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「美都、矢代チーフと二人で出かけるなんて、いいね?」
チーフがデスクに戻って行くと、愛未が茶化すような調子で声をかけてきた。
「出かけるって言っても、仕事の打ち合わせだからね」
軽い冗談なのをわかっていて、笑って返す。
「けど仕事でも、やっぱりいいよね。私も、チーフと出かけたいかも」
笑い顔のまま、アミに「はいはい」と応じると、「ねぇ美都は、矢代チーフのことは、好きじゃないの?」と、愛実の方から問いかけられた。
「うーん、特に好きでも嫌いでもないかな。上司として、尊敬してるっていうのはあるけど」
嘘偽りのない気持ちを答えた。矢代チーフには憧れはあったけれど、それはどちらかと言えば、上司としての尊敬の念に近かった。
私の返答に、「そっか〜」と、エミが頬づえをつく。
「まぁチーフみたいにイケてる男の人って、なかなか近寄りがたいような存在でもあるよね」
「うん、まぁね」と、エミに同意して頷く。
「言ってみれば、ちょっと手の届きにくい、推しメン(推してるメンバー)ってところ?」
アミの一言に、「アイドルじゃないんだから」と、ふふっと笑って、「さぁ、お仕事、お仕事!」と、パソコンのディスプレイに向き直った。