テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ちゃ
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
日付変わってからになってしまった😭てことで続きです🙏💦
勇斗side🩷
楽屋のソファに、静かに時間が流れている。
ソファに横になっている仁人の呼吸が、ようやく落ち着いてきた。
勇「仁人…」
小さく呟きながら、額にかかる前髪をそっと払う。
指先に伝わる体温は、まだ少し高い。
でもさっきみたいな危うさはない。
よかった…
心の底から、そう思う。
その一方で、視線が、どうしても離せない。
無防備な寝顔、さっき自分に縋ってきた表情、熱に浮かされた瞳、全部、焼き付いている。
目が…離せない…
勇「好き……なんだよな…」
ずっと気付かない振りをしてきた感情、もう、認めるしかない。
バース性とか関係なく、ずっと。
その上で、仁人がオメガって…反則だろ…
苦く笑いそうになる。
あんな顔、見せられて…我慢できる方がおかしい。
でも、それを認めた瞬間に、さっきの出来事が、ただの“本能”で片付けられそうで、それが、嫌だった。
勇「……っ」
自分を抑えるみたいに、小さく息を吐く。
その時、
仁「っん……」
かすかな声とともに、仁人のまぶたが揺れて、ゆっくり開いた。
勇「おはよ、仁人」
自然に声をかける。
ぼんやりした視線が、こっちを捉えた次の瞬間、一気に固まる。
仁「……っ///」
一瞬で、顔が赤くなり、その分かりやすすぎる反応に、少しだけ笑いそうになる。
仁「見んな…///」
顔を逸らして、小さく言う。
その反応に、思わず口元が緩む。
勇「いや無理だなぁ笑」
普通に返す。
勇「さっきの状態で放っておけるわけないし」
そのまま少しだけ距離を詰めると、仁人の肩がびくっと揺れる。
仁「あれは……」
何も言い訳できないのが分かって、言いかけて止まる。
そのままじっと仁人を見つめていると…
仁「あっ!今何時?!」
急に、現実に戻る声に、少しだけ目を丸くする。
勇「……は?」
仁「レッスン……途中だったよね…」
まだ完全じゃないのに、急に体を起こそうとする。
仁「みんな、大丈夫?」
眉を寄せて、本気で心配している顔。
その顔に思わず、ふっと笑ってしまう。
勇「お前、リーダーすぎんだろっ笑」
軽く言うと、仁人がこっちを見る。
仁「いやだって……」
勇「大丈夫だよ」
遮るように言う。
勇「みんな普通に心配してたけど、“勇斗いるなら任せるわ”ってさ」
その言葉に、仁人の表情が少し緩む。
仁「そっか…」
安心したみたいに、小さく息を吐く。
その顔見て、ほんと、こういうとこ…ほんと好きだなって思う。
勇「まあ、そのあと普通に次の仕事行ったけど」
仁「え」
勇「仕事だし、止めても仕方ないし、もちろん、こっちが引くぐらい心配はしてたよ笑」
軽く笑う。
勇「仁人があの状態だったから、俺が残っただけ」
その言葉で、仁人の顔が、また赤くなる。
仁「……っ///」
さっきのことを完全に思い出したようだった。
少しだけ笑って、でも、それ以上は踏み込まない。
踏み込めない。
言いたい言葉はあるが、今じゃないと踏みとどまる。
ここで言ったら、全部壊れる気がする。
だから代わりに、そっと頬に触れる。
勇「もう大丈夫そう?」
優しく、聞く。
仁人が少しだけ戸惑いながら頷く。
仁「……うん」
勇「じゃあ…」
手を離して、少しだけ距離を取る。
勇「落ち着いたなら、帰りな」
あえて、いつも通りのテンションで。
勇「今日はもう無理すんな」
その言葉に、仁人が少しだけ驚いた顔をする。
でも、すぐに、小さく頷いた。
仁「……ありがと」
仁人side💛
勇「落ち着いたなら、帰りな」
その言葉に、少しだけ、寂しさを感じる。
勇「今日はもう無理すんな」
仁「……ありがと」
自然と出る言葉。
立ち上がって、少しふらつきながらも、出口に向かう。
扉の前でふと振り返ると、勇斗と目が合う。
一瞬だけ、何も言わない時間。
でも、確実に、何かが変わっている。
仁「じゃあっ…///」
そう小さく言って、ドアを開けて、外に出た。
さっきの勇斗の声、触れられた感覚、全部、頭から離れない。
無意識に、自分の唇に触れる。
何やってんだよ…
自分で自分に呆れるが、止まらない。
勇斗を思い浮かべるだけで、胸が、少しだけ苦しくなる。
いつもと同じ帰り道のはずなのに、全然、違う。
もう、戻れないってことだけは、はっきり分かっていた。
勇斗side🩷
仁人が帰った後、楽屋を出た。
廊下はもう静かで、さっきまでのレッスンの音も遠くに消えていた。
自動販売機の前で立ち止まり、なんとなくボタンを押して出てきた水を手に取る。
キャップを開けて、一口…
喉の奥に、まだ、さっきの甘い匂いの記憶が張り付いている。
頭の奥も、じんわり熱いままで、壁に軽く背を預けて、天井を見上げた。
勇「やばいなぁ…」
小さく呟く。
思い出すのは、全部あいつのこと。
倒れそうになった瞬間の顔、腕の中で震えていた体、縋るみたいに掴まれた服。
それから…キス…
思い出すな、って思うほど、鮮明になる。
少し濡れた唇、触れた瞬間に強くなる匂い、耳元で名前呼んだときの反応。
勇「……っ」
無意識に喉が鳴ってしまい、手で口元を覆って、ゆっくり息を吐く。
本能的に求められている状態で、拒めるわけがない。
でも…
勇「違う」
ぽつりと落とす。
壁から体を離して、少しだけ俯く。
あれじゃ意味ない。
欲しいのは、あんな形じゃない。
匂いに当てられて、本能で縋られて、流されるままに手に入れる…
そんなの…
勇「ちゃんと、好きって言われてぇよ…」
小さく笑う。
自分でも驚くくらい、真っ直ぐな本音。
ずっと前から好きだった。
だからこそ、ここで奪うのは違う。
勇「我慢しろってかぁ…笑」
苦く呟く。
さっき、目の前にあった距離を、少し手を伸ばせば、全部手に入った距離を、自分で引いた。
深く息を吐く。
でも、後悔はしてない。
そんな時、ポケットのスマホが少しだけ震える。
画面を見ると、メンバーのグループチャット。
“仁人大丈夫?”
“落ち着いたら連絡ちょうだい”
短いやり取りだが、それを見て、少し安心する。
そして、また自然と、考える。
ちゃんと帰れたか、また無理してないか、さっきのこと…どう思っているか……
唇に触れた感覚が、まだ残っている…
勇「仁人…」
名前を呼ぶだけで、胸の奥が、少しだけ締まる。
もう、引き返せないところまで来ていると、自分でも分かっていた。