【ut side】
目を開けたら真っ白な空間だった。
何も見えないし、何も聞こえない。
ただ暖かい。暖かくて眠りそうになってしまう。
ここがどこなんかもわからない。
でも寝てしまいそう。
??「~~」
誰かが何かを話している。
誰かは分からない、でも懐かしい声。
ut「あっ…」
ふと目を凝らすと、僕が思っている仲間の姿が見えた。
仲間のそばに行こうとして、ふと立ち止まる。
僕は嫌われているではないか。
コネシマたちは僕の方を見て、何か言う。
上手く聞き取れないが、ある単語だけは聞こえる。
kn「………来い!!!」
その言葉だけ聞こえる。
行きたい。でも、仲間が怖い。
…死にたい。
そんな思いが頭の中でぐるぐる回って、しんどくなった。
シッマたちはこちらに来るでもなく、ずっと何か言っていた。
もしかしたら、殴らせろと言う意味なのかもしれない。
そう思ったら最後。
怖くて立つ事も出来ない。
ut「……ぃや、やや…行きたない…」
僕はその場にしゃがんでる事しか出来なかった。
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【kn side】
kn「…っ大先生…!」
大先生は一週間、目を覚ましていない。
あの日、大先生が消える、と言っていた日、グルッペンが帰ってきた。
大先生の事を話し、総統の指示を仰いだ。
…本当は総統の指示も聞かずに行動すべきなんだったんだろうが、俺らは出来なかった。
…怖かった、これ以上、大先生の事を傷つけるのが。
ロボロやトントンが気になっていた飲み物の事、記憶の事、物知りなグルッペンは知っていた。
俺らが飲んだのはきっと、洗脳の薬が入った水なのだろう、と。
最近巷では噂になっている洗脳の薬。
今回のように、飲ませた後に大先生の事を悪く言ったりすると、飲んだ人らの中で「大先生が何もかも悪い」と洗脳され、その人との今までの記憶から何まで、消えてしまうのだという。
薬の量が多ければ多いほど、効果は強いらしいが、強すぎると死に至る事もあるのだとか…。
翌日にはシャオロンが目を覚ました。
シャオロンに大先生の事を話すと、顔面蒼白でいかにも死人のような顔色をしていたが、一般兵の事を教えてもらえた。
ロボロに調べてもらうと、そいつらは長年のライバル、敵国Aだということが分かった。
そしてそれと同時に、大先生がそいつらに、何処かへと連れていかれる映像も手に入った。
そこまで分かったらあとはもう簡単。
グルッペンは怒り、すぐに宣戦布告。
一日で大先生を救出し、その国を滅ぼす事が出来た。
だが、先ほども言った通り、一週間立経った今でも大先生は目を覚ましていない。
薬はどうなったか?
相手脅して解毒剤もらったに決まっとるやろ。
だから今は記憶全てある。
大先生と焼肉食いに行った事も、げらげら笑いながら2人で迷子になった事も…
まるで昨日の出来事のように思い出す事ができる。
…大先生、もう皆、大先生の事嫌ってないで。
都合いいとか思うかもしれんけど、ごめんな…
安心して帰ってきていいねんで。
殴ってもええ、俺らの事嫌っててもええ。
せめて謝らせてくれや、
土下座でも何でもするからさ。
お願い…頼むから、
kn「帰って来て……」ポロ