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まじで泣けますね、 あんまりテラノで泣くことは無かったんですけど本当にこれは泣けました、、叶さんが出ていった時の葛葉さんの考えてることとか葛葉さんが色んな人に連絡してるってところとか本にてえてえだしありがたいです、、
初めてテラーノベルで泣きました、胸がキュッとくるようななんというか、すごく心にきました、、、凄いですね、
題名の通り、葛葉さんの「owl night」をイメージした作品です。曲の勝手な解釈が入っているので、なんでも許せる方のみお進み下さい。
「」葛葉
『』叶
葛葉side
「叶ー?かなえー??って、、いねぇのか」
俺は自室のドアから顔をのぞかせるが、声は返ってこない。
叶は知らない間にどこかに出かけたようだ。
・・あいつまた俺になにも言わないで、、
俺はつい顔をしかめる。
最近の叶はなんというか、、自由だ。前まではなんでも俺に言ってきて、構ってほしい!って感じだったのに。
今日も俺が配信してる間に勝手にどっか行った、連絡もない。
別に連絡が欲しかったわけじゃない、ただ、なんとなく叶との距離が遠くなっている感じがした。
・・どこ行ったんだろ。
時刻は20時。夕飯どうすんだろ、あいつ帰ってこねーなら勝手に1人で食べるけど。
連絡してみっか、、や、でも連絡したら負けな気がする。ま、いーや。なんか頼んじゃお。
叶side
ああ疲れた、、僕はずっと下を向いていた顔を上げる。、、20時か。スマホをみて時刻を知る。疲れた足を休めるために歩道の手すりに腰かける。
・・あいつ何してんだろ。
ふと葛葉の顔が浮かぶ。最近、葛葉は僕との生活に慣れてしまったのか、はたまた気持ちが冷めてしまったのか、僕と関わるのをめんどくさそうにする。
最初は考えすぎかとも思った、でもここ1ヶ月はあからさまだ。誰が見てもそう思うだろう。
今朝だって、、、
『葛葉さー』
「・・・」
『葛葉聞いてる?』
「・・なに」
『・・え、、いや、なんでもない』
「・・・」
こんなのは今朝だけじゃない。前みたいに僕をまっすぐ見て話を聞いてくれる葛葉はいなくなった。なんならまた無視されるんじゃないかという恐怖から僕から葛葉に話しかけることも少なくなった。
寝る時も僕は葛葉に声をかけずに寝るようになった。葛葉もだまってベッドに入り、気づいたら朝になっている。
僕の腕に頭を乗せて眠りにつく葛葉はもういない。今朝だって起きたら葛葉は横にすらおらず、どうやら自室のソファで寝たようだった。
・・はぁ。なんで僕ばっかりこんな悩んで、、
考えすぎて僕の頭はパンクしそうで脳は考えることを勝手に辞めていた。
・・なんかもう、どうでもいいや。葛葉はたぶん、もう冷めているんだろう。
葛葉の顔は浮かんでくるが、不思議と涙は出てこない。
・・泣かない、、ってことは、僕も葛葉のこと好きじゃなくなっちゃったのかな。
頭に葛葉との思い出がいくつも現れては消えるが、妙に冷静にそれを見つめる僕がいる。
ここ1ヶ月ずっと悩んできた葛葉との関係。
・・1回距離置いてみるか。
僕の頭が出したのはその答えだった。
葛葉side
っぱ叶帰ってこなかったなぁ。あいつ、なんだ?最近あんま話しかけてこないし、寝る時も勝手に1人で寝ちまう。そんなんだから俺も話しかけにくくなって、、、
まぁでもそのうちなおるだろ、あいつ結構気分屋だし。ま、とりあえずゲームしよ。
ガチャガチャ
そう思った時に玄関のドアの鍵を開ける音がする。叶帰ってきたのか、、なんか気まずいし部屋行こっと。
俺は立ち上がって自室に入る。
廊下を歩く足音が聞こえ、俺の部屋を通り過ぎてあいつの部屋に入ったようだ。扉を閉める音が聞こえた。
俺はその音まで確認してからゲームをはじめる。
コンコン
しばらくして俺の部屋のドアをノックする音が聞こえる。
「・・なに?」
『葛葉、ちょっと入ってもいい?』
「・・後でもいい?」
『・・・いや、今がいい』
叶のそういう声に仕方なく腰を上げドアを開ける。
「・・えっ、、」
俺は思わず声をだしてしまう。なぜならドアの前にはスーツケースとリュックを持った叶が立っていたのだ。
「おまえなんd」
『・・出てくわ、僕』
「は?」
『荷物、、まだあるけど、また取りに来るから』
「おまえ、ちょっと待てよ、なんで急n」
『今更、、散々僕の話聞いてくれなかったじゃん』
叶に静かに低い声でそう言われ、俺は何も言えず出ていく叶の後ろ姿を見送ることしかできなかった。
叶side
ガチャン
非情にも聞こえるドアが閉まる音。
葛葉は追いかけてもこない。つまり、それが彼の答えなのだろう。
僕は下を向いてスーツケースを引っ張りながら暗い夜道を駅に向かって歩く。先ほど急遽予約したホテルのアクセスを見ながらひたすら足をすすめる。近くのホテルだと葛葉がいる家に戻ってしまいそうで、あえて数駅離れたホテルを予約した。
ガラガラガラ
夜道に響くスーツケースを引きずる音。僕はその音を踏みつけるように前に前に歩き続けた。
葛葉side
ガチャン
ドアが閉まり叶が家を出て行った。
心臓がどくどく鼓動を打ち、冷や汗が背中をつたう。
・・は?あいつがでていった、、?
