【明那とのLINE】
菜央
すき家行きたい
今日か明日
三枝明那
行くか
今から
菜央
おけ!!!!!!
急いで着替えて部屋を出て階段を駆け降りると、エントランスに彼は立っていた。
『さすがに早すぎない?』
akn「ちょっと早かったか さすがに」
『私めちゃくちゃダッシュで準備したよ?』
akn「コンビニに行ってたんよな実は」
私の下宿しているアパートの前にあるコンビニを指さして、明那が言った。
彼が背負う黒いリュックのギャザーポケットには、
先ほど買ったのであろう麦茶が、水滴を垂らしながら入っている。
大学帰りだったのだろうか。
『忙しくなかった?』
akn「んや全然。晩飯何にしよかなって迷ってたとこ」
『タイミング良すぎたか』
akn「まじ良すぎた」
どちらからともなく歩きはじめて、
いつもの湿度で、いつものリズムで会話をしながら、私たちはすき家へ向かう。
あの課題終わった? とか、いやはじまってすらない、とか
そういうものを積み重ねて。
明那と私は、同じ大学の同じ学科で、学籍番号が前後で、
一回生の基礎クラスが隣の席だったからいつの間にか仲良くなっていた。
二人とも駅の近くに下宿しているから、ご飯や課題を一緒に済ませることも多い。
明那は大切な友達で、私は彼を友達として大好きで、友達以外の意味でも好きだ。
進級しても卒業しても仲良くしたい。
一緒にいて楽しいし、心地いいし。
akn「てかさ昨日の動画見た? 送ったやつ」
『あー、カラオケコラボの』
akn「そう。あれ俺めっちゃ行きたいんだよね。今度行かん?」
月光に照らされた明那の頬に、私は勢いのまま頷く。
二人でカラオケ行こってこと? いや二人なわけないか。
『シフト出たら言うわ』
akn「おっけ、ありがと」
二人なわけないよなあ、と思いながら、私は明那の横顔を盗み見た。
嬉しそうで、なぜか心臓がぎゅっとする。
私は明那が好きだから、大切な友達だから、それ以上のことは望まない。
店に入る明那の後ろ姿、その後ろの髪の少しハネているのを見て、私は改めてそう思った。
コメント
4件
はぅ!まさか意見通してもらえるとは...! まじ感謝!めちゃ最高!明那~!! 作品頑張ってね!