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「妖怪が食べられることは珍しくないんだ。 …やられたのは小物か?」
妖怪が食べられることは珍しくないことをしって、無知をさらしているような気分になった。なんだか恥ずかしい。
「えっと、どうなんだろう。」わたしはちらっとアキナさんを見る。アキナさんが私の視線に気づいて私の代わりに答えた。
「それはない。彼らはこの私には劣るがその辺の妖よりもずっと強いといえる。」
夏目くんとアキナさんが喋る様子を見ると、私の脳裏に一緒に過ごしてきた妖との思い出が頭をよぎってくる。
「…あなたのお友達が食べられていないうちに知らせておこうと思って。こんな話学校で出来ないや」と口角を上げて笑っていうと。
夏目は私の手と手を重ねて
「大事な友人がやられてしまったんだ。無理に笑わなくていい。」と優しく微笑んでいってくれた。
彼の言葉には温かさと優しさが含まれていて、無意識のうちに視界がぼやけて、太ももの上にひとつ、またひとつ何かが落ちていくことがわかった。これが自分の涙だと気づいたのはすぐだった。
「ごめん、汚いところ見せて。ごめんなさい。すぐ泣き止むから。」そういったのに、彼は私を優しく抱きしめてくれた。
彼の優しさは太陽のひだまりみたいで、その温かさにまた涙がとまらなくなってしまう。
「わたし、わたしっ──あの子達はいつもいつもずーーっとそばに私のそばに居てくれたの。まだ何も恩返しできてないのに。あの子たち、やられちゃった。私、どうしよう。夏目くん。」
私は宝物を無くしてしまった幼児のように泣きじゃくってしまった。 彼は何も言わず私の頭を撫でながら話を聞いてくれていた。
周りから見たら私はなんて情けないことをしているのかと思ってしまう。
ただ、今だけは‥彼の腕の中がどの場所よりも心地いい。そう思った。
〇〇とまともに喋ったのは初めてだった。 ○○は俺が転入した時から少し気になっていた。不思議な人だと思った。
学校内に友人はいたものの、俺や北村、西村のように一緒に家に帰るような、そんな友人は見たことがなかった。休み時間には窓辺側をみては黄昏ていることがあった。あとは淡々と過ごしているものだから、今日こんなふうに感情を出す人だということに少しびっくりした。
○○は疲れが溜まっていたのか、俺の腕の中で眠ってしまった。俺は〇〇を起こさないように、ニャンコ先生がよく使っている座布団に頭を置かせ、横にさせた。改めてみると、彼女の体型はあまりに細い。ブランケットをかけてやると、彼女はすやすやと眠った。
「ところでお前、もとの主はどこいったのだ。」ニャンコ先生は〇〇が寝たあと樂に向かって質問をする。「あのお方はお亡くなりになった。人の子よ、〇〇はあとどのくらい生きることができる?」俺らは病気をしなければあと60年ほどだ(*2) と。素直に伝えると、樂は悲しそうな顔をして「…そうか。人の一生というものはあまりに一瞬だな。」と〇〇を見つめながらいう。「〇〇と長い付き合いなのか」ときいてみると、「此奴は赤ん坊の頃から知っておる。あのお方の娘だからな。」俺は樂が〇〇の親の式だということを察した。
(*1─恋愛感情かどうかはお任せします。)
(*2─連載当初2007年から夏目の年齢を引いて1991年。1991年女の平均寿命は 82歳となる。)
私は短い夢を見た。私の三つ妖たちが私の帰りを待っている様子だった。私がここに来たらどんな話をしてやろうか。今日あったことか、昔の話をしてやろうか。と、談笑していた。すると突然強い光がさした。それはあまりに一瞬だった。二つの妖は黒く私のふた周りもありそうな大きい妖に、首を捕まれ苦しそうにもがいて連れていかれ、もう1つの妖は顔は見えないものの人間の手に掴まれて──。
私はガバッと体を起こす。あれはあの子達の──記憶なのか。眼の前には夏目くんと、にゃんこ先生と、アキナさんがいた。
「〇〇、起きたか。うなされていた…大丈夫か?」アキナさんが心配そうに覗き込んで言った。アキナさんはそのまま私に頬ずりしてくる。「過保護すぎじゃないのか」とニャンコ先生は皮肉気味にいった。確かに。わたしから見ても過保護な気がする。でも、私の事がそれほど心配だったのかと思うと嬉しくて。
「大丈夫ですよ、心配してくれて嬉しい。ありがとうございます。」
「それよりも、夏目くん。私あの子達の記憶を見たの──」
私の友達は食べられたんじゃない、人間に連れていかれたんだ。
わたしは3人に向かって夢で見たことを説明した。
するとニャンコ先生は間髪入れずに言った「そうなると祓い屋の仕業か。」
「祓い屋…?祓い屋ってなんですか?」とニャンコ先生に質問するが、「…斑、あいつらの存在を〇〇に吹き込ませるな。」とアキナが心底嫌な顔をしているのが分かった、
「樂、お前、原因は祓い屋だってわかっていたのにこいつに言わなかったんだな。いつの間に人間なんかに情をかけるようになったのだ」と皮肉めいて言われていた。
私は訳が分からず夏目くんの方をちらっと見ると
「…祓い屋は、妖怪を呪術で退治する人間のことだよ。。」
───え?
