犬神 晴人 高2
神崎 凛 高2
「りんー、勉強教えてー」
「いいよ。どこ?」
俺たちは高1から同じクラスで仲良くなったきっかけは入学した時に隣の席だったからかそれからずっと一緒にいる。凛は頭が良くて、顔もいいしなにより一緒にいて落ち着く。
俺はそんな彼に惹かれていった
「凛て、指長いし手綺麗だよね」
「え、そう?」
「うん、ピアノかなんかやってたの?」
「いや、なにも」
「ふーん」
「あ、でも勉強する時手がカサカサだと気になっちゃうからハンドクリームはたまにしてるかも」
「なるほど、俺もハンドクリーム塗れば学年一位とれっかな」
「関係ないでしょw」
ほら、こうやってどうでもいいことでも 笑ってくれる。その顔が俺は好きだ。
この思いを伝えようと思ったことはあるけれど、正直怖かった。テスト前で、遅くまで学校で勉強してた時、教室に教材を置いていたのを思い出して取りに行くと、男子生徒2人が教室で……その………キス…していたのを見てしまい恋愛経験ゼロの俺は完全にフリーズしてしまっていた。なかなか帰ってこない俺を心配したのか凛が迎えにきてくれた。嬉しかったが、凛が来るとなぜか僕の目を塞いだ。何だったんだろう。結局教材は取れずいつもは楽しい帰り道は沈黙。あの時は本当に気まずかった。だって、あの時の凛の顔少し…嫌そうな顔してたから…
「晴人、今度うちでゲームしない?」
「珍しいねゲーム誘うなんて」
「まぁ、テストも無事終わったし。それに晴人が赤点回避したご褒美に僕の家に来るって約束してたしね」
「え⁈あれ、本気にしてたの⁇」
「当然でしょ?」
「うわっ、まじか」
「え、嘘なの?」
やめて、おれより2センチ高いのにそんな可愛い目でこっちみないで……死ぬ…
「…いや、いっていいなら行くけど」
「うん、じゃあ明日来て」
「分かった」
うわー、まじか。めっちゃ嬉しい!
でも、やっぱりあの時の凛の顔が思い浮かんで素直に喜べない
ピンポーン
『はーい、まってねー』
ガチャ
「時間通りだね」
「まぁな」
「どうぞ、あがって」
「お邪魔しまーす」
「なんかめっちゃ凛の匂いする」
「w何言ってんの?僕の家なんだからそりゃそうでしょ」
「たしかにw」
休日は何回か遊んだことあるけど、凛は学校にいる時よりも表情が豊かでたくさん話してくれる。
「これお菓子持ってきた」
「おぉー、たくさんだ」
「どこでゲームすんの?」
「僕の部屋でいい?2階のつきあたり」
「いいよ。んじゃお菓子持ってってるね」
「ありがと」
ガチャ
うわーーー、めっちゃ綺麗。男子の部屋って基本的に散らかってるからここまで綺麗なのは初めてみたかも。たくさんの勉強の資料。毎日何時間もここで勉強してるんだな。
「ねぇ、早く入りなよ」
「うわっ!びっくりした」
「そんな驚くw?」
「そりゃ後ろから声かけられたら驚くだろ!」
「そっかw」
そこからは、ずっとゲームをした。最初のうちは俺が勝っていたが、やるにつれてコツを覚えた凛に負けまくった。でもいつもより楽しそうだったから良かったのかもしれない。
ずっと凛の隣で笑っている姿をみたいと思うのは、傲慢なんだろう。彼が男の恋愛にいい印象を持たないことをあの日…いや、気持ちを伝える前に知れて良かったが……堂々と隣にいてみたかった……恋人として…
「はー!楽しかった」
「うん。僕も友達と遊んだの久しぶりで楽しかった」
「?」
「晴人?」
「あぁ、ただのライン」
「にしてはしかめっ面してたけど」
「いや……親がじいちゃんばあちゃんのとこ行くから、その間妹の世話しっかりしろって言われただけ」
「晴人、妹いたんだっけ」
「うん、中2。めっちゃ生意気w」
「晩御飯は?」
「俺が作る」
「じゃあ、僕も行っていい?」
「え?親の飯はいいの?」
「言ってなかったっけ、旅行行ってるの」
「なるほどな、いいよ。」
「ありがとう」
そう言った時、凛は顔を綻ばせた。
勘違いしてしまいそうになる気持ちを抑え自分の家の鍵を開けた。
「ただいまー」
「おにい!遅い!」
「うるせぇ!」
「お邪魔します」
「?この人誰?」
「俺の友達。凛」
「え、イケメンじゃん。おにいより断然」
「うるせぇ!さっさとリビング行け!」
「まさか…おにいの好きな人……」
「は・や・く」
「(モゴモゴ)ぷはぁ!急になにすんの!」
「黙ってればハンバーグにしてやる」
「……はーい」
好きな人…は聞こえてなさそう?
