震えが…………止まらない…………
くにおに襲われそうになった日……
俺は噛み付かれた驚きと怖さでいっぱいいっぱいになった。それと同時に蘇る記憶……
「……いい…大丈夫…俺帰るね、」
あの時のくにおの顔……悲しそうで、それでいて逆らえない欲望に満ちていた。
くにおは…フォークということか…
いくら優しいくにおでも、襲われるとなると話は別だ。正直言って思い出すと今でも震えが止まらなくなる。あの目……あの理性を無くしたような欲に支配されたあの目……………
……俺は知ってる。
〝怖い怖い嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌…やめて…!!〟
「っ………」プルプル
あの日、俺は無理やり襲われた。___
キーンコーンカーンコーン
「こったろくん!お昼行こっ?」
「うん!」
高校2年生の夏、親友と呼べる仲が良い子がいた。その子と一緒に高校1年生の間もずっと過ごしていて、クラス替えで今年も一緒でとても嬉しかったのを覚えている。
「~ッ、~?でね!」
「…」
「…ちょっとぉ、こったろくん?聞いてるの?」
「あぁ、ごめん!なんだっけ?」
「もう笑笑もっかい話すね?」
「うん、ありがとう」
優しいなぁ……。
俺が話を聞いてない時も、優しく受け流して、何度も同じ話をし直してくれる本当に優しい子だった。でも、忘れ物が多く、よく俺を頼ってくることがあって、お互いにお互いを助け合って、信頼しあって日々を過ごしていた。
あの日までは___。
その日、その子の家で互いの秘密を暴露し合うゲームをしていた。傍からしたら、おかしなゲームだと思うだろう。誰だって自分自身に閉まっておきたいことだってあるはずだ。でも、その子は俺を心の底から良い友達だと思ってくれていて、俺もそうだと思っていたからこそ出来たゲームだ。…でも、今思えばそれが全ての元凶だったように思う。
「……僕、実はフォークなんだよね……」
!!、そうだったんだ……。暴露…思ってたより重い話になりそう……。
「食べ物の味がしなくて、美味しいってなんだろうって…わからないんだ……ッ」
「そっか、、」
知っている。フォークがケーキ以外の味覚を感じないこと。
「…………」
「…………」
二人の間に長い沈黙が流れる。
気まずい……俺からなにか言わないとなのに…。なんて言ったらいい?なんてフォローしたらいい、?わからない…。これはデリケートな問題だ。他人がどうこう言っていいものでは無い……。
沈黙を破ったのは向こうからだった。
「……でね、なんでかわかんないんだけど……こったろくんからは甘くていい匂いがするんだぁ……」
……?なんて、?
「いつも思ってた、甘くて美味しそうな匂いがするって。」
ん、?……え?
「入学式の頃から思ってて、仲良くなったのは甘い匂いがして気になったからなんだよね~」
は、?じゃあ最初から……ッ
「1人だったから話しかけたらすぐ着いてきてさぁ、可愛い」
………!!
「ねぇ、」
「ッ!!」ビクッ
「こったろくんって…ケーキ?」
「は、?」
ケーキ、?俺が?
「その反応はまだ自覚してなかった感じ?笑」
何笑ってんだ……
「僕、フォークだからわかるんだよねぇケーキの匂い」
「………」
「…はぁ、まぁいいや、で?味見してもいいよね?」
「は、??」
味見、?何を?
「こったろくんをだよ」
ドサッ
そう言うなり彼は、俺を押し倒して手首を押さえつけた。
ちゅっ
「!?!?」
ちゅッ……ちゅぅッちゅ
「ぅ”ッ……ぁ…やめて!!」
何してんだこいつ……!!急に押し倒してキスしてきた……!!
「………ぁー………美味しい♡」
ゾワゾワワッ
な、に……?怖い…得体の知れないものに触れられてるみたい…怖いよ怖い怖い…!!
「……ッやめろ!!」
力いっぱいにジタバタと暴れてみるが、強すぎる力にそれは無に等しい抵抗となる。
「暴れんなって」
「ヒュッ……」
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
ガブッ
「ッッい”……!!」
ガブッガブ
「い”た…ぃッ!!……やぇ、てッ!!」グスッ
喰われる___。
これは比喩表現じゃない。ニュースでも有名な話だ、ケーキがフォークに食べ殺されてしまうなんて。
ペロッ
「……涙まで甘くて美味しいとか……ッ最ッ高♡」
怪物に襲われている気分だ……これは俺の知っているあいつじゃない……ッ欲に溢れて理性が飛んだ目をしている……怖い怖い怖い怖い……誰か……助けて……!!!
「精液も美味しいんだよね?」
「は、?」
シュッシュッシュッ
「ッ!?ぅッ……ぁッ」
「ほら、早くいけよ」
怖いよ……!!嫌だよ……!!こんな無理やり……ッ!!!
怖い怖い嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌…やめて…!!
あの後のことは覚えていない。俺が犯される寸前であいつの親が帰ってきたから助かったことは覚えている。
俺は、あいつの顔を見るだけで怖くて怖くてたまらなくなって、あいつだけじゃなく他の奴らも俺にあんな事をするんじゃないか、と気が気でなくなって、怖くて、怖くて学校に行けなくなった。
そんな俺を見越してか、母が編入を進めてきた。正直言って俺にはもう心に活力がなくどうでもよかったのだが、高校には行かないといけないと心の隅では感じていたため、別の学校に編入することに決めた。その学校では幸いにも何事も起こらなくて、卒業まで安全な高校生活を送った。
過去の記憶が、くにおの1件が引き金になってフラッシュバックした。
まさか、くにおがフォークだったなんて……。
「……はぁ……ッ」プルプルプル
先日のことを思い出すと震えが止まらない……。血の気が引いて息が上手く吸えなくなる。なんで、……知ってるだろ、?……くにおがあんなやつと同類なわけないって…。知ってる……知ってる。
「……ヒュッ……ヒュッ……カヒュッ……ッ!!ゲホッゲホッ……はぁッはぁッ…………。」
………ッでも…怖い……ッ怖いんだよ…。
またあんなことされたら?、
今度また襲われて、取り返しがつかなくなったら……ッ?
前は俺が引っぱたいたから治まったけど、俺が抵抗できないくらいくにおが暴れたら……ッ?
駄目……俺もう……笑顔でくにおと一緒にいられる気がしない……
本当にスーパーカップル解散ってか?笑
今度こそシャレになんない……。
ずっと、ずっと、ずっと……高校生活のあの日から今日まで怯えながら生きてきた。トラウマと一緒に生活してきた。何をするにも周りの目が気になって吐きそうだ。でも、やっと出会えた信頼出来る大好きな仲間たち、俺の居場所。それが今……壊れそうになっている……。
こんなトラウマ……メンバーに知られたら駄目だと思いまだ誰にも話せていない。迷惑だよね。
くにおもメンバーに自身がフォークだと言うことを言ってないのだろう。それはきっと俺と同じ考えを持ってのことだと思う。
「…………ほんと……みっともない……」
同じ過去引きずってこの歳までトラウマ抱えてんなんて。
克復なんて……一生無理だ…………。
コメント
3件
♡めっちゃ押しときます!!
続きをくださアアアアい!!
続きが欲しい♡