・VTA時代捏造
・でびらびが付き合ってた(左右明記なし)
・暴力描写あり
・👻🔪→→→→→→→🐙🌟
・本作品は二次創作であり、ご本人様とは一切関係ありません
・本編中ライバー様のお名前は伏せません
<👻🔪side>
………え?
部屋に入ってきたのは怪しげな藤色の長い髪と水晶のような目が特徴的な高身長の男だった。彼は俺たちの顔を見回すと、胸に片手を当ててどこか胡散臭さの抜けない顔で微笑んでみせた。
「本日から一緒にヒーローをやることになりました、鑑定士の星導ショウと申します」
「よろしく!オレ伊波ライ!ライでいいよ!」
「叢雲カゲツ、ぼくもカゲツでええよ」
「ライとカゲツですね、よろしくお願いします!」
星導ショウと名乗った男がふいにこちらを振り向き、一向に口を割らない俺を見て不思議そうに首を傾げる。
晶じゃない。晶じゃないのに、晶だ。思考が追いついていない頭で彼の顔を凝視する。
「あの~、何かついてます?」
「ロウ?どうしたの?」
「……お前、お前…」
「なんや、こいつと知り合いなん?」
「そうなんですかね?実は俺、記憶喪失でして」
驚いたように星導を見るライと怪訝そうに俺を見るカゲツの間から星導が口を開く。彼は人差し指をこめかみに当てると、わかりませんと言わんばかりに首を傾けてみせた。
「自分自身が何なのかもよくわからないんです。鑑定士という職もやれと言われてやっているだけで、なんでも見ますがなんにもわかりません」
「それ鑑定士として致命的じゃない?」
「まあなんとかなっているので大丈夫でしょう」
「軽すぎやろ、ほんまに大丈夫なんか?」
「記憶がなくてもヒーロー活動に支障はないと思います。失ってから成ったものなので」
ダンッ!!
あっけらかんとした空気がピタリと止み、全員の視線が俺の右手へ釘付けになる。近くの壁を殴った俺はゆっくりと星導の顔を見上げると、妖魔に向けるものと同じ目で星導を睨みつけた。
「…どういう事だよ、記憶喪失?何もわからない?タチの悪い冗談だな」
「え、全然冗談じゃないんですけど…ところで貴方の名前は?もしかして本当に俺の知り合いだったんですか?」
「……ちょっとこいつ借りる」
「え?ああ、うん…?」
「え?え?あの…」
何か言おうとした星導の口を睨みだけで閉ざす。完全に警戒しているが期待を裏切られたのは俺だ、俺は悪くない。
部屋を出て近くの仮眠室に足を運ぶ。押し込むように星導の手を引っ張ると、その拍子にずれた黒手袋の隙間から見覚えのある傷跡が顔を覗かせた。
「…はは、やっぱお前じゃねぇかよ」
「本当に何の話ですか?そもそも貴方は…」
「…小柳ロウ、聞き覚えあるだろ?なあ…」
半ば縋るように星導の両腕を掴む。僅かながらに恐怖を覚えているのか、星導は顔をしかめて俺の手を振りほどこうとしてきた。
「なんで拒むんだよ、悲しいな」
「本当に知り合いだったならそれはすみません、ですが俺にとって貴方は初対面なんです。なのに急に詰め寄られて…怖いに決まってるでしょ」
「何言ってんだよ、俺たち恋人だろ?晶」
「……え?」
明らかに困惑の色を宿した彼の瞳を覗き込み、自分より高い頬に手を添える。彼の後ろは壁だ、絶対に逃がさない。
「お前は俺の恋人だろ。永遠を誓い合ったこと、忘れたなんて言わせないからな」
「…ちょっと、待ってください」
「なんで待たなきゃいけねぇんだよ、何も待つものないだろ」
そう言って固まる星導の顔に唇を寄せる。その瞬間、背後から何者かに服を強く引っ張られて大きくよろけてしまった。
美しい髪を異様な触手に変化させた星導が肩で息をしながら出入口へ足を向ける。すかさず彼の肩を掴み、力を込めながら逃げ道を塞いだ。
「意味わからないです、俺と貴方が恋人?永遠を誓い合ったどころか出会った記憶すらないですよ!」
「わかってる、今は混乱してるだけなんだよな。大丈夫だから、ゆっくり直していこう」
「は…?はっきり言っておかしいですよ!なんなんですか貴方!」
「…呼び方」
「はぁ?」
「呼び方、違うよな」
感情のない目で星導を見上げる。自分自身でも怖い目をしているなという自覚はあった。
星導の顔色が一気に激昂から戦慄へと変わる。混乱しているのだろう、彼の陶器のような頬には冷や汗が浮かんでいた。
「星導」
「え、と…」
「ほら」
「……こ、やなぎ…くん…」
弾かれたように星導の腹を殴る。薄いそこに勢いのついた拳がめり込むと、彼は目を見開いて嗚咽を漏らした。
「あ”がっ!?っぐ、げほっげほっ…!!」
「違う」
違う違う違う違う違う!!!!!
なんでわからない?なんで言えない?
お前は晶だろ、晶なんだろ?!
「もう一回」
「………めて……」
「何」
「…やめて、ください…」
生理的な涙を浮かべた星導の腕を掴み、部屋を出る。ライ達のいる部屋には戻らず、俺は星導を連れてそのまま本部を後にした。
移動している時も星導は小さく拒否の態度を見せており、その都度骨が折れそうなほど強く腕を捻り上げた。家に着くまでその繰り返しだった。
「なんだかんだ言って家上げたことなかったよな?」
「知らないですよ…そんなの」
星導の言葉を無視してキッチンに立つ。今後は星導もここに立ってくれるのかと思うと久々に胸が躍った。
「なんか飲む?温かいものの方がいいか」
「いらないです」
「なんで」
「もう帰してください…貴方と今後上手くやっていける自信が俺にはないです」
「なーに、心配いらねぇよ。お前は俺とここで暮らすんだから」
え、と言葉を漏らす前に星導の背後に立ち、項を強く叩き落とす。膝から崩れ落ちて意識を失った彼を姫抱きすると、俺は軽い足取りであまり使わない空き部屋へと向かった。
こんな形になってしまったけど、それでもまたお前と一緒にいられるの、本気で嬉しかったりするんだぞ。
スクロールお疲れ様でした!
次から監禁パートです。
コメント
2件
すっごい書き方とかストーリー性とか好きです!! フォロー失礼します!