僕はあの暑い夏の日に、クラスメイトの御三沢愛菜とそっくりなやつに出会った。
俺は古城寛太。中学三年生。
セミの鳴き声が教室に響く。今日は7月20日で、一学期最終日。
教室には教卓に立っている担任が夏休みの過ごし方について、長々と話をしている。
担任の話が終わり、みんな帰る準備をしている。明日から…いや、今日からか?とにかく夏休みだ。
今日まで荷物を溜め込んで一気に持って帰らないといけないやつが数名…俺もだけど。
「おーい、かんちゃん」と後ろから声をかけられた。
「あ、唯か」
一緒に帰ろ、と微笑みかけてくる。その笑顔を見ると鼓動が激しくなるのを感じた。
今話しかけてきたのは押川 唯華。
俺は唯華のことを唯と呼んでいる。
唯とは家が隣同士で幼稚園、小学校、中学校と同じ、いわゆる幼馴染ってやつだ。今は高校も同じところを受験しようと考えている。
そんな唯をずっと隣で一緒にいて見てきた俺は、だんだんと唯を好きになってしまっていた。
「おう、帰ろうぜ」
「うん!って荷物ありすぎでしょ⋯これ持つよ」
「サンキュ」
唯と肩を並べて歩く。そんな俺らを見てクラスの奴らはいつも「カップルがまた一緒に帰ってるぞ〜笑」と言ってくる、がそのからかいには俺も唯も慣れている。なにせ昔っからこうだからな。
押川はその事をどう思っているんだろうか…。気になるところではあるが勇気がなくてずっと聞けないでいる。
それから唯とは他愛もない話をして家まで帰った。
家に帰って制服を着替え、勉強…主に宿題をしている。少し宿題が進んだのでゲームをする。
ゲームを初めて数分たった頃、スマホが鳴った。通知画面を見ると「唯華からのメッセーが届いています」と表示されていた。
メールの内容を確認すると、 一緒にゲームしよ! と言う内容だった。「いーけど宿題少しは進めたのか?」と聞くと「いや進めてないけど大丈夫大丈夫」と来ていたので「了解」と送ってゲームで合流。それから通話を始める。
ゲームは順調に進んで、小一時間で通話を終了した。
それから俺はベットに寝転がり、ゆっくりと目を閉じて頭の中で考える。俺はこの夏休み、唯に告ろうと考えている。花火大会とかに誘って帰り道に告白しようかな…なんて考えているといつの間にか眠りについていた。
母の声がして起きた。どうやら晩ご飯ができたようだ。考え事をしていたら寝てしまって、1時間も寝ていたらしい。ちょうどいいやと思ってリビングに向かった。
晩ご飯を食べた後、自分の部屋でまたもやゲームをしていた。最近お気に入りのソシャゲがアップデートされたらしく、新しい武器が追加されてたから使ってみたが、案外すぐに使いこなすことが出来た。
それからはスマホで動画をみて夜中の2時過ぎに寝た。
アラームで目が覚める。ベットから起き上がって、リビングに行き朝ごはんを食べる。
今日は野球部の練習試合だった。6月上旬にある市総体が終わると部活に行かなくなるやつが大半だが、部活を続けるか続けないかは個人の自由なので、俺は夏休みが終わるまで部活をすることにした。
練習試合が終わった後の帰り道、野球部の奴らとスーパーに寄った。目的は他でもないアイスのためだ。自転車置き場でひとまず休憩を取った。
そのスーパーの車の駐車場で俺は、1人の女子に目が止まった。そこに居たのはいつも通り暗い顔をした同じクラスの御三沢愛菜だった。
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