テラーノベル
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🦈「さてと! 基本ルールも分かったところで、すちくんがここで暮らすための手続きをしに行こっか!」
コサメはパンッと手を叩くと、
翼を広げて少しだけ宙に浮いた。
🍵「手続き?」
🦈「そう! 『天界中央庁』っていう場所にいって、住民票みたいなIDを発行してもらうの。」
🦈「これがないと、天国でのいろんなサービスが受けられないからね。レッツゴー!」
コサメに案内され、
雲の動く歩道のようなものに乗ってしばらく進むと、
目の前にギリシャの神殿と近代的な高層ビルが合体したような、
おごそかで巨大な建物が見えてきた。
それが天界中央庁だった。
中に入ると、現世の役所のようにたくさんの天使や住人たちが行き交っている。
コサメは迷いのない足取りで、
奥にある特別そうな受付カウンターへとすちを引っ張っていった。
🦈「おーい! ランちゃーーん! 新しい大善人くん連れてきたよー!」
コサメが大きく手を振って呼びかけた先には、
一人の女性が書類をめくっていた。
見た目は大学生くらい。
ツヤのある綺麗な黒髪だが、
前髪の一部だけが鮮やかなピンク色に染まっている。
回転式の椅子をまわし、コサメとすちのほうをむく。
🌸「あ、コサメ。お疲れ様ー」
ランと呼ばれた女性は、
すちに気づくと、
クールながらも優しげな微笑みを浮かべた。
その背中には、
コサメの持っているものよりもさらに密度が高く、
神々しく輝く大きな羽が畳まれている。
コサメはランのデスクに身を乗り出すと、
自慢げにすちの肩を叩いた。
🦈「すちくん、驚かないでね。コサメは普通の案内天使なんだけど、
このランちゃんは大天使の一人で、実はこの天界でも結構偉いほうなんだよ!
ね!、ランちゃん!」
🌸「こらコサメ、あんまりハードルを上げないで。……はじめまして、翠谷すちくん。
大天使のランです。」
🌸「男の子を助けるために迷わず動いたあなたの魂、めちゃすごかったよ!」
ランはそう言ってニカッと笑うと、
手元のクリスタルでできた端末に指を滑らせ、
すちのためのIDカードを生成し始めた。
🌸「み、ど、り、や…すちっと」
🌸「はい!完成!」
🌸「はい、。これがすちくんのIDカードだよ」
ランが手元のクリスタル端末を操作すると、
すちの前に光る半透明のカードがすうっと浮かび上がった。
受け取ると、そこには彼の名前と『大善人』という文字が金色に輝いている。
🍵「ありがとう、ランさん」
カードをポケットに仕舞いながらお礼を言うすちに、
ランは表情を引き締め、
真剣な眼差しを向けた。
🌸「さて、すちくん。ここからが本題よ。
さあ、この先どういう生き方をしたい?」
🍵「えっとどんな選択肢とかって…?」
🌸「あれ?コサメから聞かなかった?」
🍵「はい、IDつくるとしか聞いてなくて…」
🌸「コーサーメ?」
🦈「はい!!忘れてました!ごめんなさい!」
🌸「もぉ…じゃあ私から説明させてもらうね」
🌸「あなたは死んだけど天国で普通に暮らす以外の選択肢もあるの」
🌸「それぞれのメリットとデメリットを説明するから、よく聞いて選んでね」
コサメもすちの隣で、いつになく真面目な顔をしてコクコクと頷いている。
🌸「一つ目は輪廻転生」
🌸「もう一度現世に生まれ変わる道よ」
🌸「瑞々しい人生を最初からやり直せるし、
新しい家族や友達に出会い、
天国では味わえない未知の未来へ挑戦するワクワク感をもう一度味わえる。」
🦈「すちくんみたいに若い頃にで命を落とした人とかはよく選んでるよねー!」
🌸「だけど前世と今…つまり天国の記憶はすべて完全に消去される。
それに大善人の徳があっても、次の転生で確実に人間に戻れるとは限らない。」
🌸「運が悪ければ虫や動物、植物になってしまうリスクもあるのが難点だね」
🌸「二つ目は天使採用試験を受ける」
🌸「今のコサメや私みたいに『天使』としての役職に就く道。」
🌸「合格すれば天使の翼をもらえて、天界の仕組みや世界の運営に関わることができる。」
🌸「天使には大天使、教官、守護聖、案内人、などのたくさんのお仕事があって役職によっては現世に降り立つこともできるんだよ」
🍵「!、天使じゃない人は現世をみることはできないんだ…。」
🌸「それは天使の特権なんだよね~」
🦈「コサメは現世にいく機会はあんまないかな…。」
🌸「だってコサメは特務案内人じゃん」
🍵「?なんですか?特務案内人って…」
🦈「普通の案内人とは違ってすちくんみたいな大善人を大天使のところへ案内する人のことだよっ!」
🍵「へぇ…、すごい人なんだ、!」
🦈「そうなのさっ!…まあここに100年以上いたら普通の仕事が退屈になっちゃうからねぇ」
コサメが苦笑いでいう。
すちはこの人だいぶ先輩だったと悟る。
🌸「はいはい、話が脱線しちゃったね」
🌸「悪いところは当然、仕事としての責任が生まれるわ。
天界のルールを厳格に守らなきゃいけないし、現世の人間を導くための勉強や訓練はかなり過酷。
特務~になるとコサメみたいに毎日あちこちを飛び回る忙しい日々になるかもだね」
🌸「3つ目は天界で一般住民として自由にのんびり暮らすこと」
🌸「何の役職も持たず、この天国でただ一人の住人として過ごす道のこと。」
🌸「とにかく究極の自由。
衣食住は願うだけで何でも手に入るし、働く義務も一切ない。
好きな年齢の姿になって、永遠に近い時間をただただ趣味や娯楽、お昼寝に費やして、ノンストレスで怠惰に暮らすことができるわ」
🌸「だけどあまりにも変化がなさすぎて、数百年、数千年と経つうちに『退屈』に押しつぶされそうになる人が多いこともあるの。」
🌸「現世との繋がりも完全に断たれるから、残してきた家族のその後を知る術もなくなってしまうね」
ランは一通り説明を終えると、ふっと優しい微笑みに戻った。
🌸「どれを選んでも、すちくんの自由。
大善人のあなたなら、天使の試験もきっと有利に進むでしょうし、
のんびり暮らすにしても最高ランクのエリアが保証される。」
🌸「……さあ、すちくん。どの道を歩みたい?」
隣でコサメが
🦈「もし天使になったら、コサメの後輩だね!」
と期待に満ちた目でこちらを見つめている。
すちは提示された3つの未来を頭の中で並べ、じっくりと考え込み始めた。
空彩
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コメント
1件
おお、第2話で一気に世界観が広がったな!天界中央庁の映像がすごくクリアに浮かんでくるし、ランとコサメのキャラの対比もいい味出してる。特務案内人って肩書きにはワクワクしたわ。そして「輪廻転生・天使採用・一般住民」の三択、すちくんがどう選ぶのか気になりすぎる。コサメの「後輩になってよ!」の上目遣いも刺さるし、次話で決断シーンくるのかな?楽しみ🔥」