俺は父さんから虐待をされている。
始まりは母さんが亡くなった次の日からだった…。
父さんも母さんも昔はとても優しかったんだ。なのに突然父さんは母さんを殴るようになった。
俺と同じ “躾” だと言いながら…
仕事の時間が遅くなる時が多くなった母さんは車で送ってもらう事が度々あった。送ってくれていた人は男性の上司で仕事仲間らしい。
それを目撃した父さんは激怒しこれがきっかけで母さんは暴力を振るわれるようになった。
…母さんはついに入院した。精神的にも肉体的にも限界だったんだ。お見舞いに行ってもいっさい笑わない…目も合わない…話も出来ない…そんな状況だった。
そして退院が決まった日…母さんは……
sh「……うぅ…あ…かあ、さんっ…」
kn「…shk」
俺はshkを優しく抱きしめる。泣きじゃくるshkはまだ幼い子供のようだった。
俺は泣き止むまで背中をさするのも抱きしめるのもやめなかった。
昼休みが終わる鐘が鳴る。shkはそっと俺から離れる。もう涙は流れていなかった。
kn「もう、大丈夫?」
sh「…ごめん、迷惑かけた。俺、今日は帰る。」
kn「待って!まだ一緒にいてもいい?」
sh「knはちゃんと授業受けろよ。」
kn「今はshkの側にいたい。」
shkは目を見開いてすぐに俺から顔を背けた。返事もせずにshkはすぐに落ちたおにぎりを拾いそそくさと歩いて行く。
kn「え!?ちょ、待ってよ!」
俺は急いでゴミを片付けて後を追う。
隣に並ぶとshkの耳が少し赤くなっているのがわかった。まだ、一緒にいていいんだと気付き俺は笑みを浮かべながら歩く。
sh「…何で笑ってんだよ。」
kn「いや〜?shkって可愛い所あるんだなぁって思って。」
sh「…やっぱ一人で帰る。」
kn「あぁぁ、ごめんって!」
kn「俺、初めて早退したかも。」
sh「すごいな…学校楽しいから?」
kn「うーん…まぁ確かにそれはあるかな。でもさ、それよりも今が断然楽しいわ。」
いつも帰る時間には人があふれかえっている道も、今の時間はほとんど人がいない。
kn「shk。今から俺の家来ない?」
sh「え?」
kn「せっかくまだ一緒にいれるし、まだ俺も話したいからさ。」
sh「俺が行っていいの?」
kn「え?いいに決まってんじゃん!よし、じゃぁ、決定ー!」
俺は嬉しくなり、つい歩くスピードを速めてしまう。後ろから小走りで近づく音が聞こえる。
sh「ごめん、俺足遅くて…。」
kn「俺こそごめん!嬉しくなってついやっちゃったわ。」
隣に並び歩幅を合わせてshkと歩き出す。
sh「kn…有難う。」
kn「んー?こちらこそ。」
shkの “有難う” はきっと色々な事を含めているんだろうなと悟る。shkを見ると少し顔が綻んでいるようにも見えた。
しばらく歩き俺の家に着く。鍵を開けて玄関へ招き入れる。小さな声でお邪魔しますと言っているshkは緊張しているのか少し怖がっていた。
kn「まだ親帰ってきてないから気にせずにあがっていいよ。」
そう声をかけたが隅っこに立っているだけでshkは動かなかった…。
kn「shk?何してんだよ。ほら、靴脱いであがりな?」
sh「え…あ、そっか。そうだよな。」
shkはいつもとは違う状況に戸惑いながらも俺の真似をしながら靴を脱ぐ。
するとshkは自分の靴と俺の靴まで揃えていた。それを見て感じる…まだ俺の知らない事が沢山あるんだと…。
このしがらみをいつか取り除く事が出来るだろうか…小さい背中を見つめながら思う。
shkと呼びかけると振り向く彼を見て俺は少し愛おしさが込み上げてきた。
コメント
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最高です…2人のこの関係性好きすぎます…!!!!