TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

何十回も会っていくうちに彼女は色んなことを教えてくれた。昔、家では家族が仲良かったこと。中学生、高校生になるにつれて家族関係が悪くなっていったこと。今となっては全く喋らず、ご飯も別々らしい。


「今は琉騎亜が愛してくれるから幸せだよ。」


彼女は琉騎亜と会っている時はそれを何度も口にしていた。まるで自分自身を洗脳するかのように、自分に言い聞かせるように。

昔、琉騎亜は同じような家庭環境だった。怒鳴る母、床に落とされた消費期限切れのご飯…。そのせいもあってか、彼女にどんどん依存していくのがわかった。

琉騎亜は彼女が他の男に取られないように、殆どの時間と金は全て彼女にやっていった。

仕事だって、最近はバンバン入ってくる。前に書いた歌詞がショート動画アプリでバズったお陰で、次々に仕事依頼が来ているのだ。

要望も多いし大変なことが増えたが、彼女と居る間、彼女の事を考えている間は言い切れない程の幸せを感じていた。


ふと、琉騎亜は前に思っていた願望を思い出した。


“彼女を自分だけのものにできたなら。

俺だけ見て、俺だけを愛してくれたなら。

「……できるじゃん。」

琉騎亜はパソコンを見ると小さく呟いた”


今なら金もある。多大な金が。


琉騎亜はドタドタとパソコンのあるテーブルに向かうと、彼女を誘拐する計画を立てはじめた。


……


「…え?今日はお兄さんのお家でするの?」


「ご、ごめんね…でも、ほら、オプションは沢山払うから…!」


琉騎亜は分厚い封筒を彼女に手渡しした。彼女はそれを受け取り、中を覗くと目を大きく見開いた。

中にはオプション代なんてもんじゃない、それの何倍ものお金が入っていたのだ。

これなら行ってもいいだろうと判断したのか、彼女は琉騎亜の手を握り「いいよっ!」と明るく微笑んでみせた。

琉騎亜は彼女の後ろを歩き、自分の車の後方のドアを開けて中に彼女を乗せた。車は適当に買った中古の車。中もそんなに広いと言うほどでもない。ナンバーを隠し、車のエンジンをかけて発進させる。ガタン、ガタンと、車特有の揺れに彼女は眠そうに頭をこくりこくりと揺らしていた。


「あ…眠かったら寝ていてもいいよ。少し時間がかかるから…」


琉騎亜は運転をしながら優しい声で彼女に声掛けをする。ちらりとバックミラー越しに彼女を見ると、彼女は既に眠っていたらしい。すぅすぅと可愛らしい寝息を立てている。

ビルが建ち並ぶ道を通り抜け、車を走らせていくと段々緑が増え始めてくる。琉騎亜は遠くに一軒家を買った。周りは木に囲まれていて、窓から見た景色は綺麗…いや、綺麗とは言いづらいものだったかもしれない。見渡す限り緑で、木が一軒家を囲むような場所だったからだ。

あの場所が彼女と俺の家になる。そう考えるとニヤニヤが止まらなかったし、彼女がこの家に来たら何をしよう。と妄想が止まらなかった。

そんな考えを浮かばせているうちに、琉騎亜たちは例の一軒家に着いた。

この作品はいかがでしたか?

5

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