夏目くんに、詳しく説明してもらった。でも、、
「私は優しい妖たちが払われたり、封印されるのは嫌だなぁ…」と、私は呑気な回答しか出てこない。するとアキナさんが呆れて夏目くんにいう「夏目、こいつは悪い妖が見えぬ。まだ比較的ましな妖しかあわぬのだ。だからこそ、妖がいかに恐ろしいか、祓い屋の存在意義を知らぬのだ。」と。
夏目くんは少し考えて。
「…なぁ○○。○○は友達を取り戻したいか」夏目くんは優しいから、私のために取り返そうとしてくれるのが伝わった。
「あの子たちは私の家族同様だもの取り返せるのなら取り戻したい。でも夏目くんが取り返すために危ない目に遭わせるのは嫌だな。」と本心を伝えた。
「だからやるとしたら私が祓い屋さんのところに行く。」「やめろ!!それは、ダメだ。」アキナさんが焦って言う。アキナさんが言うにはどうにも祓い屋さんというのは、無慈悲な人間がやるもので、止めろと言っても聞かないらしい。
「でも…夏目くんにも、にゃんこ先生にも迷惑かかってしまいますし…。…夏目くんはどうすればいいと思う?」
「どうするのだ夏目。また引き受ける気か?」とニャンコ先生がいう。
また…ということは夏目くんはこんな面倒事を引き寄せてしまいやすい体質なのか。
「…なつめ、もし良ければ手伝ってくれぬか。私はコイツが無茶するのを止められぬ。ならば、お前が居てくれると助かるのだ。こいつは見えない妖の方が多い。だから…」と、アキナさんがいうから
「アキナさんってば私は大丈夫ですよ、夏目くんに申し訳ないです。」
「いいよ。手伝おう。」と夏目くんはいう。
ニャンコ先生が「ふん、また面倒事を請負よって。」と言ったが夏目くんはもし中級たちがやられたら俺も嫌だし、祓い屋なら名取さんが力になってくれるだろう。とニャンコ先生を宥めるように言った。「○○、俺も話が通じたりする妖をはらう祓い屋は嫌なんだ。」と気を遣ってくれた。
「俺には知り合いの祓い屋が居るから、明日、その人に今度会いに行こう。もしかしたら誰がやったのか特定出来るかもしれない。」と言った。もう夜遅いから泊まっていくといいと言われ、夏目さんの家にお邪魔することになったのです。
実家には友達の家にお泊まりします。と留守電をいれ、私は夏目くんのお母さんの藤原ご夫妻と夏目くんと一緒にご飯を食べたのです。
塔子さんは「それで、〇〇ちゃんはたかしくんの彼女さん?」と言ったせいで私は噎せ、「塔子さん違いますよ」と夏目くんは即座に否定して言った。
そんなにすぐに否定しなくてもいいのに。事実だけど。
「あらそう?ごめんなさいね。なんだか初々しくて」と言った。
「たかし、他所様のお嬢さんなんだから、親御さんのためにもちゃんと事前に伝えておかないと行けないよ。」
「はい、すみません。」
「私は一人暮らしなので。私が何しようと親はあまり興味が無いらしくて。むしろ私が長居してしまったせいでお世話になることに…」夏目くんが私のせいで怒られている。私は彼を必死にフォローした。
夏目くんも驚いた顔で「そうなのか?」といってくる。私が静かに頷くと塔子さんは、
「普段食事は?どうしているの?」と質問をしてくれた。
「ある程度自炊はしてるんですが、お昼はお惣菜とかがほとんどですかね…。夕飯も疲れたらお惣菜にしちゃうんですよね。スーパーのも美味しくて。お金はちゃんと入れてくださるので。週一でスーパーによって買い貯めて何とかやりくりしてる感じです。誰かの手料理は久しぶりに食べましたし、みんなで食べるとやっぱり美味しいですね。」
塔子さんと滋さんは目を合わせて私の目を見て言った
「もし良ければこれから私の家で食べない?」と。
「そんな訳には…材料費とかもかさみますし…。それに夏目くんが…」
「俺は大丈夫だよ。むしろ○○の体調の方が心配だ」と。
「…じゃあ、お夕飯だけお世話になります。それと、材料費程度は負担させてください。」
「あらいいのに。」
「そんな訳には…仕送り金も過剰にあるせいで私も食費以外に使わないですし」というと、「そう?なら受け取るわね」と言ってくれて。
夏目くんはいい人に出会えたんだ。と私はすこし夏目くんを少し羨んだ。
ご飯を食べ終わったあとお風呂に入らせてくれた。夏目くんは部屋に戻ったようだった。手ぶらの私に着替えと用意してくれたのは塔子さんの着なくなった洋服で、着替えありがとうございますと言いに行くと、私の体がほそいためか、あまりにブカブカで。ちゃんと食べないと。と、塔子さんに言われてしまった。申し訳ない。寝る時、私は客室で寝させてもらった。アキナさんはにゃんこ先生と話があると言って午前2時前後に私の傍に戻ってきた。
「…て、………………けて、助けて!!!」視界が真っ暗の夢の中で誰かが叫んでいる。
私は無造作に手を伸ばすけれども何も掴むことが出来ない。
待ってて、大丈夫。すぐに助けに行く。