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「ピット…?」


   パルテナの神殿に、ピットを誘いに来たブラピはあの白い天使の姿を探す。


   だが、意外と1分もかからない程度に発見した。


「…こんなところにいたのか。」


「……」


   明らかにおかしい。


   何がおかしいって?


   あの明るく元気な陽キャなアイツが…しょんぼりしてる様子を。


   この目で見ちまったこと。


「あ、ブラピ。」


「ごめん。今日、遊べる気分じゃないんだ」


   そりゃ見ればわかるだろ。どう見たって元気のないただのひよっこだ。


   まあ、オレが気にする程でもないが。


「――」


「あ?なんて言った?もっとハッキリ言えよ。」


「相談に乗らないことは無い。お前が良いって言うなら」


   頼む…良くないって言ってくれ。そう願うしかないオレの馬鹿げた妄想。ピットのその声は──普段の明るい声よりかは低めの…今にも消えてしまいそうなテンションダダ下がりの空気だった。


「ボクって…」


   その後による発言が…ブラピをさらに追い詰める。


「本当に…生まれてきてよかった、のかな」


「……は?」


   彼の言う「生まれてきてよかった?」という疑問形に?が思い浮かぶ。オレはピットの本当の故郷など知らない。知る由もない。ココエンジェランドがピットの居場所、だとオレ自身、そう思っていたが…違うのか?お前の居場所は…故郷は別にあるのか?


   なわけねぇだろ……。何言ってやがる…


「だって…」


「だって…今まで、さんざんキミ達に迷惑かけてきたじゃないか。」


「パルテナ様の命令に泥を塗るようなことしちゃったり、ケーキ勝手に食べて…天界を追い出されそうになったり…」


   途中まで、ブラピは聞いていた。全てくだらない話、だってことを。


   でも、次のピットの発言はシカト真面目だった。


「1番は…」


「今でも覚えてるだろ…?ボクが…混沌の狭間でキミを助けたこと。」


「!ピット…」


「混沌の遣いがいきなり、ブラピを奈落の底に落ちてった時は…正直ね…助けなきゃ…ブラピのために…って頭の中が真っ白になって…どうしようもなかったんだ。」


「はは…本当にバカなことしちゃったな。ボク…」


   一雫こぼれた。ピットの涙だった_。


   これだけは言える。


   ピットの心は今も尚…壊れそうなほど、苦しそうに…辛そうにしている。


   なんで隠すんだよ…オレの前では…


「ブラ、ぴ…?」


   そんなピットをオレは…心の奥底から抱きしめる。


   ここまでよく耐えた…よく頑張った…


   オレのために…


「お前が助けに来なければ…あの時オレは…真っ先に死んでた。混沌の遣いと共にな」


「……。」


   でもその後はピットの翼が焼け落ちてしまい、昏睡状態となってしまった。その時の記憶はもちろん脳に叩き込んである。


   ピットの涙を親指で優しく拭い、決してピットのせいでは無いと心の底から真面目に動じる。


   逆にお前の方がすごいよ。ピット。


「ブラピに励まされるなんて…なんだか光栄だな。へへ。」


「へへ…じゃねぇよ!その代わり、ありがたく思えよ?」


「なにおう?偉そうに…」


「もう手助けは必要ないみたいだな?」


「え?あ…そう、だね」


「また困ったら言えよ?今度は聞かないでやるが」


「む……なら今度はボクから聞きに行ってやる!ブラピのお悩み相談!」


「そんなの必要あるか?オレに悩みなんてないね。」


   あ、今…ウソついた。キミの…わかりやすい嘘つき。


   それ…いつか話してくれるのかな。


   いつかは…

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