「仲良いね」
「生意気なだけだよ」
凛は一人っ子だからこんな兄弟に憧れてたのかも。もし兄弟いたら、凛は面倒見がいいから喧嘩なんかしなさそうw
「晴人?何笑ってんの?」
「いや、お前に兄弟いたら喧嘩なんかしなさそうだなって思っただけ」
「凛さんは彼女とかあるんですか?」
「いないよ」
「じゃあ、私……」
「こら、飯食い終わったんならさっさと風呂入れ!」
「凛さーん…」
「は・や・く」
「あーもう!分かったわよ!フン!」
「凛はどうする?ここ泊まる?家いても誰もいないんでしょ」
「いいの?」
「あー、俺の部屋でいいなら」
「その時晴人はどこで寝るの?」
「部屋に客用は布団あるからそこで寝るよ」
「分かった」
彼女の話を聞きたくなかったから、あいつを追い出しちゃったけど淡々と答えてたし、聞いていいのか……いや、同性にこんな視線ずっと向けられてる方が嫌だよな。よし、これを機に聞いて砕けよう!
「「あの…」」
「あ、ごめん」
「いや、こっちこそ。凛から言っていいよ」
「…今日、元気なかった?」
「そんなことないはずだけど…なんで?」
「たまに、苦しそうな顔してたから」
「そう?何でもないよ」
「そっか。でもなんかあったらいっていいよ。相談に乗るから」
「ありがと」
本当に小さいことによく気づく。もし、苦しい顔してた原因を君に伝えたらどんな反応するんだろう。
「で、晴人は何言おうとしてたの?」
「あぁ、さっき彼女いないって言ってたけど本当?」
「本当だよ。なんで?」
「お前イケメンだし、優しいし、勉強できるし、運動だってできるだろ。モテない理由がないから」
「僕ってそんなにモテる?」
「まぁ、バレンタインで呼び出されてればそう思うよな」
「晴人だってチョコもらってたじゃん」
「義理だろ」
「体育祭の時だってキャーキャー言われてたよ」
「凛が隣にいたからな」
「……グループワークだって引っ張りだこだったじゃん」
「お前ほどじゃない」
「……」
「なに」
「………晴人だってかっこいいのに…」
「…!」
そう言われて、つい顔を背け、手で顔を覆ってしまった。顔が暑い。俺の顔は今、耳まで真っ赤になっているだろう。だって、拗ねた顔で好きな人に’かっこいい’って言われたら誰だってこうなるはずだ。うん。きっと。
何分だっただろう。凛の細長くしなやかな指が俺の手首を掴んで微笑んだ。
……勘違いするって
この言葉が口に出たか正直わからないが、凛のまっすぐな視線はまるで肯定するかのように俺に向けたまま口を開いた。
「晴人、僕……」
「お風呂あがったよー!」
「チッ!あいつー!」
「うわっ!何!追っかけてこないで!」
正直聞かなくて良かったと思ってしまった。いや、聞きたかったがやはりあの時の顔が思い浮かんで怖かった。
「お風呂ありがとう」
「ん」
「何してたの?」
「数学」
「…」
「どした?」
「晴人って家では眼鏡なんだね」
「そうだね」
「似合う」
「あーー、分かんないとこあったから教えてくれない?」
「いいよ」
なんか、カウンター強すぎない?
