テラーノベル
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イジメていたあの子が死んだらしい。
最近毛艶が良くなって美人になっていったものだから、妬ましくていつも以上に罵声を浴びせて、必死に守っていた髪を切ってやった翌日のことだった。
近所の川に浮かんでいたのを発見されて病院に運ばれたが、手遅れだったらしい。
多分自殺したのだろう。
ざまぁみろ、身分を弁えないからこんなことになったんだ。
それから数年が経ち、私は大学生になった。
旅行先の蚤の市でたまたま見つけた金の指輪が気に入って購入した。
何だか見覚えがあるような気がして、運命を感じたのだ。
早速宿で嵌めてみると、意識が飛んだ。
男性の泣きじゃくる声がして目を開けると、ソファに座っている私の前で白黒の髪の男性が座り込んで泣いていた。
訳の分からない状況に混乱していると、ドタドタと足音が聞こえて続々と男の人達が部屋に駆け込んできた。
男性達は私と泣いている男性を見て状況を察したらしく、半分ほどは残念そうに去っていった。
泣いていた白黒の男性は黒髪と緑髪の2人に連れられて退室していった。
「…主様…、これからどうぞよろしくお願いします」
目を合わせずに数人の男性に頭を下げられて、この屋敷とこの世界について説明を受けた。
こんなにイケメンな執事たちに囲まれて暮らせるなら、天使狩りに協力するくらいなんてことない。
私は二つ返事で頷いた。
しかし、屋敷の執事達はなぜだか私によそよそしく、積極的に関わろうとしてはくれなかった。
食事も1人きりで食べるし、ドレスも必要な時しか作ってくれない。
お風呂も用意はしてくれるけど、ケアを頼んだら一瞬間が空いてから頷かれる。
何?私の何が不満なの?
訓練が一段落して、息をついているハウレスに話を聞いてみることにした。
彼は真面目な執事で、女性が苦手なのに頑張って私と関わってくれるので好感度が高かったのだ。
『ねぇ、何だか皆よそよそしくない?
私の何が不満なんだと思う?』
そう言うと、ハウレスはあからさまに慌てて謝罪をしてから、おずおずと話し始めた。
要約すると、前主が数年前に突如消えてしまったという。
来ていた服や持ち物から私の世界の人間ではないかと考えている執事がいること、制服の洗い替えを今でも大切に保管していることなどを話してくれた。
なんだよ、私じゃなくてソイツのことが大事だから私の世話をしているみたいじゃないか。
ならもう良い、私がその主を見つけて感謝されて帰れば少しは気分が良くなるだろう。
ちょうど休み帰還中で暇だから手伝ってあげる、と伝えるとハウレスの表情が明るくなり、他の執事たちにも伝えてくると走り去っていった。
執事達は私の部屋に押しかけて前主との思い出の品を持ってきて、彼女の特徴や思い出を語ってくれた。
正直聞いていて気分がいいものではなかったが、頼られているという優越感には代えがたかった。
「あの…これが主様のいつも着ていた制服です」
フルーレが差し出した制服は嘗て自分も着ていた制服であった。
それを伝えると、もしかしたら前主に会えるかも知れないと皆が盛り上がり、私の学校時代の思い出を真剣に聞いてくれた。
『…そうそう、そう言えば…
うちのクラスに自殺した子が居たんだよね〜
髪切られて死んじゃうとかあり得なくない?』
「そんな事が…?」
『うん、そうなの!
ちょっと前までボロボロのきったない子だったのに、急に色気づいて気に食わなかったから長い髪切ってやったんだよ
そしたら大泣きして〜ウザくてさ〜』
私は喋るのに夢中で、執事たちの視線に殺意が籠もっているのに気づけなかった…
「まさか…主様の髪を切ったのは…」
「しかし…でも…」
「証言の日付と主様が消えた日付が一致した」
「!と言うことは…」
「主様が言っていたいじめっ子が…あの方だろうね」
「許せません…主様を殺しておきながら!!」
執事達は前主をイジメていた証拠を聞き出し、主を許すことができなくなった。
そして、暴走した一部の執事たちによって主は殺害され、森の中の泉に沈められた。
森に血の道がくっきりとできるほど痛めつけられて殺された主は、人間とは思えない姿になっていたという…
MAKO
コメント
1件
**はる。だわ** うわあ、これ…最初はいじめっ子視点だからムカつきながら読んでたんだけど、執事たちが真実に気づく流れが静かに怖くてゾクッとしたわ。前主をイジメてた張本人が自分から証言しちゃう皮肉も効いてるし、「髪を切られた子=前の主様」って伏線の回収が鮮やかすぎる。MAKOさん、この重い空気感の描写うますぎて鳥肌たったわ…続き読みてえ🔥