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【お願い】
こちらはirxsのnmmn作品(青桃)となります
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ご本人様方とは一切関係ありません
5月4日は青桃の日!ということで、この日に青桃作品を投稿するのは今日で4度目になります。
今まで割と真面目な青桃解釈の話を書いてきた気がするので、今年はちょっとテイストの違うお話を…。
「他の人に浮ついた気分になる(=浮気)…?」青さんに対し、浮気糾弾する桃さんのお話です。
借りていた撮影場所での仕事を終えて事務所に帰る時、隣にいたほとけが不意に足を止めた。
もう事務所近くまで戻ってきたところだった。
ほとけの視線の先には、よく行くカフェチェーンの看板。
どうやら新作が今日から出たらしく、目が輝いている。
「いふくん、まだ次のミーティングまで時間あるよね!? 寄ってこ!」
腕に手を絡められ、ぐいと勢いよく引っ張られた。
…確かに今日のスケジュールは割と順調で、事務所での次のミーティングまで2時間は余裕である。
同意して頷く間もなく、俺は引っ張られるままに店内へと足を踏み入れた。
テイクアウトして事務所へ持って行くのかと思いきや、ほとけは店内飲食を選択した。
フルーティーな新作をチョイスしたほとけと、いつも通りブラックコーヒーをオーダーした俺。
「いふくん、先行って席取っといてー」なんて言われ、カウンター前から追い出されるようにして奥へと向かった。
見渡した店内は割と繁盛していて、ほとんどの席が埋まっている。
会話の邪魔にならない程度に心地よいBGMが流れ、落ち着いた雰囲気だ。
唯一空いていたソファ席を奥に見つけ、そちらへまっすぐ足を向けた。
だけど狭い店内を縫うようにして進んでいたせいで、一度他人の椅子にぶつかりかけてしまった。
「あ、すみません」
慌てて避けようとした時、手を滑らせて持っていたスマホを取り落とす。
床でカツンと音を鳴らしたそれを拾おうとしたけれど、俺より早く動いた影があった。
…今ぶつかりかけた椅子に座っている女性だった。
黒く長いストレートの髪を耳にかけながら、座ったまま床に手を伸ばす。
俺のスマホを拾い上げると、すっとそれを差し出してきた。
「…ありがとうございます」
礼を言いながら受け取ると、彼女はにこりと微笑んで会釈を返す。
そしてそれきり、また前を向いて自分のコーヒーカップに手を伸ばした。
ピンクベージュのネイルが映える細い指が、カップの取っ手にかかる。
それをゆっくりと口元に運ぶ様は流れるようにきれいで、思わず見惚れてしまった。
「いふくんどうしたの?」
トレイを手に、後ろからやってきたほとけがそんな声をかけてくる。
「…あ、ごめん」なんて特別悪いことをしたわけでもないのに素直にそんな言葉を漏らしながら、俺はさっき見つけた席の方へと再度歩みを進めた。
******
テーブル数個分離れた位置に座っている彼女は、どうやら一人で来ているらしかった。
両膝を合わせ、長い足は流すようにして斜めに揃えている。
上品なブラウスの袖から伸びた手は文庫本を取り、長い指先でぺらりとページを捲っていた。
「いふくんさっきからどうしたの? 上の空じゃない?」
目の前に座るほとけに言われて、ハッと我に返る。
自分がさっきの女性客を目で追っていることに、その時ようやく気がついた。
「…べつに、なんも」
かわいい、とかきれい、とか、そんな短絡的な感想を抱いたわけじゃなかった。
ただ、一つ一つの動作が流れるようにきれいで、思わず見惚れてしまっていただけだ。
…そうだ、別に好みだとか好みじゃないとかじゃなくて、ただ人として好感が持てるなと思っただけで。
胸の中で言い訳じみた言葉を羅列したのは、誰へ向けてのものだったのか。
だって俺は一目惚れなんてするタイプじゃない。
中身を知ってから好きになるタイプだし、いくら見た目が良い人間に会ってもそれだけで恋に落ちたりはしない。
ましてや今、俺には本気で好きな子がいるのに。他に目移りするわけがない。
そう言い訳を並べているはずなのに、胸の奥底で明らかに動揺している自分もいた。
…そう、俺はないこが好きで、ないこ以外に目を奪われるなんてことあるはずがない。
なのに、初めて目線で追ってしまうくらいの人に出会ったことに、少なからず自分で躊躇いを覚えていた。
…いやいや、別に彼女に声をかけようとかどうこうなろうとかは思ってないし。
ただ何度も言うように、所作の美しさに見惚れてしまっていただけで…。
そう思いながらもう一度横目で見た彼女は、やはり驚くほど整った顔をしていた。
