約7年前━
当時 羽柴 千鵺(13)
神奈川県、横浜大テロ。
父、母、共に行方不明。
泣いた。
逃げた。
遠く遠く。
だが道が分からず、私は
戻ってしまった。
千「ここ、どこだ?」
薄暗い。怖い。
その感情だけが頭をぐるぐる。
腹減ったな。
もうすぐ倒れそうだ。
バタ。
千「あ、あぁ、」
私、死んじゃうんだ。
せめてもう一度、もう一度だけ、
父と母に会いたかった。
それと。
1度だけ、
両親だけでなく、
愛されたかった。
ただ愛されてみたかった。
誰かに。
?「おや、君、大丈夫かい?」
千「ぁぁ、」
誰?もう、声も出ない。
それからはもう意識がなかった。
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翌日。
千「、、、ん、ん?」
?「やぁ、おはよう。」
いつの間にか寝てたんだ。
私。
千「、、、おはようございます。」
?「お腹はすいてるかな?」
千「、、、ここはどこですか。」
?「ここは私の仕事場だよ。」
千「、、、あなたは誰ですか。」
?「私の名前は森。森 鴎外。」
千「森さん。昨日、私を助けてくれた人はあなたですか。」
森「まぁ、そうだね。」
千「助けて下さりありがとうございました。」
森「いえいえ、ところで、君はどうしてあんなところに倒れていたんだい?」
千「お腹が空いていて、」
森「んじゃ、こっちにおいで。」
トコトコトコ。
千「わ、わぁ、!」
森「さぁ、ここにあるものなんでも食べていいよ!」
千「いいのですか!」
森「もちろんいいよ!」
千「ありがとうございます!」
モグモグ。
千「美味しいです、!」
森「それはよかった。」
モグモグ。
千「ご馳走様でした。」
森「次は、、お風呂入ろうか。」
千「はい。」
トコトコトコ。
千「大っきいですね。」
森「ゆっくり温まりなさいね。」
千「はい。」
ポチャン。
暖かい。
気持ちいい。
ガラガラガラ。
千「ありがとうございました。暖かかったです。」
森「いいんだよ。おや、君、可愛い顔しているね。」
千「、、、そんなことないですよ。」
森「帰る家はあるのかい?」
千「家は、、」
森「よし。今日から君の家はここだ。」
千「、、、え?」
森「いいんだよ。」
千「いやでも、お金とか、何もかもしていただいて、情けないですよ。」
森「いいよ。恩返しはもう少ししてからで。」
千「そ、それじゃあ、いいですか。」
森「いいと何回も言ってるじゃない」
千「ありがとうございます。これと、これからよろしくお願いします。」
森「よろしくね。あ、君の名前は?」
千「羽柴 千鵺です。」
こうして私は森 鴎外さんのところに
住むこととなった。
可愛い服は買って貰える。
美味しいものは食べられる。
とてもいい生活だった。
けど時々何故か血なまぐさかった。
肉の匂いなんかな。
森「千鵺ちゃん。今、好きな物とかはないのかい?」
千「えっと、特にはないですね。」
森「そうかい。なら、本屋さんにでも行こうか。」
千「本屋さん?」
森「本はいいよ。気に入ったのがあれば買ってあげるから」
千「はい。」
トコトコトコ。
千「わぁ。凄い。」
森「さぁ、探しにおいで」
千「はい」
カタ。
なんだろう、この本、
なんか、絵が沢山描いてある、
千「わぁ。上手だな。」
テクテク。
森「決まったかな?」
千「この本でもいいですか?」
森「おや?それは漫画だね」
千「漫画?」
森「私が思っていた本とは少しちがかったけど、千鵺ちゃんが気に入ったのなら、全巻かってあげるよ」
千「ありがとうございます!」
これが漫画との出会い。
私と森さんは親子みたいだった。
よく間違えられる。
顔全く違うけど。
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千「森さん、その子は誰ですか?」
森「この子はエリスちゃんだよ。」
エ「初めましてね。よろしくね、千鵺!」
千「よろしくです。」
カキカキ。
エ「千鵺、何してるの?」
千「エリスちゃん。私は絵を描いてます。」
エ「どれ?わぁ!上手ね!」
千「ありがとうございます!」
こんな日々がずっと続いたらいいんだけどね。
けどそんなことは無い。
私に地獄が待っていたんだ。
恩返しする時期が。
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