そこで余が介入した。魔力でセランティウスの体を大広間の吹き抜けの天井にたたきつけ、そのまま床まで墜落させた。全身打撲の衝撃と痛みでセランティウスは無力化し、もはや身を起こす体力さえ残されていないようだった。マコティーと互角に戦ったのは大したものだが、マコティーと互角とはつまり余の足元にも及ばないということ。 殺せ殺せと血気にはやる近衛兵を下がらせて、無残に横たわるセランティウスに余が自ら尋問した。
「仲間もみな死んだ。勝てるわけない無益な戦いに身を投じてなぜ命を粗末にする?」
「家族のためだ」
「家族?」
「おれが死んでもおれの妻子さえ元気に暮らせてくれればそれでいいんだ」
「なるほど」
「もう話はいいだろう? さっさと殺せ」
数え切れぬほどの敵を殺してきたが、殺せと言われると違うことをしたくなる。
「マコティー」
「はっ」
「この大罪人の一族をことごとく探し出して、この男の目の前で焼き尽くせ」
「はっ」
何でもするからそれだけはとセランティウスは血の涙を流して訴えたが許さず、彼の一族の火あぶりは一週間後に執行された――
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