あの日から1ヵ月くらい経っただろうか。相変わらず、俺の恋メーターは上がっていく一方で、なかなか素直になれない。「好き」の好の字も言えない。
先生も、俺が「亮平さん」と言うと少し顔が赤くなる。ここのあたり、ずっと気になっているのは先生のことだけだ。授業中もただただ妄想をしているだけで、話なんか聞けそうにない。いや、聞く気がない。
今日は先生が来る日。
連絡先は交換したが、どこか堅苦しく、極力見ないようにしている。このことに先生は気づいているだろうか。
そんな時
ぴーんぽーん
と1階から音がし、俺はすぐさま階段を駆け下り、玄関へ向かった。
「こんにちは。ちょっと、話したいことあるんで」
グイっと先生の腕を引っ張り、俺の部屋に連れて行った。ベッドに俺が座ると、つられるように先生は隣に座ってくる。
俺の心は、まるで水が沸騰したみたいに熱くなっていた。
「俺の気持ち、伝えていいですか」
今、俺と先生は見つめ合っている。それを遮るかのように、先生は俺の口を手で塞いだ。
「先に、俺からでいい?」
そういった先生の息は荒くなっていた。顔も少し赤くなっていて、まるで熱が出てるようだった。
「俺、蓮君のことが好きだった。初めて会った時からずっと」
その言葉を聞いて、自然と涙が出た。怒られたときとかに出る涙ではなかった。嬉し涙とは、これのことか。やっと実感できた。
「俺もです」
そして二人で笑いあった。
「でも、付き合うなんかだm」
「駄目じゃないです。年の差なんか関係ありませんよ!年齢なんて、ただの数字じゃないですか」
『駄目』
俺が世界一嫌いな言葉。この言葉は先生が言ってはいけない言葉だと思った。
「じゃあ、勉強、する?」
「やりません」
「ちょっとー!」
告白された後に勉強する気になる人なんかいるだろうか。いたとしても、俺は絶対やる気は出ない。そんな俺と先生だけの秘密の空間は、どこか特別感があった。
「ねえ先生。これから、名前呼びでいいですか?」
「へ、へっ!?」
あまり声が響かない部屋なのに先生の声はなぜか響いた。
「亮平」
「れ、蓮?」
いつも先生は俺のことを名前で呼んでるはずなのに、なぜ少し照れたようになるのだろうか。少し疑問に思ったが、その矢先俺が呼び捨てで先生の名前を言ったことだと勝手に決めつけた。
「じゃ、付き合いましょ」
普通恥ずかしがりながら言う言葉だ。喉からさらっとこの言葉が出てくる俺は、異常なのだろうか。また勝手な妄想をしている。ひょっとして、俺は妄想癖があるのだろうか。
「はい」
俺と先生は、二人で声をあげて笑った。その声はオーケストラのように部屋中に響いていた
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Okay!Memeabe is finally going out with me! (よっしゃー!やっとめめあべ付き合ってくれる!)