ぱちりとした目に、長い睫毛。鼻筋は通っていて、途中で取り出したらしい眼鏡も似合う。
…やばい、これ以上見たらさすがにまずい。
そう思って目の前のコーヒーに集中しようとした。
******
うまいコーヒーを飲んで「さぁ次の仕事も頑張ろう」と思うはずのところ、味は全く分からなかった。
「どうしちゃったのいふくん、今日おかしいよ?」
事務所に行き、ミーティングまでの時間を潰している間にほとけがそんな声をかけてきた。
その部屋に先に来ていたあにきが「え、まろどしたん?」なんて会話に加わってくる。
「…別になんもおかしないって」
後ろめたい気持ちがあったせいか、俺は少しだけ不機嫌そうに低い声で言った。
そんなこちらの様子に構うことなく、ほとけが「あのね」とあにきに囁く。
「さっきカフェでめっちゃ美人さんがいたの! いふくんずっとその人のことちらちら見ててさぁ」
「え! まろが!?」
聞いたあにきは、驚いたように俺を振り返った。
違う違う違う、だるいだるい。
そんなんじゃないと言いたいのに、ほとけが言葉を継ぐ方が早かった。
「確かに美人だったけどさぁ、そこまで!?って思っちゃった。いふくんてああいう人が好みなんだね」
「えー…まろが…? あんなにないこ一筋やのに…?」
怪訝な顔をしたあにきは、ほとけの向かい側で腕組みしながら首を捻っている。
「見る? あにき」
そんなあにきに自分のスマホを差し出しながら、ほとけは画面を操作した。
そこにはさっきのカフェでこっそり撮ったらしい彼女の姿。
小さな画面に映るその全身像からも、顔の小ささとスタイルのよさが際立って見える。
「は…!? 写真!? いつ撮ったん!?」
「僕がこうしてることにも気づかないくらいこの女の人に夢中だったんでしょ、いふくん」
「おい人様を盗撮すんなよ…!」
その手のことは俺達が一番やっちゃいけないことだって分かってるはずだろ。
そう諌めている俺の横で、あにきは画面を覗き見ていた。
「へぇ、まろってこういう女が好みなんや」
「いや、だから違うって…! 人として! そう、人として、なんか所作がきれいやなってちょっと見惚れただけで…!」
「それって顔だけでかわいいとかきれいって判断するより、本能的に好みってことやんな」
あにきが流れるように言うものだから、俺は思わずぐっと言葉を詰まらせた。
「顔は好みちゃうん?」
重ねて問われて、返事を言い淀む。
「…いや、それは…きれいな人やなとも思ったけど…」
そう俺が答えた時、ほとけとあにきがやたらにやにやしていることに気づいた。
…何その顔、何でそんなにおもしろがっとるん、そう聞きかけたけれど、それを遮るように部屋のドアがバンと開いた。
「おつかれ」
ノートPCを抱えたないこが部屋に入ってくる。
「聞いてないちゃん! いふくん浮気してるよ!!」
…おもしろがってるのはそれか。
いや、だけど今回ばかりはシャレにならない。言い訳の仕様もない。
そう思った俺の思考を正とするかのごとく、顔を上げたないこは不機嫌そうに俺を見据えた。
「聞こえてたよ、廊下まで。いむ、写真撮ったって?」
「きれいに撮れてるよ! ないちゃんも見る?」
「盗撮は悪だって普段から言ってる俺等の立場で、そんなことすんなよ」
言いながら、ないこはほとけが向けたスマホを一瞥した。
そこに映る彼女の姿を目に留めて、小さく舌打ちする。
「こういうの好みなんだ、まろ」
「いや、だから違…っ」
「さっきあにきと話してたじゃん。本能的に好みなんでしょ?」
「違うって…!」
いや、話してた事実は変わらないから「違う」とも言い切れなくなってしまっている。
そう思って返すべき言葉に詰まった俺に、ないこが先に声を重ねた。
「浮気じゃんね、これ」
さっきの冗談まじりのほとけの言葉を真顔でなぞりながら、低い声がそう宣告してくる。
「浮気!?違うって!」
「『浮ついた気分』になったら浮気なんだよ。かわいいと思ったんでしょ? その女のこと」
「聞いて、ないこ。俺は…っ」
何をどう言い訳しようとしたのか、自分でも定かではなかった。
ただ目の前のないこの肩を掴み、逸らし気味な目線を必死で追う。
その間もほとけとあにきはこちらを黙然と見守っていた。
…お前らフォローくらい入れろよ。誰のせいでこうなったと思っとるん。
「言い訳とか聞きたくないし。まろは浮気とか絶対しないと思ってたけど、そうでもなかったんだって今初めて知ったわ」
「ちが…っ」
「落としたスマホを女に拾ってもらったくらいで浮ついてさぁ、バカみたい」
「だから違うって……! ……え? スマホ?」
不機嫌そうに続いたないこの言葉に、俺は目を見開いた。
スマホ…? スマホの話なんてここでしたっけ?