目の前で起きたことが理解できずとりあえず足元にしゃがむ。
玄関に残された叶の靴を見て、叶が家を出ていったことをようやく頭が理解する。
『今更、、散々僕の話聞いてくれなかったじゃん』
冷たく、暗い声色で俺に発された言葉。それを思い出して軽い吐き気まで催す。
俺が叶の話を聞いてなかった??
全く自覚がなかった、、いや、ちがう。叶が最近俺に話しかけないから俺も話さなかったんだ、、
『葛葉さー』
「・・・」
『葛葉聞いてる?』
「・・なに」
『・・え、、いや、なんでもない』
今朝の会話が突然頭に流れ込んでくる。
・・・ちがう、俺が叶の話を聞いてなかったんだ。俺は叶に甘えてたんだ、多少雑にしたってあいつは許してくれるだろう、心のどこかでそう思ってしまっていた。
だが、今はそんな叶はもういない、出ていってしまったのだ。
俺はふいっと自室の方を向き、ドアを開けてソファに腰かける。気晴らしにゲームを再開しようとしたが、俺の頭は他のことを考えるのを許さなかった。
『荷物、、まだあるけど、また取りに来るから』
叶の言葉がこだまする。
また取りに来るって、、それってつまり、、
・・・俺とはもう終わりってことか、?
受け入れたくない現実に刺されているような、心臓に穴があいたような痛みが俺を襲う。
膝を抱えこみ、目をぎゅっとつぶる。知らない間に溢れた涙が頬をつたう。
叶と出かけた思い出、家でゴロゴロした思い出、ゲームで大騒ぎした思い出、、今になって優しい叶の顔が次々に思い出される。
・・そういえば最近、叶笑ってなかったな。俺、バカじゃん、そんなことにも気づけてなかった、、
そう思ってももう遅い。叶に言われたように「今更」なのだ。
涙が溢れて止まらない。今更になってこんな大事なやつに気づくなんて、、そしてそいつはもう俺から離れていってしまった。
あいつも長い間悩んだんだろう、、でも俺が気づかなかった、いやあいつの話を聞こうとしなかったから、、愛想をつかされたのだろう。
叶、、ごめん、、、、もう1回だけ、叶に会いたい、、
叶side
『ふぅ』
ホテルにチェックインし、荷物を解いてベッドに座る。
・・疲れた。もう何も考えたくない。
湯船をためながら水を飲む。気晴らしにテレビをつけてみたが何も頭に入ってこなかった。
ちゃぽん
湯船につかりながらため息をつく。何も見たくなくて、スマホはカバンに入れたままだ。頭はどうしても葛葉のことを考えてしまう。
「叶〜見ろよ!これ!」
「お前うまっ!!ないすぅー!!!天才!」
「やっぱ叶の料理が1番だわ〜」
「叶、どうした?」
頭の中で勝手に再生される葛葉の声。
こんなに葛葉のことを考えたくないのに、僕の頭は僕をバカにするように葛葉ばかり思い出す。
既にマネージャーには体調不良と連絡して数日仕事が入らないようにしてもらった。
・・もう何もしたくない、何も考えたくない。
それなのに溢れるように頭に流れ込んでくる葛葉との日々。気づけば僕は嗚咽を漏らしながら大粒の涙を流していた。
「・・ぐすっ、くずはぁ、、」
知らない土地の静かなホテルで1人涙を流す僕の声が響く。
疲れきった僕は風呂から上がるとすぐに眠りに落ちてしまった。
・・・ん。
朝日が眩しくて目が覚める。
スマホを探すが手元にない。あぁそうか、昨日カバンに入れっぱなしにしたんだ。
立ち上がってカバンからスマホをとる。
・・葛葉からきてるかな
どうでもいいはずの葛葉からの連絡を咄嗟に期待してしまっている僕。ああ、もう。。
画面を見た僕は予想していなかった異常な数の通知に慌てて上からメッセージを見ていく。
どれもマネージャーや他のライバーからの連絡で、どれも「僕と連絡がとれず、葛葉が心配している」という内容だった。
僕と葛葉が付き合っていることはマネージャー含め、ほとんどのライバーに公表していない。葛葉が絶対嫌がると思ったから僕も別にみんなに言わなかった。
だから、多くの人からしたら、たった半日僕と連絡がとれなくなっただけで心配している葛葉はおかしく見えるだろう。
唯一、僕たちの関係を知っているふわっちからも連絡が来ていた。
「叶さん、ちょっと葛葉がやばいかも。あいつ、なんでもいいから叶の居場所知ってたら教えてくれって必死にみんなに連絡してる。2人に何があったのかわからないけど、連絡してあげて欲しい。」
・・葛葉が?あの恥ずかしがりで人見知りな葛葉が僕のことでみんなに連絡してる?必死に、、、?
