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市街地のど真ん中、巨体の怪獣が暴れ回る。第三部隊の隊員たちは散り散りに避難誘導を行い、戦場には二人の影が残った。
神楽るり――そして副隊長、保科宗四郎。
「副隊長、あれ……分厚い装甲で正面から斬っても通りまへんで」
るりは鉄扇を握りしめ、冷静に敵を見据えた。
保科は刀を抜き、にやりと笑う。
「せやな。せやけど……斬れんもんはない、やろ?」
怪獣が咆哮し、巨大な前脚を振り下ろす。
地面が砕け、粉塵が舞った瞬間――
「――っ!」
るりが舞うように鉄扇を振り抜く。
空気が裂け、鋭い衝撃波が怪獣の関節へと叩き込まれる。
装甲がひび割れ、バランスを崩した巨体がわずかに膝をついた。
「今どす、副隊長!」
「任せぇっ!」
保科が地面を蹴り、疾風のごとく駆け抜ける。
剣閃が閃き、ひび割れた装甲を正確に貫いた。
――ドゴォォォォンッ!!!
怪獣の咆哮が途切れ、巨体が崩れ落ちる。
静寂の中、保科は刀を納め、肩で息をついた。
「はぁ……ようやったな、るり姐」
「副隊長こそ……ほんま頼りになるお人やわぁ」
るりは鉄扇を畳み、にこりと笑う。
そしてふと、甘味の話を思い出したように口を開いた。
「……この後、ご褒美に大福食べても、罰は当たらへんよな?」
保科は苦笑しつつ、頷いた。
「せやな。せやけど戦闘直後に貞子みたいに探すんは、もう勘弁やで?」
「ふふっ……気ぃつけるわぁ」
崩壊した街に、二人の笑い声が小さく響いた。