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ruruha
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「はんちゃーん! メッセージの意味、わかったぁ?」
昼休みにどこかへ行っていた上重が、帰り際にスキップしそうな勢いで近づいてきた。
いや、そんな数時間でわかるようなもんでもないやろ。
「ゲッコウ……ガ……! ポケモンのこと、とか……?」
わざわざ決めポーズまでしてやったのに。……なんでそんな冷ややかな目で見るん? 俺の勇気返せよ。
「俺の気持ち書いたんやで! はんちゃん!」
ついでに「はい」とコンビニの袋を渡される。なにこれ、俺なんか買い物頼んだっけ。
「え、あ……わざわざ買ってきてくれたん? ありがとう」
袋の中には、二日酔いに効くドリンクと、俺の大好きなシュークリームが2つも入っていた。
俺が三日酔いなのを気にして、わざわざ選んでくれたんやな。ほんま、優しいな上重は。
「はんちゃん、今日一日元気なかったやろ? それがお酒のせいなんか、私生活でなんかあったんかはわからんけど……はんちゃんは、キラキラ笑ってた方が絶対いいから。やから、大好きなシュークリーム食べて元気出して!」
「ふわぁ! ありがとうな、上重」
ほんまに少しだけ感動して泣きそうになったら、朝の上重と同じ声が出た。
「はんちゃん、俺に似てきたな?」って笑われたけど、それは流石に心外やわ。これ以上似んように頑張ろう。
♢♢♢
「あれ? 新も来てたん?」
しゅうたに指定された居酒屋に行くと、先にしゅうたと新が飲み始めていた。
え、ここ二人って、そんなに仲良かった?意外な組み合わせすぎてびっくりする。
「もとちゃんも呼んだんやけど、無理っぽくてな。とりあえず先に二人で飲んでてん」
「……そうなんや」
グループの中で、ゆうととくうちゃんだけが呼ばれてへん。
しゅうたは、何か知ってるんやろうか。あの二人のこと。
「……なんか用事? 急やったしびっくりしたわ」
「ん? いや、特になんもないねんけど。……元気してるかな、と思って」
え、なに? 今の間、めっちゃ意味深じゃなかった?
もしかして、俺がくうちゃんのこと好きなのに気づいてて、励ましに来てくれたとか……?
うわ、周りをいつも冷静に見てるしゅうたなら、ありえる。
「えー、こないだ買い物二人で行ったばっかりやん。ちゃんと元気やったやろ?」
誤魔化すように笑顔で言うたら、新が「次は俺も誘ってや」なんてらしくないことを言うてくる。
ほんま、どうしたんや二人とも。
「っていうか、珍しくない? この二人の組み合わせって」
「ん? 意外と会ってるねんで。……くうちゃん以外にはな」
突然、しゅうたの口からくうちゃんの名前が出てきて、心臓が跳ねた。
ヤバい。今、俺が変な顔したん、バレへんかったかな。
「……そう。俺、結構恋愛相談とかはしゅうたにしてるねん。一番的確に返してくれるし、口も硬いしな」
「え、新。こないだ、くうちゃんと好きな子の話してたって言うてなかった?」
そうや。正月、新と二人で会った時にそんな話をしてたはずや。
「まぁ、好きな子の話で盛り上がってはいたで? でも、空と同じ人好きやのに、本人に恋愛相談はできんやろ。それに、卒業してからはあんま会ってへんしな」
そうか。それなら、しゅうたは高校生の頃に新とくうちゃんが好きやった相手を知ってるんやな。誰なんやろう。その幸せな人って。めちゃめちゃスーパー大吉やん。
「高校ん時、こいつら、『お互い抜け駆けはなし、友情第一』っていう誓い立てて、結局二人とも告らんかってん。流石に、『相手から告白されたら付き合っていい』っていう特別ルールを後から作ったもんの、その子全くこいつらなんて眼中になくてな。こんなイケメンモテ男二人が相手にされへんの、見てるだけでおもろかったわ」
「……さっき『口硬い』って褒めたとこやのに、早速バラすやん」
「ははっ、ごめんごめん。はんちゃんやからええかな思て」
あれ。……なんか、嬉しい。
俺ら親友やのに、好きな人も知らんし相談もされへんかったって、ちょっとショックやったけど……なんか、どうでもよくなった。
そらそうやな、もう十年も前の話や。今では笑い話なんやろうし。
「で、結局誰やったん? その好きな人って」
「……はんちゃん、ほんまに気づいてないん?」
「ん?」
え、俺、なんか変なこと言った?
……いや、待て。わかった、ゆうとや!
くうちゃんはゆうとと付き合ってるんやから、新の好きやった相手も、ゆうとに決まってるやんか!
あかん。ここでゆうとの名前を出したら、新を傷つけてまう。まだ二人が付き合ってること知らんみたいやし。
「あ、いや! わかったかも! ……ええわ、その話は。それより、新の彼女の話聞かせてよ。旅行の話も聞きそびれてるし!」
急いで話題を変えて、無理やり笑う。
もうええねん。くうちゃんのことは。
今は何も、ほんまに何も考えたくない。くうちゃんのことだけは。
「あー、彼女な? 相変わらずわがままで気ままで、振り回されてるわ」
「どっかの国のハーフやねんな? はんちゃん、写真見た? ほんま、新と並んでたら芸能人カップルみたいやで」
「え! 見たい見たい! 俺、ツーショットは見たことない!」
新が差し出してくれたスマホを覗き込む。
ほんまや。前見た時とまた雰囲気が変わってる。
金髪がふわふわしてて、目は薄いブラウンでお人形さんみたいや。
「かっわいー! ほんまにお似合いやな」
「やろ? また今度、連れてくるわ」