テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
第十三話
注意書きは第一話をご覧下さい。
水side
ダッダッダッ
水「はぁッ…はぁッ…!!」
ガラガラ
水「…」
先生「あら、稲荷さん…」
水「…ポロッ」
水「せんせいっ…ぼくッ…またッ……逃げちゃった…ポロポロ」
水「…みんなの視線に、耐えられなかった…ッポロポロ」
先生「……そっか」
先生「大丈夫よ。私がいるから」ギュッ
先生「辛くなったら、いつでも休めばいいのよ」ヨシヨシ
水「ッ…ポロポロ」
僕は、みんなからの視線などに耐えられなくなって教室を出てしまった。
ついた先は保健室。
保健の先生は、傍に寄り添ってくれるから、信じられるから、本音をはけるから。
僕の学校での唯一の居場所。
先生「まずは座って落ち着きましょう」
先生「泣いてたらかわいい顔が台無しよ?」
水「…はいッ…ポロポロ」
数十分後
先生「…落ち着いたかしら?」
水「…はい、ごめんなさい迷惑かけて……」
先生「気にしなくていいのよ」
先生「稲荷さんの家庭事情は大変なのだから」
先生「むしろごめんなさい。力になれなくて」
水「いいんです…こうやって寄り添ってくれるだけで、嬉しいので……」
ピロン♪
先生「あら、稲荷さんのスマホから?」
水「……あ、妹から…」
先生「妹さんも、お母さんの味方じゃなかった?」
水「実は__」
先生「__そうだったの…」
先生「それで、なんて来たの?」
水「……住所送るからもう行っていいよって…」
水「ほんとに……いいのかな…」
先生「……それが、妹さんなりの配慮なのよ」
先生「素直に受け取ってもいいんじゃない?」
水「……そっか…」
水「でも、そうしたらもうこの学校には戻って来れなくて…」
先生「まあ逃げるってなったらそれなりには遠くへ行くわよね…」
先生「…でも、そっちに行った方があなたは幸せになれる」
先生「それは1番わかってるでしょ?」
水「…」コクッ
先生「……会いたくなったらいつでも会いに来なさい♪」
先生「私はずっとあなたを応援してるわ♪」
水「…はいっ…ありがとうございます…ッ!」
放課後
僕は、また放課後まで保健室に残り、親の迎えを無視して妹の学校に向かった。
妹「…あ、姉ちゃん!」
水「ぁ、ごめん、急に来ちゃって」
妹「いや全然!それより、アイツの迎えは?」
水「…無視、してきた…」
妹「…そっか!」
妹「それで、どうしたの?」
水「その、荷物とか…どうしたらいいかなって……」
妹「あー……姉ちゃんは荷物もうまとめてある?」
水「う、うん、まとめてバレないように隠してる」
妹「じゃあ私がそれも持ってそっちに行くよ!」
水「で、でも…大荷物になっちゃうよ?」
妹「だいじょーぶ!私こう見えて力持ちだし♪」
妹「あ、だけど、電車に乗っていくから駅にむかえにきてくれると嬉しいな♪」
水「それはもちろん」
妹「ありがと♪」
妹「姉ちゃんの住民票とか、学校の転校とか私がいろいろやっとくから姉ちゃんは先に行ってて」
妹「私もすぐ追いかけるから」
水「…うん…ッ」
水「気をつけてきてね」
妹「もちろんっ♪」
水「……ぁ、そうだ。お願いがあるんだけど__」
妹「?」
ガタンゴトン…ガタンゴトン…
水「…」
妹と別れてから私はそのまま電車に乗った。
もう、人の目を気にしなくて済む場所へ向かうために。
妹side
妹「…よしっ……」
姉ちゃんが先に親から逃げた。
私はあのメッセージが来た時、初めて頼って貰えた気がして嬉しかった。
あとは全て私がやる。
妹「姉ちゃんに貰った“コレ”も、渡さなきゃ」
ガチャ
妹「…ただいまー!」
コメント
1件
え!まじ神作です!! 続きめっちゃ楽しみにしてます!!