「……………………」
「思い出したようだな。この悪魔め! おまえを殺そうとしたおれはともかく、おれの妻子に何の罪があったというのだ? おまえなど百回殺しても殺したらんわ!」
「殺されるわけにはいかぬが、二、三発なら殴られてやってもいいぞ」
「おいネロンパトラ、なぜ二、三発なんだ? そこは殴るでも蹴るでも気が済むまでやればいいと答えるところじゃないのか?」
「いや、おまえ、人間にしとくのが惜しいくらい強かったから痛いかなと思って……」
「おまえ、さんざん独裁者として人々に痛みや苦しみを与えておいて、自分は少しの痛みも耐えられないのか? だいたいおれがおまえから受けた痛みの話はまだ終わってない」
「そうなのか? そういえばあのあとおまえを宮殿に住まわせた気がするな……」
目の前で家族を焼かれたセランティウスは脳の機能が停止し言葉も失って、認知症の老人のようになっていた。
「セランティウスを余の性奴隷にしようと思う」
「魔王陛下、お言葉ですが、魂の抜け殻のような者に夜伽の相手を命じてもお楽しみになれないのでは?」
「自分を強いとうぬぼれる男の鼻をへし折るのも楽しいが、悲しみに打ちひしがれた男を蹂躙し、傷口にさらに塩を練り込むのも一興だ」
マコティーは呆れたように笑っていた。その後セランティウスは三ヶ月間毎晩余の夜伽の相手を務めたが、余が妊娠しなかった責任を取らされ処刑された。とはいえ人間としては誰よりも勇敢で剣の扱いのうまい男だった。ただ殺すのは惜しいと思い、処刑する前に転生魔法を施した。
「生まれ変わったらもっと強い男になって、今度こそ余に世継ぎを授けよ」
と言い残して――
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