「は?」
僕はそんか素っ頓狂な声を上げてしまった。
「なんで……それを?」
「だって今、君がそうやって言ったんじゃん」
独り言が聞こえていたのだろうか。
「だが、なんで着いてこようと思ったんだ?」
「私が、君の旅で得ようとしてるもの。成し遂げたいものを傍で見てみたいから、かな」
うーん、と少し考え込んだ僕はやがてひとつの答えをそのシロという少女に告げた。
「わかった。君を僕の旅へ連れて行くよ」
「やった!」
そう嬉しそうな声を彼女はあげるのだった。
***
人助けと言いながら、少しだけ旅行気分が入っていた為、僕は少し遠くへ行くことにした。
駅へと向かっている道中、シロと僕は沈黙状態を維持していた。気まずいとも思ったが、特に話題もなかったので、僕からは話すことはなかった。だが、その沈黙はシロによって破られることとなった。
「なんで私を連れて行ってくれたの?」
その問いに対して少し悩みながら、やがてひとつの答えをシロへ告げた。
「これはな、人の役に立つための旅だ。人の役に立つっていうのは誰かの願いを叶えることに通ずる部分があると考えた」
「私の願い、旅に連れて行ってほしいという願いを叶えるために連れて行ったんだ」
「あぁ。」
シロとそんな会話を交わしているうちに僕らは駅へと到着した。
***
僕らは電車の中で揺らされていた。もう日は落ちようとしていた。それだけの時間をかけてきたため、2つ3つ程度の県は超えただろう。僕はスマホの画面を点け、近くの安い宿泊施設を検索した。
「何してるの?」
「ん、あぁ。近くのホテルを探してたんだ」
「いいとこあった?」
「うん、ビジネスホテルだけどね。料金が安いからそこにしようと思う」
「そっか。何時くらいに到着予定なの?」
「7時頃かな」
「ふ~ん。まだもう少しあるね」
「まぁ値段が安いし、旅なんてこんなもんなんじゃない?」
「そうだね」
時刻は6時30分を回っていた。スマホの画面を暗くし、外の景色を眺めていると、シロが僕の肩を叩き尋ねるのだった。
「あなたには忘れられない人はいますか?」
そんなことを僕に尋ねるのだった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!