テラーノベル
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KAIRYUはツンツンしているので、RANのことを頼ってくれることもちょっと少ない。
力が必要なものなどはすぐにRANに頼ってくるが、自分が体調不良の時や少し体を痛めた時など、RANのことを頼りにしない。
RANからしたら華奢なその体は人一倍心配になるし、1番は大好きなKAIRYUのお世話をしたい。だから弱ったときはいつでも頼ってほしいと思っているのだが…。
普段は強がりでツンツンしていて、力仕事(固いビンを開けるとか、重い荷物を持つとか)だけは「RAN、これやって」とあっさり頼んでくるKAIRYU。
けれど、風邪をひいたり熱を出したり、ダンスの練習で腰や足の筋肉を痛めたりした時だけは、なぜか一切RANを頼ろうとしない。
華奢で白いその身体は、RANからすればいつでも軽々と抱き上げられるし、何より大好きな恋人が弱っている時こそ、全身全霊でお世話をして甘やかしたいのがRANの本音だった。
それなのにKAIRYUは、「大丈夫や」「一人でできる」と頑なに強がって、一人で痛みに耐えようとしてしまう。
◇
その日もそうだった。
ハードなレッスンが終わり、帰宅した夜。KAIRYUは着替えを済ませると、いつもならリビングのソファでゴロゴロするはずなのに、どこかぎこちない足取りでまっすぐ寝室へ向かおうとした。
「……カイリュウ、待って」
ソファから立ち上がったRANは、すれ違いざまにKAIRYUの手首をそっと掴んだ。
「……っ痛……! あ……っ」
一瞬、KAIRYUの顔が苦痛に歪み、小さな悲鳴が漏れる。
「……やっぱり。今日のレッスン中からずっと腰か足、庇う動きしてたでしょ。見せて」
「なんでもないって……っ! ちょっと筋肉痛なだけや、寝たら治る!」
サッと手首を振り払おうとするKAIRYU。
だが、体が万全でない彼の力で、RANの身体を拒みきれるはずもなかった。
RANは力ずくではなく、逃げ場をなくすように優しく、けれど絶対に逃がさない強さでKAIRYUの細い腰を引き寄せ、そのままお姫様抱っこで抱き上げた。
「わっ……!? ちょ、降ろせやRAN! 重いやろ!」
「重くないけん。」
RANはバタバタと暴れようとするKAIRYUをいとも簡単に抑え込み、リビングの広いソファへそっと降ろした。
逃げ出そうとするKAIRYUの両脇に手を突き、上から包み込むようにして見下ろす。
「……なんで頼ってくれないと?」
静かだが、どこか傷ついたようなRANの低い声に、KAIRYUの口が噤んだ。
「瓶の蓋開けるのは『RANやってー』ってすぐ言うのに。体調悪い時とか、身体痛めた時だけ……なんで俺を遠ざけるん?」
「……それは……っ」
KAIRYUは気まずそうに視線を泳がせる。
「……カッコ悪いやんか。俺、一応お前より年上やし……っ。力仕事頼むのとはワケが違うねん。弱ってるトコまでRANに見せてお世話されたら……ほんまに俺、お前に追いつけへん気がして嫌なんや……」
消え入りそうな声で吐き出された、強がりなツンデレの奥にある小さなプライドと本音。
RANは一瞬ポカンとした後、あまりの愛おしさに「はぁ……」と深いため息をついた。
「……バカ」
「バカってなんや!」
「カイリュウは本当バカ。年上とか、そんなのどうでもいいよ。俺は……大好きなカイリュウが弱ってる時、一番近くで支えてあげたいの。お世話させてほしいの。頼ってもらえない俺の気持ち、分かってる……?」
RANはKAIRYUの頬を大きな手で包み込み、耳元で切なく囁いた。
「お願いだから、俺に頼って。俺のカイリュウでしょ?」
「っ……///」
真剣で熱い瞳で見つめられ、体温が一気に跳ね上がるKAIRYU。
弱みを見せるのが怖かったはずなのに、RANの大きな手と温もりに包まれると、固く張っていた心の糸がぷつんと切れてしまった。
「……っ、うー……っ……痛い……」
「え?」
「……腰と、右の太もも……めちゃくちゃ痛い……っ。一人で湿布貼れへんかった…っ」
やっと素直に弱音を吐いてくれた恋人。KAIRYUは自らRANの首元に手を回すと、すがるように顔を胸元に埋めてきた。
「……ん、よく言えました」
RANの口元に、満足気で甘い笑みが浮かぶ。
「湿布も貼ってあげるし、マッサージもしてあげる。明日までベッドから一歩も出さずに僕が全部お世話してあげるからね、カイリュウ」
「……お前、嬉しそうにしすぎ……っ」
文句を言いながらも、頼れた安心感からか、KAIRYUはRANの胸の中で力を抜いて甘え始めた。
自分を全面的に頼ってくれた幸せ噛み締めながら、RANは愛しい恋人の華奢な身体を抱きしめ、夜通し甲斐甲斐しくお世話をし尽くすのだった。
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コメント
1件
うわっ、もうこの2人の関係性が尊すぎます……!RANの「なんで頼ってくれないと?」って静かに傷ついた声、すごく響きました。KAIRYUの「弱ってるとこまで見せたら追いつけへん気がする」っていう本音、ツンデレの奥にあるプライドが愛おしい。最後やっと素直に「痛い」って言えた瞬間、思わず「よかったね」って声が出ました。お世話させてほしいRANの気持ちと、甘え始めたKAIRYUのバランスが絶妙で、胸がぎゅっとなりました。