がれば痛いものは痛い。動きが鈍るのも当たり前。
どうやら今回の敵はじっくりと攻めてくる戦略的型だったらしい。
兵力を別の場所に裂けばいいものの、一点集中で攻められたおかげで、
俺は初めて、戦場で膝をつき、その場に倒れこんでしまった。
呼吸も浅く、広がっていく血。致命傷であるのは明らかだった。
俺がもう使えないものになったと理解したのか、俺の前を通り過ぎ、
城の中に足を踏み入れ始めようとしていた。
「ちっくしょォッ!!!」
ふんばった。
ふんばれるはずでもないのに、必死に片手で腕を止血して。
こんな奴らを、こんな奴らをグルッペンの城に入れるわけにはいかなかった。
「げほっ!ごほっ!!」
だが、その勇気もむなしく、情けなくせき込んでしまう。
俺のかすかな声に、反抗に、気づき、足を止める奴なんてだれ一人いなかった。
「こっち、みろっての……」
酸欠で呼吸がままならなく、視界もかすみ、前身は痙攣していた。
死んで、死んでしまうのだろうか?こんなところで?敵をみすみすと見逃して?
いやだ。死にたくない。
「ばーは”ー…」
そんな時、タイミングよくインカムが震えた。
「……………ッツ」
痙攣する手でボケットから取り出し、落としそうになりながら、
何とか起動させることに成功した。
「ゾムか!?」
第一声は焦ったような声。この重みをもったハスキーボイスは、
聞き間違えるはずもない。
「……へへ」
さっきまで、死にたくない、という思いなんて嘘のように思わせるほど、
心が軽くなった気がした。
「……グルッペン、いや、統領」
「敵襲や」
場所は────と言いかけたところで、2、3回せき込む。
このままだらだらと長ったらしく話していると、
先にこっちの体がもたなくなってしまう。
「………我々国幹部ゾム」
「先にいってくる」
そうとだけ言って、インカムを地面に投げ捨てた。
情けない。役に立てなかったことが。もっと後敏に動いて、情報を送れたものを。
我々国幹部として、情けない。
だけれど、男にとっては同時に誇りでもあった。
「…おれは、我々国幹部……」
ちゃんとみんなのなかまでいれた…。
脅威は深く息を吸い、吐き出した。
「よっし!!それじゃつ“最後は脅威らしく散ってみますかね!!」
パーカーに忍ばせていた爆薬をすべて取り出す。
敵は遠い。
しかも、こんな負傷している体でうまく狙いを定めて当てられるとも思わなかった。
ゾムは爆薬とタバコ臭い男から掏ったライターを両手に、
最後の力を込めて高く高く飛翔した。
数秒後,空間一体を爆発音が支配した。
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コメント
2件
流石るか、そしてゾム!! 「あ、投稿してる」で簡単に見るんじゃなかった!!不意に泣いてもうたって……!!もう、どこを切り取って見ても神、神、神!!! ほんと産まれてくれてありがとう。