テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
📖 番外編
蒸し暑い午後だった。
エアコンの効きが悪いのか、部屋の空気はじっとりと肌にまとわりつく。
凛:「……は?」
凛は眉をひそめた。
隣――いや、ほとんど密着する距離に、○○が座っている。
○○:「ごめん、凛ちゃん。ちょっと離れて」
そう言いながらも、○○の頬は赤く、腕はしっかりと凛に触れている。
言葉と行動が、まるで噛み合っていない。
○○:「すっごい暑い……」
凛:「……当たり前だろ」
凛はため息をつく。
けれど、その声にはどこか棘がない。
ピッ。
無言でエアコンのリモコンを操作する。
凛:「温度下げりゃいいだろ」
ぶっきらぼうに言いながらも、○○のためなのは明らかだった。
――数分後。
○○:「……寒い」
凛:「は?」
○○:「待って、めちゃくちゃ寒いんだけど……」
そう言って、○○は迷いなく凛の腕にしがみつく。
ぎゅっ。
自然すぎるその動きに、凛は一瞬だけ目を瞬かせる。
凛:(……またか)
心の中でそう思いながらも――
振り払う気は、最初からなかった。
凛:「……だったら、こっち来い」
低く呟くと、○○は素直にさらに近づいてくる。
肩に頭が触れる。
体温が伝わる。
部屋はすっかり冷えきってしまい、
そのせいで○○は、何度も凛にくっついてしまうのだった。
○○:「……寒いんだから、仕方ないでしょ」
凛:「 ……ああ」
短く返したその声は、どこか柔らかい。
凛は視線を逸らしたまま、わずかに息を吐く。
――本当は。
離れられるより、この方がいい。
素直に言うつもりはないけれど、
腕に伝わる重さも、寄り添う体温も、全部が心地いい。
だからこそ――
凛は何も言わず、ただそのままにしていた。
むしろ、逃がさないようにとでも言うように、
ほんの少しだけ、腕に力を込めながら。
エアコンの冷たい風の中で、
凛だけが、その距離に満足していた。
コメント
1件
私真ん中ね?
201