3章:ポポハスの青
32話:さいかいゼロ化。
朝日秀蘭
→痛覚 創造を具現化する能力
導奇秋
→視覚 生死を導く能力
加和夏希
→嗅覚 時の凍結能力
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〈注意〉
3章では暴力表現を扱うのシーンがあります。原作より柔らかい表現にし、注意喚起をするのでセンシティブ設定を付けていませんが、苦手な方はお気をつけ下さい。
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ー廃鉱山内部ー ー秀蘭sideー
「大丈夫?暗いし、気分悪くなったら言えよ。」
「うんありがとう、双斗もね。」
作戦当日。私たちは予定通り廃鉱山の中を突き進み歩いている最中だ。多少のトラブルもなく安全にここまで来れている。
…もう抜け出したことはバレているのかな。なんだかやけに静かで作戦が上手く行き過ぎている気もした。
「…もうすぐ出口だけど、どうやら正面入り口でトラブルがあったみたい。絶好のチャンスだ、この混乱に紛れて外に出よう。」
「うん、分かった。」
ーシュウsideー
「侵入者だ!!!取り押さえろ!!」
「うわっ!まだいるの!?すごい人数!」
数時間前ここについてからずっとこの様子。この少年たちは…やっぱりあの人の命令に従って動いているだけみたい。戦う意志はない、ただ生きた操り人形みたいに僕らに向かってくるだけ。
…操り人形か。メイのことだし、この子たちもきっと動けなくなったら…。 だったら傷つけないように!
「夏希さんっ!」
「ええ!!___時の凍結!」
この隙に指揮してるあの人を止めなきゃ。
夏希さんの能力は完全なものじゃないから、効率よく立ち回らないと
早く秀蘭を助けなきゃっ!
早くシュウに会わないと。
「秀蘭、こっち右。かがんで!走るよ。」
「おい左よけろ!!…よく見ろシュウ!」
「待って双斗、ここ横からっ__」
「ダインも!気をつけなきゃっっ__」
タンッ!タタンッッ!! ドンッッッ!!
「「あっっ」」
足がもつれて誰かにぶつかってしまった。どうしよう鉱山の大人だったらっ
ハッとして私は当たった人物の顔を覗き込む。
「「秀蘭…?/…シュウ?」」
聞こえてきたのはもう既に懐かしいと感じてしまうシュウの声だった。足を止め、目が合うなり微笑んで
「良かったぁぁぁ!!無事で!」
「シュウ、夏希、ダインもっ」
私達は顔を見合わせたあと大人たちの目を掻い潜り、入り口から少し離れた場所で身を潜め再会した喜びを共有した。
そして私から双斗について説明した。
「そう…。貴方が四人目の感生の子ね。秀蘭のことありがとう。」
「いや、俺も秀蘭に助けてもらったから。お互い様。」
双斗も同じ忌子ってことに安心しているのか、いつもより警戒していなかった。そればかりか前から一緒に居たかのように言葉が繋がり弾む。
「よし、そろそろ双子神のところに戻るぞ。まだ走れるか?」
というダインの声かけに私達はまた疲れを忘れて走った。
いや、走り出そうとした。
「…あらあら。外出許可を出した覚えはないですよ?双斗。」
その声に双斗は震えながら振り向く。
私達もその姿を捉えて驚きながら攻撃に構える。こんな簡単に事が進むわけないとわかってはいたが、まさかここで再会するなんて
「メイ…っ!なんで、今日はいらっしゃらないんじゃっ!」
「双斗、残念です。ほら、お戻り?貴方のいるべき場所はどっちです?」
ちがっっ!!と抵抗する双斗を遇らうようにメイは彼を糸で拘束して連れ去ってしまう。
「しゅ……らぁ…。」
「双斗っっっっ!!!」
___伸ばした手が触れることはなかった。