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散りゆく夜桜を眺めてぽつり。
「私死んでもいいわ。」
あのとき伝えられなかった返事。
あのとき伝えたかった言葉。
目に映る円い輝きは今日も美しい。
はじまりは特別でもないある夜。
「こんばんは。」
半月が辺りを照らす。
公園のベンチでぼんやりとしている君に声をかけた。家出だろうか。
「こんばんは。」
君の顔には傷1つ。
「….絆創膏置いていくね。」
「うん、ありがとう。」
またある夜。
「また会ったね。」
細くなっていくオツキサマ。
公園の広葉樹の側のベンチで1人。
君の顔には傷2つ。
「ケガ、増えたね。」
「痛くて敵わないよ。」
「絆創膏、置いてくよ。」
「うん、ありがとう。」
また、またある夜。
まっくら。
街灯だけが君を見つめる。
君の顔には傷3つ。
「絆創膏….だけじゃ足りなくなっちゃうね。」
「そうだね、困ったな。」
「そう思って最近は湿布を持ち歩いてる。」
「用意がいいなぁ。あ、ねえ。」
「何。どうしたの。」
「今日は月がいちだんと綺麗だね。」
「こんなにも真っ暗なのに。」
「あはは。そうだね。」
「変なの。じゃあ、またね。」
「ふふ、サヨナラ。」