タバコを三本指で持って疲れや孤独を食べるように口に運ぶ。
多種多様な匂いが充満するネオン街にもうひとつ新たな匂いを増やす
雨が心地よいほど静かに降っている
雨が連れてくる独特の気持ちの静けさ
ネオンの街に消えていく煙を目で追っていく
大きく息を吸って肺に入るのは猛毒と快楽
疲れと孤独を口に含んでいる余裕もないから肺に入れてしまう
それらを、疲れと孤独さえも味わい尽くしてからネオンの中の高いビルを見上げまた煙を吐く
嘲笑うように皮肉をこめた口端から煙が出ていく
はじめてこのタバコを吸ったときはあまりの刺激の強さで煙を口に含むのさえできたもんじゃなかったが今ではその刺激さえ麻痺してしまう
雨に濡れ一見消えそうな、寂しそうにタバコを吸っている姿とは対照的にキッチリとしたネクタイ、シワのないスーツ、黒い短髪
それもいつかは雨に濡れてるために乱れスーツには強いタバコの匂いが染み付いていくのだろう
「疲れたな」
コメント
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主はタバコ吸ったことないです