そう思ってないこだけでなくほとけとあにきの顔も見やると、2人はにやにやと笑っている。
やがてほとけの方がないこの腕を取り、ドヤ顔で俺を見上げてきた。
「じゃーーん、どうだった?いふくん!大好きなないちゃんの本気女装姿!!」
「…は!?!?!?!!?」
ちょっと待て。頭が全くついていかない。
思わずフリーズしかけた俺の前で、ないこは相変わらず不機嫌そうに眉を寄せている。
「どうもこうもないわ。こいつまじで見惚れてたんだけど! ちょっとにっこり笑ってやったくらいでバカみたいにぼけーっとしてさぁ! 浮気じゃんどう考えても!!!」
俺を指で指し示しながら声を荒げるないこに、あにきが首を竦めて応じる。
「ないこがそこまでキレとるんも意味分からんのよな。お前も最初はまろにどっきりしかけるって楽しそうに意気込んどったやん」
「そうだけど…! でもあの時のこいつの顔見た!? あれ絶対、隙あらば連絡先聞いて浮気してたと思うわ!」
「いやいやいや、今回はないこが怒っとるその浮気相手もお前自身なんよな」
そこまで言って、あにきは茫然とする俺をよそにげらげらと声を上げて笑い出した。
******
ミーティングまであと30分はあるから、と、ほとけとあにきは「とりあえず仲直りしな」と俺達を部屋に置いて出ていった。
…仲直り? こんなことになったのは誰のせいだと思ってるんだ。
目の前には、未だ不機嫌そうにジト目でこちらを睨んでくるないこ。
…いや不機嫌そうではあるけれど、俺は少しだけ安堵していた。
ないこにしか惹かれるわけがなくて、この先もないこしか愛さないし愛せないだろうと思っていた自分が、一瞬だけ他人に目線を奪われた…その事実に動揺していたけれど、結局それもないこだったのだから。
あにきが言った、「本能的に好み」の言葉の意味は間違っていなかったらしい。
姿形が変わっても、俺が惹かれるのはやっぱりないこでしかなくて。
「…なにちょっと嬉しそうにしてんだよ」
ないこの低い声は、こちらを非難する口調だった。
「やっぱり俺が惹かれるんはないこだけなんやな、と思って」
「はぁ〜? なんか美談にしようとしてない? お前が浮気したのは事実だから! 一瞬でも他人に浮ついた気分になった時点で浮気だから!」
「でもそれもないこやって、さっきからあにきに言われとるやん」
機嫌直して、と言いながら俺はないこの手首を掴む。
そのまま引き寄せて、ぽすんと腕の中にないこの細い肩をおさめた。
…それにしても、と、思う。
「うきうきどっきり仕掛けに行ったくせに、実際に俺の反応見たせいでぷんぷん怒って? そんで急いでメイク落として着替えてここに戻ってきたわけ?」
「人をアホみたいに言うな! がっつりメイクしてもらったせいで落とすのも大変だったんだからな…!」
「落とす前に見せてくれたらよかったのに、間近で」
「おま…っまだ浮気しようとしてんじゃん!」
「だから、それもないこやんか」
腕の中でぎゃーぎゃー喚く愛しいピンク髪を撫でる。
そこにちゅ、と一度唇を寄せると、一瞬だけ大人しくなったないこから明らかな拒絶反応は消え失せた。
いつものようにその手を俺の背に回してこないのは、せめてもの反抗心の表れらしい。
だけど押しのけたりするようなあからさまな拒否はない。
やがて何かを思い出したように、ないこは俺の腕の中でわざとらしいくらいのため息をついた。
「…そういやいむに、あの写真削除させんの忘れてた」
ちっと舌打ちまじりにそんなことを言う。
「え、ちょっと待って。削除させるんやったらその前に俺のスマホに送るように言うて」
「おま…っ」
悪びれもせずに言うと、ないこは呆れたように一瞬言葉に詰まった。
それから「だから盗撮は犯罪だって!」なんて事務所社長らしくもっともな言葉が返ってくる。
ほとけだってあれがないこだと知っていなかったら、無断で一般人の姿を撮ったりしてるわけがないだろ。
まだまだこれから不平不満を並べるだろう、尖った唇。
顎を掴んで少し上向きに傾けさせると、俺はかわいいそれを自分の口で勢いよく塞いでやった。
コメント
4件
初コメ?なのかな?前にコメントしたことあったらごめんなさい💦ほんとに主さんの作文好みすぎてやばいです。桃さんの女装…絶対美人すぎるし映えますね…話変わってごめんなさいなんですけど、今ってリク受け付けてたりします?久しぶりに主さんの作文全て読んだんですけどその中の1番好みなお話をもっと私の好みのように主さんに書いてもらいたいなって思ってるんですけど…自分勝手ですみません💦
初コメ失礼しますっっっ✨️ めちゃくちゃあおばさんの作品好みで😭😭 途中まで怪しい雰囲気なのに 最後はすかさずめろめろな青さんとツンしてる桃さんが 尊くてタイプで大好きすぎます! 女装してる桃さん絶対に美人だよなああああ 肌白そう細そう脚長すぎて韓国アイドル笑 まじであおばさんのかく青桃さんどタイプです ありがとうございます!!
青さんがまさかの桃さん以外の方に好意を!?なんて思っていましたがまさかの女装した桃さんだったとは…✨✨ 仕草さえも美しいのならとっても美人さんなんでしょうね…😖💭 自分ではあるものの女装した自分に惹かれてしまった青さんに対する桃さんの反応がいつもより子供のように拗ねていて可愛いすぎます🥹💘 ↓↓