「もう11時だし寝ようか」
「そうだな。数学教えてくれてありがと」
「どういたしまして」
「凛はベッドで寝な」
「え、いいよ布団の方で」
「いいから、風邪引くよ」
「…分かった」
「うん。おやすみ」
「おやすみ」
しばらくして、いつもよりひとまわり大きい手で頭を撫でられる感覚があった。最近は撫でてもらってなかったから懐かしく感じた。すごく安心する。そう回らない頭で考えながら意識を手放した。
今日は凛が図書委員会で遅くなるというので、幼稚園から一緒の叶太と教室で話していた。
「はるさー、いい加減告れよ」
「だって……キス…見て嫌そうな顔したんだよ」
「知らんやつのキス見たら誰だってそうだろw」
「違くて、……キ」
「キスな?いい加減恥ずかしがらず言えるようになれ」
「うぅ」
「恋愛経験ゼロだもんなw」
「うるさいw」
「で?」
「その…キスって、性別関係なしに好きな人とするものだと俺は思うのね」
「はい」
「だから、正直俺は好きな人とはキスしたいと思うんだけど…」
「だけど?」
「普通、男同士っていやじゃん!」
「唐突w」
「真剣に聞いてよ!」
「はいはい」
「だから、凛も俺みたいな男じゃなくて普通に女の子との方がいいんじゃないかって思って…言えません」
「本人に聞かないと分かんないんじゃない?」
「でも、普通はそうでしょ?」
「本音は?」
「…あの時のことがトラウマだし、振られたら隣にいられなくなりそうで怖い」
「トラウマ克服のチャンスじゃん。踏み出してみろよ、な?」
「……叶太には敵わないなぁ」
「知ってるw」
「ww」
叶太は俺とは正反対で、何をするにもリーダーシップがあって先頭でみんなを引っ張ってく。頭は悪いけど。でも、俺の大切な大切な幼馴染。
「あ、はる」
「ん?」
「おまじない」
「いい加減やめない?俺子供じゃないし誰かに見られたらどうするの?普通に恥ずかしい」
「いいじゃん。誰もみてないし」
「……誰もいない時だけね」
「……」
「……」
「ん、ありがと」
「じゃあ、頑張れよ」
そういって叶太は教室を出て行った。
俺たちは、 うまくいかなかった時や、大会がある時は必ず叶太が頭を撫でて、おでこ同士コツンとする。小さい頃からのおまじない。落ち着くんだ。
「晴人」
「凛、おかえり」
「うん。帰ろう」
気のせいだろうか。凛と視線が合わない。
「凛?」
「なに?」
「なにかあった?」
「なにもないよ」
「嘘だ」
「なんで?」
「目が合わない」
「…気のせいだよ」
「苦しそうな顔してる」
「……」
「俺には言えないこと?」
「……」
「……」
「……あの人誰」
「あの人?」
「教室で話してた人」
「叶太のこと?幼稚園からの幼馴染。てか、見てたなら話しかけてくれればよかったの…」
「近くない?」
「へ?」
「……ょり」
「え?」
「最後の距離!」
「………え……あ…」
血の気が引いた。あの時の顔でこちらを見ていた。
「妹さんが言ってた好きな人ってあの人?」
やっぱり、聞かれてた。でも……違う!俺の好きな人は……
「な…んで…?」
気が動転したせいか、思った言葉が出てこない
「キス…してたよね」
「………違う!」
誤解を解きたいのに……怖くて…言えない
「じゃあ、あの距離感はなに!」
「………っ!」
凛がここまで声を荒げるのは初めて見た。それよりも、凛に誤解されたたうえにトラウマが重なって耐えきれなくてその場から逃げてしまった。後ろから凛の声が聞こえた気がしたが、止まることはできなかった。
怖かったから
帰ると妹からは「なんで泣いてんの?」と言われて初めて自分が泣いていたことに気づいた。
それからは、学校を休んだ。行かなきゃいけないのは分かってる。叶太からも、学校に来てというラインと、凛と話をしろというラインが来た。凛からはたくさんの電話と直接話をしたいというラインが来ているが、話したら泣いてしまいそうで、踏み出せなかった。
おまじないの有効期限は小学生までだったらしい。
ピンポーン
……
ピンポーン
「おにいー?かなたにいだよ」
「…今行く」
「叶太」
「おうおう、見るたび痩せてんな。ちゃんと飯食ってんの?」
「たぶん」
「はぁ、はいこれ。今日の課題と好物のプリン」
「ごめん。毎日」
「悪いと思ってんなら学校来いよ」
「……」
「凛だろ?」
「……うん」
俯いた時だった
「晴人」
「…っ!」
「まって!」
「離して!」
「晴人!」
叶太の後ろに凛がいた。凛を見た瞬間、俺は泣いてしまった。視界が歪んで、怖くて…怖くて一目散に部屋に戻ろうとしたが、体力の落ちた体はあっけなく床におち、凛にバックハグされる形で捕まった。今までの自分なら嬉しかっただろう。けれど今は一刻も早く抜け出したかった。体を捻って抜け出そうと試みるもうまく体に力が入らず、ただ泣きじゃくるだけになってしまった。
「いやだッ!離して!……お願いだから」
「ごめん。僕が悪かった。だから、逃げないで……話したい」
「ほら、はる」
コツン
