テラーノベル
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「おっと、いけない。明日の午後三時だったな。用意は何をすればいいんだ?」
正源はタブレットPCで人形供養の作法を検索し、本堂の裏の倉庫にある携帯型簡易焼却炉がちゃんと動くかどうか確かめた。
人形供養なら最後にお焚き上げと言って、人形を火に投じて焼却する必要がある。だが、木造密集地帯のど真ん中にある正源の寺で、いまどき直に火を焚くわけにはいかない。
焼却炉の大きさは一メートル四方。動かしてみようとしたが、意外と重く、庭先に移動させるには台車か何かが必要なようだった。移動は明日やる事にした。
いまどきの僧侶には珍しく、ツルツルに剃った頭に吹きだした汗を拭いながら、正源はつぶやいた。
「これなら、大抵の人形なら入るだろう。今が五月でよかった。これが真夏なら大変だ」
その女性は午後三時まであと十分ほどの時刻にやって来た。既に袈裟を着込み、一番見栄えのいい数珠を手にした正源は門まで迎えに出た。
髪が真っ白になった七十は優に超えているらしい高齢の女性が、黒い喪服姿でそこに立っていた。姿勢や足取りはしっかりしており、言動もどこか気品の高さを感じさせた。かなりいい家のご婦人らしいな、と正源は思った。
だがその横にいかにも作業服という感じのジャンパーと帽子を身に着けた中年と若い二人の男が付き添っているのに気付いて、正源は一瞬ポカンとした。
中年の方の男が帽子を取って深々と礼をして、正源に話しかけた。
「ご住職さまでいらっしゃいますね? 本日は私たちが運搬をさせていただいております」
正源は目をぱちくりさせた。そんなに大きな人形なのか?
「運ぶ場所は、あちらの庭の真ん中あたりでよろしいいですか?」
わけが分からなかったが、正源は威厳を必死の保とうと、ことさら落ち着いた口調で答えた。
「はい。それで結構です」
「分かりました。おい、君、頼むよ」
中年の男に声をかけられた若い方の男が、「ういっす」と軽薄な返事をして、スマホを取り出し、素早く操作した。
どこからか、ブルブルブルと空気を震わせる音が聞こえて来た。その音は段々近づき、隣の敷地のアパートの屋根から、馬鹿でかい機械が空を飛んで現れた。
全長三メートルはある、その機械は六つのヘリコプターのような回転翼がついていて、無線で操縦されているようだ。
「ドローンか?」
正源は思わずつぶやいた。
コメント
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うわあ、この対比、すごく好きです。お寺の静かな庭に、突然現れる巨大ドローン。伝統と現代がぶつかる瞬間の正源さんの戸惑いが、つい「ドローンか?」と素でつぶやいてしまうところにじんわり出ていて、思わず笑っちゃいました。お人形さん、いったいどんな大きさなんだろう…次の展開が気になります🌷