やがてマーヤは高草のゆりかごの中、子どもを出産しました。三度目の子どもで、数は三匹す。もうマーヤはベテランです。グレイトンはなれないながら、マーヤの子育てを手伝いました。オス一匹とメス二匹を産みました。メディラス、マリーツァ、ベシーです。三匹はすくすくと庭に生える雑草のように恐るべき早さで成長しました。もう立派なベンガルトラです。マーヤが母、アバローを失ったのはだいたいこのぐらいです。だからか、マーヤは一層三匹を可愛がりました。
マーヤは今10歳。平均寿命を行っています。もう子どもに後を継がせてもいい時期です。新女王として一番ふさわしいのは長女のマリーツァです。長男、メディラスは頭はいいのですが、力が弱いので向いていません。末っ子のベシーはお嬢様気質で王国を守れそうにはないのです。ですが、マーヤにとってはみんな大切な我が子。マリーツァを新女王にするためにメディラス、ベシーを追い払うことはしません。
やがて、大きくなった三匹。メディラスはぽつねんとすることが多く、マリーツァとベシーは対立がいきなり深まりました。仲はいいときはいいのですが、時々、唸り合ったり噛みついたり。
ある日の朝のこと。マーヤは機嫌がものすごく悪いマリーツァに会いました。マリーツァはこれまでにないぐらいいらついていました。そして、ううっとひときわ低い声で唸り声を出すと、バッと傘を広げるような勢いで躍り出た。マーヤは驚いた様子でしたがするんと避け、「何をするの?!」と、言わんばかりに見つめました。しかし、それでもマリーツァは狂ったようにマーヤを見つめました。マリーツァはまた飛び出しました。マーヤはちょっとだけ猫パンチして、「ほんとに何をしているの!?」と諌めた。マリーツァは一瞬、落ち着きを取り戻したようだった。ゆっくりと、でもはっきりマーヤに向かって少しだけ、飛び出すことを繰り返した。
翌月、年を取り、狩りもあまりできなくなったグレイトン。マーヤはグレイトンよりも子どもたちの世話や狩りが大変で構うことが減ってきました。だから、マーヤにとってグレイトンはほぼお荷物状態。グレイトンの分の獲物もあるので、回数や頻度を多くするか、一回で大物を狙うかしなければいけません。だからグレイトンはいつも水浴びしている池、ヘレヴァラクから出て、狩りをすることにしました。ずいっと進み出て、木がうっそうと生え茂っているところへ行きました。
グレイトンが進んだ方向にはナマケグマの親子の姿がありました。マーヤの王国内に住んでいる、母のバルーラと子のチッチです。子育て中なので気はとても荒くなっています。今の時期、近づかない方がいい相手です。
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