テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
目が眩むほど晴れたある日、僕は天使に出会った。
「あんのパワハラ上司め…休日に重要書類取りに行かせるとかカスすぎんだろッッ!!!」
と思わず心の声がダダ漏れになるのも許して欲しい。本当は今日は溜めていたエロゲをやる日だったのに、馬鹿な上司のせいで日曜日なのに出勤する羽目になったのだ。
薄々勘づいている人もいるだろうが僕、甲斐田晴は社畜だ。休日出勤は当たり前、7時に出社して0時まで働き、上司のパワハラに耐える日々。
「はぁ〜…疲れた…」
あいにく今日は忌々しいほどに晴天だ。強すぎる太陽の光が僕を突き刺していく 。いや、なんか眩しすぎる…。まるでライトを直で見ているような…、
「…え?」
目の前にはもう少しでぶつかるんじゃないか、と思うほど至近距離で僕を覗き込む天使 がいた 。
『やっと見つけました、ハル』
やわらかそうなミルクブラウンの髪、優しげに細められた目、美しく神々しい白い羽根、どこをとっても美しいとしか言いようのない彼に、一瞬我を忘れて見とれてしまった。
「…ん??なんで僕の名前…、えっ、天使!?はッ?!」
止まっていた思考が動いた瞬間、僕は疑問の渦に突き落とされた。
(え、天使?いやでもここ現実世界よな?!アニメ観すぎて幻覚が…っ?!)
『幻覚じゃないですよ〜』
「うわぁぁぁ!なんで僕の考えてることが…っ?!」
『そりゃあ天使なんだから当たり前でしょう?』
(いやまじで理解不能。そんなできて当然みたいに言われましても…。てかそもそもこの人誰ぇ、シラナイヒトコワイヨー。)
『ああ、記憶が…そうか、
…申し遅れました、ワタクシ加賀美ハヤトと申します。
これからハルの守護神を努めさせていただきますので、以後お見知りおきを。』
優しく微笑みながら彼、加賀美ハヤトは僕の手にまるで宝物を触れるみたいにキスをした。
僕の頭は理解が追いつかないのと、羞恥心によって完全にショートしてしまい、そこで意識は途切れた。
会社は…無断欠勤した。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!