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翌朝、私が住んでいる家に帰り着替えたあとで、私は夏目くんと再び合流し、「祓い屋」の夏目くんの友人の自宅へ向かった。ニャンコ先生は夏目くんのバッグの中に入っているようだ。可愛らしい。ちなみにアキナさんは払い屋の家には行きたくないが斑がいるならとついてきてくれた。私のカバンの中に入ってじっとしている。
道中でその方はどんな人なのだろうと。呪い師のように高齢の方で、陰気な感じの方なのだろうか と、想像したが、夏目くんが写真を見せてくれて見てみると私の想像はどれも外れていた。スタイリッシュな体型に整った顔立ちをしていて若かった。
夏目くんにこの人の顔、知ってるか?と聞かれたが、私は知らないと答えてしまった。なんとテレビでも活躍してる俳優さんと言われる人らしい。私の家にはテレビがないから当たり前なのかもしれない。
大きいタワーマンションのインターホンを鳴らすと「はぁい」と機嫌の悪そうな声でいわれた。「夏目です」と言うと、「夏目!?よく来たね、中に入りなさい」と手のひらを返しが面白くて微笑んでしまう。
…ところで、夏目くんは今日ここに来ることを家主に伝えていなかったのだろうか。意外と夏目くんは無計画的な人なのかもしれない。
エレベーターに乗る直前、柊が現れた。
「柊、いたのか」と言うと
「あぁ、夏目。よく来たな。」と柊が歓迎してくれた。柊の目線が○○にいく。
「俺のクラスメイトだよ。ちょっと名取さんに用があって。」
と柊としばらく談笑していると○○は
「…夏目くん、やっぱりそこに妖がいるの…?」と一言だけ言った。
俺はアキナが言っていた言葉を思い出す。《こいつは悪い妖が見えぬ──。》
柊は元々、祈祷師に捕まり、逃亡や反抗を封じる術をかけられ、何年も使役させられていた。呪いとしての時間が長すぎたのだろうか。彼女にとっては悪い妖と認識されてしまったのだろう。「○○は柊が見えないのか…。」というとすこししょげた顔で○○は頷いた。
「でも、柊さんから私を認識することは出来るのよね、見えないのは少し残念だけれども…」と笑って言った。
「○○は────」俺は何かをいいかけたが、なんて言語化したらいいのか分からなくて、言葉を呑み込み名取さんの部屋へと向かった。
夏目くんがピンポンを鳴らすと「はいはーい。」
ガチャと扉が開く。よく来たね、二回目かな?…おや、そちらのレディは?」と中から出てきたのは琥珀のような透き通る瞳に淡いサンドベージュの髪色のセンター分けの男性。私はとのに対しての美醜がよく分からないが、この人は綺麗だと思った。俳優なのにも納得がいく。寝起きだったのだろうか。彼の髪には寝癖が少しついている。
「彼女は俺の友人です。名取さんにしか頼めないことがあって…」
「もちろんだよ。夏目。それにレディも。リビングに入りなさい。」と家にあげてくれました。
名取さんは私と夏目くんと、ニャンコ先生に茶菓子を出してくれた。
「ま、まずは自己紹介させてください。私は夏目くんの隣の席の○○といいます。初めまして。」
「初めまして。名取周一です。表では俳優を。裏稼業では祓い屋をしている。」
私は今までの経緯を簡単に説明した。
「なるほどね。ひとつ聞いてもいいかな?今まで夏目から君の存在を聞いたことはなかったのだけれど。関わり始めたのは最近ということかい?」
当然の質問だよね、私は冷静に答える。
「はい。あやかし達から「夏目と関わらない方がいい」と言われていて。昨日夏目くんと初めてまともに会話したんです。夏目くんはいい意味でも悪い意味でも有名ですから。」
夏目は私の太ももに手をのせ、軽く首を横にふった、友人帳については詳しく言っちゃダメだという意味だろう。
分かってるよ、と夏目の手を握る。大丈夫だと安心させるために。
遺品のことは何故伝えてないのかと思ったが、この人が祓い屋という職業ならば伝えないことは賢明な判断だと思った。
「妖を取り返して欲しいと?」
「…できれば。ただ、手助けをして欲しいと思っただけです。」
私は祓い屋について全く知らない。ただ私の関わってきたあやかし達は夏目くんから聞いてみれば人間に大して寛容な方らしい。祓い屋という職業がある以上、悪い妖がいることもわかる。
「お願いします。私の大事な家族なんです…。私の大切な友人なんです。連れていった方がどなたか知るだけでもいいんです。」私は正座し膝の前に手をつけ頭を床につけた。
「女の子にそんなことさせるのは私のポリシーに反するんだ。いいから顔を上げて」と言われ、顔を上げるも涙いっぱいの顔を見られてしまう。名取さんは私の頬に手を伸ばしたが、手から少し嫌な感じがする。夏目も何かを察して名取さんの手を払い私の顔を胸に押付け、アキナさんが「私の大切なものに触るんじゃない、祓い屋。」と、ニャンコ先生と共に本来の姿に戻って名取を囲むように威嚇した。
「…ありがとうございます」と小声で言うと「いいんだ。」と夏目はぼそりと言った。名取さんの手から簡単な術のようなものが感じがした。皆が私を守ってくれたんだ。
「…名取さん。引き受けてくれませんか。俺も大切な友人の妖がが森の中に住んでるんです。」
夏目。君はまた随分面倒な子を連れてきたようだね。あの妖とあの子は私の手に術があるのを察したようだ。それほどまでに力が強いということか。面倒だから眠らせようとしたのだが、失敗してしまったね。
柊たちは構えた姿勢をとるが私が片手をあげて、構えの姿勢をやめさせる。今、私が交戦したところで、私が彼らに勝てる勝算は限りなく0に近い。
「…私の友人のお願いだ。よし、いいよ。わかった引き受けよう。」
ここは素直に引き受けるしかないみたいだ。
名取さんの名誉のために補足を失礼します。
なんでこんな怖いことをしたのかと 思う方もきっといらっしゃるでしょう。
ですが名取さんは『祓い屋』としては普通の行動をしてます。
⚠時期的に名取さんは夏目を信用しはじめたところ
⚠ 名取さんはこのとき「合理的」を優先している。
→祓い屋の仕事を奪う(もし手伝えば祓い屋として敵を増やしてしまいかねない)
→単純に夢主たちが危ないこと
→夢主が夏目を騙しているかもしれないという疑念
→妖のために感情的になっている夢主を眠らせて、夏目から話を聞こうとした(妖に乗っ取られている可能性もなくはないため)
私の中で名取さんは、冷静且つ合理的に判断する人物です。的場さんと違う意味で怖くて。優しさと慈愛に溢れている人物です。あと口下手です。
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