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休日の午後、すちとみことの家のリビングには、いつもの顔ぶれがそろっていた。
テーブルの上にはみことが淹れた紅茶と、すちが用意した焼き菓子が並んでいる。
「――改めて、迷惑かけてごめんな」
らんが真剣な表情で口を開く。
隣のこさめは、少し恥ずかしそうにうつむきながらも、小さく「俺も、ごめん」と続けた。
空気が一瞬しんとしたあと、いるまとみこが同時に動いた。
「こさめ!」
「こさめちゃん!」
二人はこさめのもとへ駆け寄り、頭をわしゃわしゃと撫でる。
こさめは「え!なになに!」と驚きながらも、心の奥では嬉しそうに目を細めた。
その光景を見て、すちはため息をつきながらも微笑みを浮かべる。
「……まぁ、無事に仲直りできたんならよかった。けど、言葉足らずはちゃんと直そうね」
そう言って、すちはカップを持ち上げる。
「ほんとそれな〜」
ひまなつが紅茶を啜りながら続ける。
「らんってさ、普段冷静なくせに、肝心なとき言葉足りねぇんだよ」
「……耳が痛ぇ」
らんは頭をかきながら苦笑する。
その隣でこさめが「俺も……ちゃんと伝えるようにする」とぽつりと呟くと、 すちは軽く頷いて「それが1番だよ」と優しく返した。
穏やかな笑い声が部屋に広がる。
険悪だった空気はすっかり溶け、以前のようなぬくもりが戻ってきていた。
その後、こさめが「ねぇ、みんなで撮ろ!」とスマホを取り出し、ソファの前で集合写真を撮ることに。
らんがこさめの肩を引き寄せ、すちとみこが並び、ひまなつが「いるまはこっち」と言って抱き寄せる。
シャッターの音が鳴った瞬間、全員の笑顔が重なった。
みんなが帰ったあとのリビングは、どこか温かい空気を残していた。
空になったカップとお菓子の皿がテーブルに並び、窓の外では夕暮れの光がオレンジ色に沈んでいく。
みことは袖をまくりながら、食器をひとつひとつ丁寧に重ねていく。
その隣で、すちは静かにテーブルを拭きながらぽつりと口を開いた。
「……らん、ちょっと変わったな」
「うん」
みこはうなずき、手を止める。
「今日のらん兄、こさめちゃんのこと見てる目、前よりもっと甘くて優しかった」
「前より“守る”って感じが出てたね」
すちは苦笑まじりに言い、タオルを置く。
「まぁ、あいつもようやく自分の気持ち言えるようになったってことかね」
みことは笑って「言葉足らず卒業かな」と呟いた。
その声に、すちは少し肩をすくめて意地悪く返す。
「みことも人のこと言えないけどな」
「えっ!?前はそうだったけど…今は俺ちゃんと言ってるよ?」
みこが慌てて反論するが、すちはにやりと笑って近づく。
「“好き”って言葉、最近聞いてない気がするけど?」
不意を突かれたみこは、頬を染めて小さく唇を尖らせた。
「……じゃあ、今言う」
小さく息を吸い込んで、みことはすちの胸元に顔を寄せる。
「……すち、だいすき」
すちは柔らかく目を細め、そのままみことの頭を撫でた。
「うん、俺も。……愛してるよ」
静かな部屋の中に、ほのかな紅茶の香りと、あたたかな余韻だけが残っていた。