🌹のような何かです。
締まらないハッピーでもない僕が書く中ではちょっと珍しい書いててしんどくなるタイプのやつです。
この手のものは割と経験談が多いです。失恋経験はありません。
失恋したbrさんの相談に乗るknさんのお話です
side kn
「きんさん」
帰り際、少し切なそうな声が聞こえる。
甘い砂糖のような柔らかい声が今は雨の日のように曇っている。
「どうしたの?」
「………」
「まぁ、座りな」
自分の席に座って、対面の席の椅子を引いて着席を促す。
「……あのさ…僕…」
「ゆっくりでいいよ」
「………ッ…、失恋、しちゃったぁっ、」
ポロポロと飴玉のように涙をこぼしていく目の前の彼。
本当は知っていた
数ヶ月前から元気がなくて、違和感を感じていたこと。
本当は気づいていた
彼が好きな人に振られた上で恋人がいて、忘れようとしても忘れられず、ろくに眠れていないこと
本当は………
「最近、あの人の夢をよく見るんだ、何もしなくても考えているし、あんな言葉あんなこと、やってもらえたらうれしかっただろうなって、あの人は何が好きかなって、話しかけたらどんなふうに返事してくれるかなとか、たくさん考えてるんだ」
「でも、今はあの人の声が頭の中ではっきりしないんだ」
「モヤがかかってて、こもってるようで、まともに言っていることも理解できない」
「あんなに大好きな人だったのに、僕は忘れかけてる」
「やっぱり僕の愛ってそんなもんだったんだなって……」
悲しそうな彼を抱きしめてあげられたらどんなに良かっただろう。
頑張ったねと声をかけてあげられたらどんなに良かっただろう。
優しく涙を拭ってあげられたらどんなに良かっただろう。
「忘れてるんじゃなくて思い出そうとしてないだけだよきっと」
「自分を守ろうとしてるだけ、だから大丈夫、相談してくれてありがとね。」
そんな思いもむなしく口からこぼれたのは励ましの一つにもならない言葉。
無力感に苛まれて、喉がきゅっと締まるような感覚を覚えた。
目の前の彼は涙を袖で無理やり拭って、ありがとうとだけ言って走っていってしまった。
きっとそれほど彼にとってあの人の存在は大きかったのだ。
俺じゃ、ダメなんだろうか
コメント
3件
この切ない感じめっちゃ良いです…最高です!!早く2人くっついてください🫂🫂🫂