テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
最悪だ。
朝のホームルームが終わった瞬間、
担任がさらっと言った。
「席替えするぞー」
教室が一気にざわつく。
期待の色、落胆の色、
いろんな感情が一斉に弾けた。
俺は、祈るような気持ちで
自分の席番号を見る。
——頼むから。
あいつの近くじゃありませんように。
「じゃぱぱ、ya。隣な」
……終わった。
心臓が、嫌な音を立てる。
視線を上げると、
じゃぱぱが何事もなかったみたいに
俺の方を見ていた。
やっぱり。
色が、ない。
周りは色だらけなのに、
じゃぱぱの周囲だけ、
ぽっかり穴が空いたみたいだった。
「よろしくな、ya」
そう言って、
普通に笑う。
……普通すぎる。
困惑も、不安も、
新しい環境への緊張も。
本来あるはずの色が、
どこにも見えない。
「……うん」
短く返して、
俺は前を向いた。
見ちゃだめだ。
考えちゃだめだ。
そう思えば思うほど、
視界の端に映る“無色”が、
やけに気になった。
授業中。
ノートを取るじゃぱぱの横顔を、
ちらっと見てしまう。
……変わらない。
ずっと、透明。
(やっぱり、感情が無い……?)
背中に、じわっと冷たい汗が滲む。
その時。
「……どうした?」
小さな声が、隣から聞こえた。
心臓が跳ねる。
「さっきから、
なんか元気なくない?」
俺を見る、その目。
——近い。
なのに、
何も、見えない。
「……別に」
誤魔化すように言うと、
じゃぱぱは少しだけ眉を下げた。
その仕草は、
“心配”のはずなのに。
色は、やっぱり、なかった。
「そっか」
それ以上、踏み込んではこなかった。
でも。
俺は知ってしまった。
感情が見えなくても、
人は、誰かを気にかける。
——それが、
余計に、怖かった。