…………あんな風に動揺して……声を荒らげて……
駄目だな、
……全部、全部、
僕らしくない……
太宰がいなくなっただけで……、っ、…………
…………………………与謝野さんに謝らないと。
「……この世に絶対なんてない、か、」
はぁ、どうしたもんか……
妾も無責任に太宰が無事だなんて…言うんじゃなかったねぇ
珍しく与謝野が眉間にしわを寄せて考え込んでいると……
バンッ…
突然、勢いよく扉が開いた
「あ、あぁ、敦……帰ってきたのかい」
考え事をしていたから突然の音に少し吃驚してしまった
「__さ、んが……」
「えっ……」
今……なんて……
妾は、あまりの内容に唖然としていた。
え……ぁ、
……っ、
「あ、敦!」
「は、はい」
「乱歩、さんには……まだ言わないで…くれるかい?」
「わかりました……。」
眼が……赤く腫れている
随分泣いたんだろう
敦は……
妾はなんて声を掛けて、何を思って、何をするべきなのか判らなかった
……「敦」
「はい、」
「他の……皆、には?」
「……まだ、です」
「……社長は」
「まだ…帰ってきていないみたいですね…」
「あの……さっきのことですけど」
「うん?」
「乱歩さんには……僕が云わなくても何れバレると思います。」
「真実を引き延ばしにするより、やっぱり今云った方がいいと思います。」
「それは……妾もねぇ、判ってるんだけど」
「今は……乱歩さんは何も考えないようにしているんだ」
「だから……妾からちゃんと云うから」
「まだ、黙っておいてほしい」
「……わかりました」
妾と話終わると、敦は少しだけ1人になりたいと云ってから、また出て行ってしまった。
敦も、随分堪えていたんだろう
敦は……社の誰よりも太宰を慕っていた
妾も……太宰のことは…後輩として大事に思っていた
ガチャ
「今日の依頼は終わりました〜!」
そう云ってから、にこやかに入って来たのは……賢治だった。
その後から入ってきたのは谷崎、そして谷崎の妹のナオミ……
あぁ、皆……何も知らないんだな、と、改めて実感した。
妾は、どうやって話を切り出そうかと悩んだ。
今、云うべきなのか……それとも、皆が揃ってから云うべきか?
判らない……
でも……乱歩さんには……
はぁ、どうしようか
こうゆう時、太宰だったらどうするんだろうか……
そんな考えが頭をよぎる
……とりあえず、今はまだ帰ってきていない国木田と鏡花、そして社長……、を待っていよう
そして……乱歩さんには、、やはり妾ではなく社長に云ってもらうべきだろうか
……本当に……太宰は__のか?
はぁ……駄目だ
現実逃避している場合ではないのに……
太宰が……この場にいたら
乱歩さんが、何時もみたいに冷静だったら……
…妾は……
やっぱり、探偵社は皆が揃ってこその探偵社だったんだと……改めて気付かされた
「…………。」
「……」
初めて……太宰さんに会ったのも、、この川だったな
太宰さんに会うことが出来なかったら……僕は
ここで餓死して野垂れ死んでいたのだろうか
そう思うと…やっぱり太宰さんとの出会いは僕にとって人生の始まりみたいなものだったんだ
あの頃は…楽しさも嬉しさも判らなくて
ただ、こんな生活が何時まで続くのか、それだけを考えて生きていた
なんで僕が……なんで僕だけが……
僕を救ってくれない神様を恨んだ
不平等なこの世界を憎んだ
この世に生まれてきたことを後悔した
……下がっていた分だけ、これからは上がるんだ
そう思っていたのに
太宰、さんがいなかったら意味ないですよ……
敦の眼からはポロポロと涙が零れ落ちていた。
コメント
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まーじで好きです😭‼️‼️もう続きって出ないんですか😢
めっちゃ最高です!続き楽しみに待ってます!!