「おまじない…」
「しっかり凛と話せ。俺は帰るから」
叶太は帰り、凛はふらふらの俺のことを支えながら俺を部屋に連れてってくれ、俺をベッドに座らせてくれた。
「ありがと」
「うん」
泣くのをを堪えて質問をする。
「どこまで叶太に聞いた?」
「何も聞いてない。本当のことははるから聞けって言われたから」
俺は、おまじないのことと好きな人は叶太ではないことを話した。
「え、じゃあキスに見えたのって角度の問題?」
「そうだよ」
「なら、なんであんなに動揺してたの⁈」
「覚えてるかな?俺がテスト前教室に教材取りに行った時」
「うん」
「あの時、男子2人が……キスしてたでしょ?その時、なんか…凛が嫌そうな顔してたから、やっぱり男同士は嫌なのかなって」
「……」
「凛?」
「……どこからいえばいいんだろ。まず、やっぱり男同士ってことは好きな人は男なの?」
「……はい」
「それは、目の前にいる?」
そういいながら、俺の隣に座り俺の手を握ってきた。まるで答えを分かっているかの様に
そして、その答えはあまりにも自然に出てきた。
「はい」
「……よかったー」
「え?」
「僕も晴人が好きだよ」
「え、え?」
頭の処理が追いつかなかった。だって、てっきり凛は同性同士は嫌なんだと思ってたからあまりにも唐突な告白にびっくりした。
…ん?いや、先に俺がカミングアウトしたのか?てことは?ん?それじゃあ
「あの時の嫌そうな顔は何?」
「あの人たちにはTPOを弁えてほしかったのと、純粋に晴人には見せたくなかったからかな」
「///」
「顔真っ赤w」
「//うるさい!こっち見んな」
そういって顔を背け、手で顔を覆うと、凛の長くしなやかな指が手首を掴み、頬に手を添えてくる。
「ねぇ、晴人」
「……」
「僕と付き合ってください」
「…はい!」
これを夢だと勘違いしそうになるが、こぼれ落ちる涙は現実を示しその涙を凛が優しく拭いてくれた。俺たちは微笑み合い、シルクのベッドに身体を預け、初めは触れ合うだけの口付けがだんだんと熱を帯び銀色の糸が俺たちを繋いだ。
®️注意
「んッ ふぁ……ん…♡」
「ふふ、かわい♡」
あれから何分だっただろう。人生初ということもあって緊張していた部分もあったが、凛は優しく愛してくれた。
「……ン //♡まっ……て…」
「ん、どうしたの?」
「息が///はッ…ん……つづかな……い…」
「ん」
そういうと凛は待ってくれる。そして、彼を呼んでみる。
「り…ん♡」
「……」
「?」
「…誘ってる?」
「ふぇ……///」
「ここトロトロだよ♡」
「…みないで♡」
どうやら凛に口の中を蹂躙されただけで俺は自分が思ってるより甘くなっているらしい。キスだけでここまで気持ちよくなってしまうなんて……
「はーッ♡はぁ//♡んッ///」
唇を舐められ、おもむろに口を開くとまた舌が侵入し、 歯茎をなぞられ、お互いが絡み合う。
「ねぇ、可愛い声出さないでよ…我慢できない♡」
「ん///」
細長くしなやかな指は服の下に侵入し、突起を弄る。
「んッ♡…チョ//ドコさわっ……て♡」
「ふ……♡かわいい♡♡」
「や……んッ……」
その指は痩せた腹の縁をなぞり濡れた部分を触り出す。
「んぁ…//♡」
「声抑えなくていいよ♡」
低く落ち着きのある声が俺の耳を孕ませる。
「……ぁ//みみ…や……♡」
「へぇ〜♡(フーーー」
「ひゃぁ///」
「あは……かわいい…♡」
いつもの穏やかな凛じゃない。本気で俺を仕留めに来ている。
「クチュクチュ♡」
「んッ?!///はッ……ッあ…んん……♡」
「クチュ、ゴリュッ♡」
「んッ……やッ//、はーッ♡♡」
凛の綺麗な指が俺のナカに入っていることへの罪悪感と興奮と快楽で 目と口は濡れ、シーツはぐちゃぐちゃになっていた。
「イケよ」
「グチュゴリュゴリュッ♡」
耳元でそう呟くと同時に、凛の指は俺の気持ち良いところを的確についた。
「んあッ…♡///ッ……//ビュルルルルッ///」
「ん、えらいね」
「んッッ………ん♡はーッはーッ♡」
「今日はここまでにしようか。ごめんね無理させて」
「まッ……て」
「?」
意識はほぼなかったが、凛の身体が離れていくのを感じて俺はとっさに彼の服を掴んでいた。
「……と…」
「え?」
「もっと……♡」
「…………だめ」
「な…んで…?」
「…分かってないかもだけど、そっち側って体力かなり消費するから…」
「でもッ」
身体はまだ熱を持っていて彼を求めている。初めての経験をもっと味わいたいと。
まだ、凛を感じてたいと。
凛は涙で濡れた俺の目元を拭いながら言った
「だめ、僕は晴人に無理させたくない」
「……分かった。でも、またシたい」
「ん、いいよ。チュッ♡」
「んッ///」
凛にたくさん泣かされた。
たくさん愛された。
これからも恋人としてそばにいられることが嬉しい。
凛、大好きだよ。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!