テラーノベル
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皮肉なことに、その冷気に晒されることで
混濁していた脳が段々と冷静さを取り戻していくのを感じた。
ただの他人に拒絶されただけなら、この前までの俺なら何とも思わなかったはずだ。
「あぁそう、バイバイ」で切り捨てて終わりだった。
宇佐美のことだって、少し時間が経てばすぐに忘れる。
いつも通り、退屈で平坦な日常に戻るだけ。
──なわけない。
宇佐美を傷つけた、泣かせたという重い事実だけが、この先ずっと呪いのように俺の胸に残り続けるんだ。
……そんなの、絶対に耐えられない。
どんなにここで天を仰いで嘆いたって、宇佐美に拒絶された事実は一ミリも変わりはしない。
「今までこういうとき、俺はどうしていたっけ?」なんて、過去の引き出しを探ったところで無駄だった。
いつも誰かを切り捨てるときは何も思わなかったし、悩みもしなかったのだから。
それでも、今回はちゃんと考えなければいけない。
プライドも、これまでの要領の良さも全部捨てて、泥水をすすってでも考え抜かなきゃいけない。
じゃないと、本当に大切にしなければならなかった人を失ってしまう。
他人のせいじゃない。
俺自身の、あまりにも傲慢で愚かな自業自得のせいで。
(…もっと早く変わるべきだった、なんて後悔してる暇は一秒もない)
今すぐLINEを送ったところで、画面の向こうで宇佐美を怯えさせるだけで、逆効果だろう。
それなら───
明日、学校に行ったらすぐに宇佐美のところへ会いに行こう。
周囲の目なんてどうでもいい。
誠心誠意謝って、あの言葉は全部嘘だったと、本当の気持ちを話すしかない。
そう固く決意すると、俺は手の中に残されていた空のペットボトルをメキメキと音を立てて握りつぶした。
歪んだプラスチックをゴミ箱に投げ捨て、俺は激しくなり始めた雨の中、帰路に着いた。
◆◇◆◇
翌朝───
目覚めは人生のなかで最悪の部類だった。
ひどく浅い眠りの果てに、鉛のように重い身体を引きずって、一先ず顔を洗おうと重い腰を上げる。
洗面台の前へ行き、鏡に映る自分の姿を見たとき、俺は思わず息を呑んだ。
そこにあったのは、見る影もなく窶れた男の顔だった。
目の下にどす黒くできた深い隈は、一夜にして刻まれた俺の罪の証そのもののようだった。
昨日までの、世界をどこか冷めた目で見下していた自分とは、完全に別人に見える。
もはや、宇佐美に嫌われてしまった今
見慣れたはずの洗面所も、窓の外の景色も、世界の色そのものが違って見えた。
「こんな顔してたら、余計に警戒されるか……」
ポツリと独り言ちる声は、情けないほどに小さく震えていた。
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み お .