僕は想像がつかなくて一瞬困惑したが、これだけのメッセージを見た以上信じざるを得ない。
メッセージを順に見ていくと、1番下に葛葉からの連絡もあった。
不在着信
「叶、ごめん」
「1回話したい」
「叶、どこにいる?」
不在着信
不在着信
「叶、見たら連絡くれ、頼む」
これまでこんなに葛葉から一方的に連絡が来たことは無い。
僕は深呼吸をしたあと、意を決して葛葉に電話をかけた。
「かなえっ!!!!」
電話口から聞こえる葛葉の焦った声。顔を見なくてもわかる、泣いているのだろう。
「かなえ、俺が悪かった、俺がお前の話聞かなかったからっ、、ぐすっ、、もう、戻ってこないのか?、、かなえっ、、俺っ、、、」
そこまで言って声がほぼ嗚咽になってしまう葛葉。
僕は少しあっけにとられて黙っていた。あの葛葉がここまでなるなんて、、葛葉は僕のことなんかもう興味無いんだと思っていたのに、、
『・・葛葉、○○駅前の△△ホテル□□号室にいる』
僕はなんとかそれだけ伝える。
葛葉は泣き声で「わかった」と一言いい電話を切る。
電話を切ったあとも僕はしばらく呆然としていた。葛葉のあんな必死な声は聞いたことがない。あの葛葉が、僕を本気で心配して、みんなに連絡して、、、
・・僕は勘違いしてたのかもしれない。僕も葛葉のこと、わかっていなかったんじゃないか。
そう思いながら服を着替え、顔を洗う。正直そこまで遠くの駅ではないから、もうすぐ葛葉が来るだろう。どんな顔で葛葉に会ったらいいだろう、、、
ピンポン
突然鳴り響く音に驚きながら僕はドアにかけよる。
葛葉に会いたい。
僕の心はそう言っていた。
ガチャ
「叶っ!!!!!!」
開けるなり僕の名前を呼ぶ葛葉。その顔は泣きはらしたのか目が真っ赤になっている。
すぐ家を出てきたのか、部屋着に髪もボサボサな葛葉が立っている。
『・・とりあえず入って』
僕はそう言い、葛葉を部屋に入れる。
部屋に入り、僕と向かい合うとまた泣いてしまう葛葉。
僕は葛葉が泣き止むまで何も言わず待つ。
「・・叶、ごめん」
ようやく話せるようになった葛葉が口を開く。
「ごめん、叶、、俺、、」
『いいよ、葛葉』
僕がそう言うと涙を浮かべながらもはっと目を大きくしてこちらを見る葛葉。
『・・お前がここまでするなんて思ってなかった、正直びっくりした。葛葉、もう、僕のこと好きじゃなくなったのかなって思っt』
「そんなわけないだろ!!!」
泣き声でそう言い僕に抱きつく葛葉。
幼子のように僕の肩で嗚咽混じりに泣きじゃくる葛葉。こんな葛葉は見たことがなくて僕は少しとまどってしまう。
「叶、、ごめん、ごめん叶、、」
葛葉は僕の名前と謝罪の言葉を繰り返す。
『ううん、僕こそごめんね、葛葉』
そう言い僕は葛葉の背中に手を回し抱きしめる。
「俺、叶が大事だから、、どこにも行くなよ、、」
弱々しくつぶやく葛葉。
『・・ん、もう離さないでね、葛葉』
僕がそう言うと葛葉は僕を一層強く抱きしめる。
ひとしきり僕の肩で泣いた葛葉が顔を離し僕の方を向く。涙でぐしゃぐしゃの顔を見て僕は思わず笑ってしまう。
「・・笑うなよ」
『いやごめん、、でもちょっと面白すぎて』
「おい、、でも、叶笑ったな」
『え?』
「お前、最近笑ってなかった」
そう言いながら葛葉はくしゃっと笑う。これは僕が一番好きな葛葉の表情だ。
・・なんだ、葛葉はちゃんと僕のこと見てくれてたんだ。
『・・葛葉、帰ろっか』
「・・ん、帰ろう」
『葛葉、ちょっとだけ髪なおそ?』
「・・やばい?」
『ん、やばい』
「おいまた笑うな、、」
『ごめんて、ほらこっちおいで』
「うん」
僕は葛葉を前に座らせ、ブラシで葛葉の髪をとく。葛葉に触れること自体が久しぶりで髪を触るだけなのに少し緊張して手が震える。
葛葉もそんな僕に気づいたのか、僕によっかかって体重を預けてくる。
帰り道も僕の手を握って離さない葛葉。道はもちろん、電車の中でもだ。
以前はすごい恥ずかしがってたのに、、、
僕は嬉しくなって葛葉の手を強く握る。
「どうした?」
優しい声色で僕にそう言う葛葉。
『ううん、おなかすいたなーって』
「・・たしかに」
『なんか作ろうか』
「・・オムライスがいい」
『ふふ、わかった』
おしまい