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秋になれば・・・ふと山上春樹の小説学校の講師の話が、紗理奈の頭に浮かんだ
「でも・・・それじゃ・・・私にとって都合が良すぎない?あなたと遊ぶだけ遊んで秋になったら、ハイ・さよならなんて・・・」
「今この瞬間を楽しもうって言ってるんだよ」
「で・・・・セックスをする? 」
「そうだよ」
「でもあなたの感情はどうなの?疲れていたり、悲しかったり、そういう気分じゃないときに、私の相手をしたくない時もあるわ― 」
「しーっ・・・・」
紗理奈は人差し指を唇にあてられ、話を止められた
「俺の気分のことは俺が心配する、気分は関係ないよ、だからこそ期間限定なんだ、長引けば相手の嫌な所が見えてしまいには、顔もみたくなくなる」
紗理奈はコクコク首を縦にふった
「そのとおりね、期限が決まっているからこそ、喧嘩したりつまらいことで時間を無駄にするより、楽しもうと思えるものだわ」
「頭の良い君なら、わかってくれると思ったよ」
紗理奈は思った、彼がこういう風に言うのなら、何か女性で嫌な目にあったのだろう
それでも紗理奈は彼に恋せずにはいられなかった、彼は美しくて、ずるくて、心に傷を抱えている
紗理奈もバカではない、これから彼が自分を本気で愛してくれるという幻想を、抱いたりはしなかったし
時がくれば彼の関心は自分ではなく他の女性に、移るだろう
彼が一人の女性を長く愛せるようならとっくの、昔に結婚してるはず
そして女がなんとか彼を結婚という罠に、陥れたとしても、間違いなくその結婚生活は、惨めで満たされない結果に終わるだろう
彼も自分と同じで結婚なんかするつもりはないのだ
だったらひと夏だけ彼から得られるものを、貰うだけもらおう
そして秋がきたら、二人の関係を解消してお互い別々の道を行く・・・
「でもうっかりあなたを愛してしまったら、どうなるの?」
「長続きをしないのはわかっているだろう?紗理奈・・・俺は愛など信じないからさ、ましてや結婚など無理な話だ、それがわかっていながらあえて試してみる気にならない」
この彼の悲観的な結婚観を聞いて、彼の考え方を変えようと試みた女性は、きっと今まで何人もいたんだろう
でも人は根本的なものなど、結局は誰も変えられないのだ
「私とは付き合いたいけど、本気になられたり、憎しみ会う前に別れましょうってことね、期間限定で将来は無し、約束も無し、許し合うのは体だけで心もなし、そして秋が来たらバイバイ 」
「その通り!のんでくれるかい?」
彼は警戒した顔つきで紗理奈をじっと見た、こんな人を馬鹿にした申し出は普通の女なら、怒っているだろう
でも自分は普通ではない、ましてやなんだか面白くなってきていた、そして自分は彼がなんて言おうともう、この人に恋をしかけている
「・・・いいわ 」
あからさまにホッとした顔を彼がした、憎たらしい
「そ・・・そうかい?それじゃ― 」
「契約のキスよ」
そう言って紗理奈は彼の首に抱き着いてキスをした
直哉にキスをするのはこれが初めてではないが、以前の時とは全く違った
彼の唇って素敵、すごくキスが上手い、まるで夢を見てるようだ
もう自分を止められない、目を閉じると真っ青な空が広がった、直哉が紗理奈の背中に腕を回し、からだを支えて唇をむさぼる
紗理奈は思わず声を漏らして、直哉の胸にぴったりと自分の胸を引っ付けた
彼と一つに溶け合いたい、以前の続きをしてほしい
キスを放し彼が唇を首筋へ這わせ、軽く歯を立てながら肩へ滑らせて、額を肩にぴったりくっつけて言った
ハァ・・・・「ダメだ・・・・今夜は・・」
紗理奈はドキドキしながらキスをまた求め、きれいに髭を剃ったばかりの顎に、舌をさまよわせた
どうして彼が自制してるのかわからないが、その気になってほしかった
直哉はそんな紗理奈に我慢しきれないとばかりに、また唇を重ね、舌を分け入らせた、紗理奈は震えながら、脚を開きその大きな体を挟んだ
彼の大きな手が紗理奈の乳房を掴む、熱く熱を持って硬くなっている彼のモノに、紗理奈も腰を持ち上げ股間を摺り寄せる
「ナオ・・・ベッドへ行きましょう・・・」
「ダメだ・・・紗理奈・・・ 」
直哉は小さく毒づき、紗理奈の胸の谷間に顔を埋めて、ハァハァ言って自分の目を覚まさせようとしている
紗理奈が手を伸ばすと反射的に手首を掴まれた
「せっかく・・・・付き合った初日だから手は出さないおこうと、思っているのに・・・この悪魔め」
「そうなの?あなたは付き合った初日は、誰でも手は出さないの?」
「いや・・・だからさっきから言ってるけど、付き合ったことないんだって、いいなと思った娘に酒を勧める、数時間後にはもうその子の上に乗ってる、そして終わったらバイバイさ・・・って・・・ああっ!くそっ・・・何を言ってるんだ俺は!」
直哉はこちらを見なかった、唾を呑みこんでいるのか、何度も喉仏が動いている
彼が自制心を取り戻そうとしているのだと気づき、紗理奈は言った
「私にも同じ様にしてくれないの?」
紗理奈は自分の股間で、彼の硬くなったモノをぐりっとやった
「何を言うんだ紗理奈!君は今まで俺がそういうことをしてきた女達と違う!!」
ガバッと直哉は彼女から離れた
「何が違うの?私も同じ女よ?そしてやることもたぶん同じだわ」
「君が他の女と同じ?やめてくれ!君ほど知性溢れる女性はいない!君の品位は俺が今まで相手してきた女達、束になってもかなわないよ!」
「でもあ・の・行・為・に知性が、必要だとは思えないわ、だって世の中には愚かな人が、沢山子供を作っているじゃない」
直哉はワハハハとひっくり返って笑った
「まったく!いくら期間限定だからと言って、付き合うならキチンとしないと、今日はこれでお暇いとまするよ、早くも意志が崩れそうだ 」
さっと直哉は立ち上がって、ファスナーを開けて、そのポジションの位置を歩きやすいように整えた
「帰るの? 」
ズカズカ玄関に向かう直哉を、紗理奈は後を追った、なんだか動揺している彼が面白い
「いいか!明日また来るから!何回か健全なデートをするんだ!ちゃんと段階を踏んで!そーゆー事をするのはそれからだ 」
健全なデート?どの口がそんなことを言うの?紗理奈は思わず噴き出した
「一緒にアイスクリームを食べたり、手を繋いでお散歩したり?」
「そうだ!そして夜空の星を眺めて、お互いの事を話し合った後、10時キッチリにここに君を送り届けて、さよならのキスをして終わりだ!」
ブーッ「つまらないわ!」
紗理奈が鼻に皺をよせて唇を尖らせた、そしてこれだから処女はとかなんとか言って、ブツブツ言って彼は帰って行った
彼の言ってることは全く矛盾している
気安い期間限定の恋人になろうと言っておきながら、私との付き合いはちゃんとしたいと言うのだ
まるでそれじゃ、私を大切にしてくれているみたいじゃない、私はさっさと関係を進めたいのに
紗理奈はしばし玄関に佇み口を手を当てて考えた
そして答えが出た
ニヤッ「そっちがそうなら、私も考えがあるわ・・・・ 」