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♧視点
打ち上げの帰り道。
俺たちは並んで歩いていた。
昼間から何度も桐崎をからかったせいか、少しだけ気まずい空気が流れている。
だけど、こんな風に二人きりで歩ける時間が、妙に心地よくもあった。
❀「……今日は、楽しかったですね」
彼女がふと口を開く。
♧「ま、アニメも無事に終わったしな。お前が意外と頑張ってたのも認めてやるよ」
❀「何ですか、その言い方! 別に意外じゃないです!」
すぐに食ってかかってくるのは相変わらず。これが狙った獲物は離さないってやつか。さすがだな。
だけど、その拗ねた表情すら愛おしいと思ってしまう自分が、心底めんどくさい。
……ほんと、しょーがねぇよな。
俺はとっくに、彼女のことが好きだった。
この感情に気づかなかっただけで俺は桐崎に一目惚れだった思う。
でも、この関係を崩したくなくて、ついからかうことでごまかしてしまう。
そんな自分のことが、正直嫌になる。
だけど―ー
♧「……お前、ほんと鈍いよな」
今夜は、もう誤魔化せそうにない。
❀「え?」
♧「俺、ずっとお前のこと見てたんだけど」
自分でも驚くほど素直な言葉が、するりと口をついて出た。
桐崎は戸惑ったように目を見開いている。
❀「……からかってます?」
♧「違ぇよ。……ったく」
視線を逸らしながら、髪をかき上げる。
心臓の音がうるさいくらいに響いていた。
❀「お前みたいな生意気で、意地っ張りで、いちいちムカつく女……」
喉の奥がひりつく。
でも、ここで引き下がったら絶対に後悔する。
♧「……しょーがなく好きなんだよ」
言った。
言ってしまった。
桐崎の目が丸くなって、ただ俺を見つめている。
❀「……え?」
♧「だーかーら。しょーがなく好きだっつってんの」
もう一度。
自分でも驚くほど、はっきりと。
桐崎の反応が怖くて、つい強がるように口を開く。
♧「お前がバカみたいに鈍感だから、こうやって言ってやってんの。感謝しろよ」
心臓が張り裂けそうだった。
でも、次の瞬間――
❀「な、なんでそんな偉そうなんですか!」
頬を真っ赤に染めて怒る彼女の姿に、思わず口元が緩む。
……あー、ほんと可愛い。
だけど、そんなことは口が裂けても言えない。絶対にしばかれる。
❀「それに……黒崎だけじゃないです」
♧「……は?」
❀「私だって、黒崎みたいに意地悪で、すぐからかってきて、でも……たまに優しいとことか……」
彼女の声が震える。
その言葉の続きを、俺は息を詰めて待った。
❀「……しょーがなく好きなんですから」
一瞬、頭が真っ白になる。
♧「……お前、それ自分で言って恥ずかしくねーの?」
❀「そっちこそ!」
♧「俺はセリフで言ったんで恥ずくないでーす」
❀「黒崎赤い顔してるけど?照れてるのかなあ」
♧「お前もだろ!」
まるで小学生みたいな言い合い。
だけど、頬が痛くなるくらい笑ってる自分がいた。
♧「……しょーがないな、ほんと」
❀「それ、こっちのセリフです」
♧「でも、もう逃がさないから」
てか、逃がす気なんてさせないけど。一生守ってあげようと思ってるけど。
一生桐崎の主人公になってあげてもいいけど。
❀「……別に、逃げませんけど?逆に逃げたら殴りますよ」
♧「へえ? じゃあ、証拠に……」
俺は彼女の唇を奪った
❀「……バカ」
♧「ツンデレすぎ。」
♧「これからも、ずっと一緒にいような」
❀「……しょーがないから、いてあげますよ」
♧「素直じゃないなあ」
互いに素直じゃないまま交わした、言葉。
でも、それがきっと――
俺たちらしい恋の始まり。 Thank you
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さよーなら!またいつか!