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—彼
拝啓、親愛なる貴方へ。
僕は人生で初めて告白をした人と今、お付き合いをしています。
出会った当初は僕が大学三年生、君は一年生だった。
桜が散りつつある暖かい春日和で、
風が吹く日だったのを鮮明に覚えている。
新歓が終わった帰り道だった。
僕と君はそこで初めて出会った。
茜さす世界
零れ桜の舞
微笑む桜人
―綺麗だ。
「あのっ!好きです!」
考えるより先に身体が動いていました。
でもあの時、行動して良かったと心の底から思います。
まぁ結果論に過ぎませんが。
彼女は寝る前に「昨日よりも幸せにするね」と言ってくれます。
僕は毎日本当に幸せです。
だから、僕の全てを持って君を幸せにします。
決意表明としてここに残します。
僕は貴方の事、誰よりも知っています。
生きてここまで歩いてくれて、本当にありがとう。
大丈夫だよ。
未来では、愛する人と怖いくらいに幸せな日々を過ごしてるから。
ずっとそばにいるよ。
僕より。
—彼女
桜の開花宣言が発表されてから一週間。
大学の新歓に心配な気持ちを抱えながら参加した。
桜が少しずつ散り始めた暖かい春日和。
花見日和な日だった。
新歓も終わり、日も傾き始め空は茜色に染っている。
あの!と声を掛けられた気がして、後ろを振り返るとそこにいたのは、一人の男の人。
彼を見た時、胸の鼓動を激しく感じているのは「好きです」そう聞こえたような気がしたからでは無い、違う理由だと強く確信していた。
「えと….新歓に出ていらした方、ですよね?私になにか?」
彼とお付き合いをはじめたのは、それから2年経った私の大学卒業日だった。
目に見える大きな愛を持って校門前にいたあなた。
赤いチューリップやガーベラ、アネモネ、カスミソウ、赤いバラ
とても綺麗で、素敵で、見た事のない大きな花束。
それと花束とは別に手にしているマリーゴールド。
今まで貰った中で一番純粋な愛だった。
「卒業おめでとう。」
『ありがとう。』
彼は「僕が君に贈れる最大限の愛なんだけど、、受け取ってくれる?」そう言いながら花束を渡してくれた。
「「永遠に変わらぬ愛」」
二人は笑いあった。きっと照れ笑いだったと思う。
フワッとまだ少し冷たい風が私たちを包んだ。
地面に先に落ちていた桜が舞い上がった。
その瞬間は、眩しいくらいに暖かかった。
まるで出会ったあの頃みたい。
そう思っていたら彼が言った。
「ねぇ、今のみた?!まるで出会った頃みたいじゃなかった?!」
「えぇ、みてたわ」
キラキラと目を輝かして言ったあなた。
いい意味であの頃から変わっていない私の愛する人。
歩くことの出来ない私に君は綺麗だと言ったあなた。
幸せが口癖で、何かするたびに私に言う。
「僕、いますごく幸せだ」
彼は幸せにしてくれるからと言って、私にたくさんの愛と幸せの言葉をくれる。
だから、私も彼の言葉で幸せになったように、
彼にも私と同じように私の言葉で、幸せになって欲しい
なんて言ったらどんな反応をするのかしら笑
私はきっと、この人と同じ墓に入ると思った。
完