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「愛人社員?」
こんな奇妙な言葉を聞いたのは太陽光パネルを扱う町田事業所の総務部に派遣社員として配属されているAさんとカフェで社内の雰囲気や働きやすさを聞いていた時の事だ。
「他の事業部に出向中とかいう話になっているけど本当は上層部の誰かの愛人じゃないかって話があるのよね」
「就業実態が無いのに給与が支払われている人がいるってこと?でも、監査とかでバレるんじゃ」
「そうなんだけどね、従業員名簿は本社にあるから何とも言えないけど、なんて言うか都市伝説的な?」
「都市伝説ねぇ、ちなみに名前とか知ってる」
「わかるわよ毎月振り込み依頼データを作っているから。三の島に貴族の貴そして江戸の江で三島貴江」
それから少し話をしてカフェを出た。
事業部長の女って事?
それだと横領とかになるのかな?
疑惑的なというか都市伝説的な話ではじいさんには言えないし、流石にアルバイトの立場で三島貴江のデータを調べるのは難しい。
入社した時には、雇用実態を洗い直すことも必要かもしれない。
家に帰るとベッドに仰向けになる。
親父は相変わらず忙しそうでたまに顔を合わせても疲れた表情をしていた。
今頃、瞳は何をしているんだろう。こう言う時はラインを送ったりするんだろうか?
電話とかしてもいいんだろうか?
“恋人”がいるという状況は初めてで、どうしたらいいのかわからない。
家に誘ってみようか、それで俺の家のことを話そうと思うがおふくろには合わせたくない。
毎週土日は習い事だか集まりだかで出かけるから土曜日の午後に誘ってみようとラインを送るとすぐに返事がきた。
何度かメッセージのやり取りをしてから、音声通話に切り替えて他愛の無い話をして通話を切った。
瞳を抱きたいと言う気持ちはもちろんあるが、それ以上に一緒に居たい、隣にいてほしいという気持ちの方が勝っている。だから迂闊に近づきすぎて警戒されるのが嫌だ。
瞳との会話の余韻に浸っているとブルッとスマホが振動した。
画面を確認すると先輩からの合コンへの誘いだった。
合コンにはもう行かないと伝えたはずなのに何事もなかったかのように誘ってくる。
先輩に直接電話をかけて断ると、嫌なことを教えてくれた。
『お前さ前に一緒に飲んだナースと何かあっただろ』
「何でですか」
『正門で会ってさ、お前がいる教室を教えろって』
「教えたんですか?」
『いや、知らねえーもん。てか、二人で情報交換とかしてたのか?おまえって、ヤルだけだからラインしか教えないって言ってたろ』
勝手に電話番号や学生証を見られたことを話すと『やべえ奴じゃん』と笑っている。
「先輩ってあの時の人と連絡とってますか?」
『実は彼女その2だ』
彼女その1がいるってことか、ツッこまないほうがいいかもしれない。
「じゃあ、どこに勤めてるとか知ってます?」
『知ってる』
俺だけが情報を握られているのは不利だ。先輩に勤め先と本名を聞くと来週の合コンに参加すれば教えてくれると言うことで、合コンに参加することになった。