テラーノベル
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夕方の風が少し冷たくなってきて、フォークダンスの音楽が流れ始める。クラスの男女が円になって、軽くざわつきながら並んでいる。
🌸が列に入ろうとすると――
背後から腕がスッと伸びてきて、腰を引き寄せられた。
「はい、つかまえた。今日のパートナーは透くんで〜す♡」
いつもの無邪気な、でもどこか必死な笑顔。
「透、順番で回るんだよ?ほら、交代制…」
「は?なんで僕がそんなルール守んなきゃいけないの?」
ぴたっと近くに立ち、
わざと聞こえるように小声で、
「……他の男子に🌸触られんの、無理だから。」
耳まで赤いくせに言うことは重い。
⸻
🌸の手を握った瞬間、及川の本性が出る
手と手を合わせて回るタイミングになると、
普通は軽く触れるだけなのに――
透だけ、指を絡めてくる。
「ダンスでしょ?ほら、もっとくっついて。」
顔は笑っているのに、目は完全に独占欲のそれ。
周りの男子が順番で前に来るたびに、
透の眉がぴくっと動く。
「あ、君。触るの軽めでお願いね。
この子、僕のだから。」
『え、いや、ダンスの流れで…』
「わかってるけど?軽めって言ったよね?」
「と、とおる…!!」
笑顔。圧がえぐい。
先生に見られたら完全に怒られるやつ。
⸻
逆にからかわれて照れる及川
「透、嫉妬してるの?」
及川、0.5秒で真っ赤。
「し、してないし!?
ただ…その……嫌なんだよ、僕の彼女が他の男に触られんの。」
小声で言ってから、
耐えきれずに額をこつんと当ててくる。
「ねぇ、体育祭終わったらぎゅーしていい?
ずっと我慢してんの。」
犬みたいに尻尾振りそうな勢い。
⸻
最後の決めのポーズで、
透は誰よりも自然に🌸を抱き寄せる。
腕はしっかり、手の置き方は明らかに彼氏のそれ。
「……ほら、ちゃんと僕だけ見て。」
声が低い。
普段のふざけた調子が完全に消えている。
「今日めっちゃ可愛かった。
がんばって踊ってたのも、顔も。
全部、俺だけのだよね?」
「うん」と答えた瞬間、
「好き。後で、絶対離さないからね。」
体育祭中なのに、
完全に恋人だけの世界に入っている及川だった。
コメント
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ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ 及川かわっいぃぃ♡